「サステナブルなホテルに泊まりたい」という言葉を、旅行サイトや雑誌で見かける機会が増えました。宮城でも、温泉廃熱の再利用や地域食材の循環、震災復興の歩みと結びついた取り組みなど、独自の背景を持つ宿泊施設が少しずつ現れています。
ただ、「サステナブル」で検索してみると、第三者認証を取得しているところもあれば、自社の取り組みを自己申告しているだけのところもあり、何を根拠に選べばいいか迷うのが正直なところです。
この記事では、各施設の公式サイトやプレスリリースをもとに整理した情報をお届けします。施設の優劣を判断するものではなく、「自分の旅の目的に合うかどうか」を考えるための材料として読んでもらえると幸いです。今すぐ予約しなくてもいいですし、どれも選ばないという結論だって、もちろんあります。
編集部の選定基準
今回は、以下の5つの視点をもとにホテルを絞り込みました。あくまで「公式情報として確認できたかどうか」が基準であり、掲載されていないホテルが取り組みをしていないわけではありません。
- 第三者認証の取得状況 「Sakura Quality An ESG Practice」(GSTCが承認した宿泊施設向けスタンダード)など、宿泊施設向けの認証プログラムを取得し、公式に公表していること
- マネジメントと開示 サステナビリティ方針や取り組みの根拠が、認証名・数値・実施年といった形で公式サイトに明示されていること
- 環境パフォーマンス 省エネ設備の導入、廃熱・廃棄物の再利用、節水、プラスチック削減など、具体的な施策があること
- 社会・経済・文化への影響 地産地消、地域事業者との連携、雇用創出、文化・震災伝承への貢献など、社会面での取り組みが公開されていること
- 外部との整合性・ガバナンス 自治体の環境政策や震災復興との関わりを、方針として文書化・公開していること
掲載情報は2026年6月時点の一次情報(公式サイト・公式プレスリリース)に基づいています。
施設紹介
1. ウェスティンホテル仙台
場所|仙台市青葉区一番町・仙台トラストタワー内
施設の特徴
仙台駅や市街地中心部から徒歩圏。松島など宮城県内の観光地への移動にも便利な、複合ビル内のホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
宿泊施設品質認証「Sakura Quality An ESG Practice」(通称:サクラクオリティグリーン)で、最高評価のひとつにあたる「4御衣黄桜」を2025年5月に取得。GSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)が承認した基準に基づき、詳細なチェック項目と現地視察を経て5段階で評価する、日本発のESG認証です。
このほか、再生可能エネルギーの導入、木製・竹製アメニティや減プラスチック製品の採用、2023年からのアメニティのフロント引き渡し方式への変更(客室への設置は廃止)といった取り組みが見つかりました。地元中学生の職場体験の受け入れや、仙台の伝統文化「仙台門松」の継承など、地域文化を残す活動も続けています。
この施設が向いている可能性がある人
GSTC承認基準に基づく第三者認証の取得状況を軸にホテルを選びたい方、仙台市街地への好アクセスを重視する方。
注意点・合わない可能性
わかったのは認証取得の事実と、方針レベルの取り組みまでです。エネルギー使用量や水使用量といった継続的な数値開示は、今回の調査範囲では見当たりませんでした。
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一休2. ゆと森倶楽部(一の坊グループ)
場所|刈田郡蔵王町・蔵王国定公園内
施設の特徴
森に囲まれた温泉リゾート。一の坊グループが宮城県内で運営する施設のひとつです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
宮城県内の温泉宿における先進的な導入事例のひとつが、温泉廃熱を利用したヒートポンプシステムです。大浴場や客室露天風呂から出る温泉廃湯の熱を回収し、温泉の加温やボイラーのプレ加熱に再利用する仕組みで、一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター等による「令和3年度ヒートポンプ・蓄熱システム運転管理等の改善事例奨励賞」を受賞しています。受賞にあたっての事例資料によれば、前年比で重油使用量25,000リットル(17.4%)、CO2排出量にして年間68トンの削減効果があったとのことです。
運営会社の株式会社一の坊は、令和5年度「みやぎゼロカーボンアワード」で最優秀賞を宮城県から受賞。ゆと森倶楽部の取り組みは、グループ全体の脱炭素方針の一部という位置づけです。このほか、アメニティのシャワーキャップ廃止、地元生産者を訪ねて食材を仕入れる「ソト活」、オーダービュッフェによるフードロス削減にも取り組んでいます。
この施設が向いている可能性がある人
温泉地ならではのエネルギー再利用の仕組みを、具体的な数値で確認したい方。蔵王の自然の中で過ごしたい方。
注意点・合わない可能性
数値開示があるのは、重油使用量とCO2排出量の削減実績が中心です。水使用量や廃棄物量など、他の指標についての継続的な開示は見当たりませんでした。
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一休3. 仙台ロイヤルパークホテル
場所|仙台市泉区・泉パークタウン内
施設の特徴
仙台市郊外、泉パークタウンに位置するリゾート型ホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトのSDGsページで、環境・調達・社会貢献にわたる取り組みがまとまって公開されています。環境面では、もみ殻を配合しプラスチック使用量を約40%削減したアメニティ、西川株式会社の「nishikawaリサイクルプロジェクト」によるリサイクル羽毛寝具の一部客室への導入。野菜の切れ端を出汁やスープに活用する「ベジブロス」や、コーヒーグラインドを配合したアップサイクルカトラリーなど、細かな工夫も目立ちます。
調達面では、宮城県産米・牛・野菜の積極的な使用と、アニマルウェルフェアに配慮した「平飼いたまご」の使用を明記。社会面では、障害者福祉施設作業所の商品を継続的に購入していることや、国連WFPを通じた途上国支援「レッドカップキャンペーン」への間接参画が公開されています。
この施設が向いている可能性がある人
アメニティや食材調達など、細部にわたる取り組みを確認したい方。障害者就労支援など社会面の取り組みを重視する方。
注意点・合わない可能性
今回の調査では、第三者認証の取得は公式サイト上で見当たりませんでした。取り組みは自己申告ベースの開示が中心です。
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一休4. 南三陸ホテル観洋
場所|本吉郡南三陸町
施設の特徴
東日本大震災の被災地に位置し、震災伝承を運営の軸のひとつに据えているホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
2012年から、被災地高台の雑木林を「海の見える命の森」として整備し、桜やもみじの植樹を続けています。バイオトイレや避難小屋を備え、災害時の避難場所という役割も持たせました。震災遺構として民間ビル「高野会館」を保存し、震災を伝える「語り部バス」を毎日運行。長年にわたり多くの来館者を受け入れてきたことが、報道等でも伝えられています。
震災伝承活動・学習支援活動・地域振興と観光の活性化をCSR方針の柱に掲げ、公式サイトで公開しています。
この施設が向いている可能性がある人
防災教育や震災伝承に関心がある方。修学旅行や企業研修など、教育目的の宿泊を検討している方。
注意点・合わない可能性
わかった取り組みは震災伝承・地域貢献が中心です。エネルギーや水資源に関する数値開示は、今回の調査範囲では見当たりませんでした。
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一休5. 小松館 好風亭
場所|宮城郡松島町
施設の特徴
日本三景・松島の景観の中に建つ旅館です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトのSDGsページで、環境と地域への配慮を旅館運営の方針として掲げ、館内照明のLED化、節水型シャワーヘッド・トイレの導入、オフシーズンにフロア単位で電気使用を制御する取り組みを公開しています。食品ロス対策として、需要に応じた食材調達や提供量の調整も明記されています。
社会面では、外国人・障害者・ジェンダーに配慮した職場環境づくりに向けた従業員研修や、地域清掃活動への参加が見つかりました。
この施設が向いている可能性がある人
方針の文書化から従業員研修まで、運営面の取り組みを確認したい方。松島観光を計画している方。
注意点・合わない可能性
具体的な削減率や数値目標までは、公式サイト上で見当たりませんでした。取り組みの多くは方針・実施内容の記載にとどまります。
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一休6. 気仙沼プラザホテル
場所|気仙沼市
施設の特徴
水産加工業を営む阿部長商店グループが運営する、気仙沼漁港近くのホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
水産加工時に出る魚の端材を肥料化し、契約農家の田んぼに散布して育てた地域循環型ブランド米「リアスの煌めき」。宿泊客への提供や自社グループ店舗での展開を通じて、食の循環を形にしています。プラスチック資源循環促進法に基づき、カミソリやシャワーキャップなどのアメニティをフロント手渡し方式に変更し、使い捨てプラスチックの削減にも取り組んでいます。
気仙沼魚市場見学や契約農家での農作業体験など、一次産業と結びついた教育旅行プログラムも展開中です。
この施設が向いている可能性がある人
水産業と農業をつなぐ地域循環の仕組みに関心がある方。三陸の食を目的に宿泊先を選びたい方。
注意点・合わない可能性
食の循環に関する取り組みが中心です。エネルギー・水資源に関する開示は、今回の調査範囲では見当たりませんでした。
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一休7. 仙台国際ホテル
場所|仙台市
施設の特徴
仙台市内に位置する、東武鉄道グループ運営のホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
自社運営または提携する農園で、舞茸の菌床や牡蠣殻といった地元の廃棄資源を活かした循環型の土づくりを実施。そこで育った季節野菜を、館内レストランで提供しています。宮城県産食材を使う地産地消を通じて、食材輸送に伴うCO2削減にも取り組んでいることを公式サイトで明記しています。
この施設が向いている可能性がある人
廃棄物のアップサイクルと食の循環という切り口に関心がある方。
注意点・合わない可能性
わかった取り組みは農園での循環型農業が中心で、他の指標についての開示は限られています。
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一休8. ホテル・エルファロ
場所|牡鹿郡女川町
施設の特徴
東日本大震災で被災した旅館経営者4社が2012年に共同設立した、全63室のトレーラーハウス型ホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
2026年1月9日付で、民間の記録認定団体である日本記録認定協会から「日本最大の国産トレーラーハウスホテル(部屋数)」として記録認定を受けました(国産トレーラーハウス40台・全63室)。震災復興期の宿泊施設不足を解消する目的で開業した経緯を持ち、隣接する商店街「シーパルピア女川」や「女川温泉ゆぽっぽ」の利用を宿泊客に案内するなど、地域事業者への送客を通じた経済波及も意識した運営です。
この施設が向いている可能性がある人
震災復興の歩みそのものに関心がある方。地域の商店街と一体になった滞在を楽しみたい方。
注意点・合わない可能性
環境面(エネルギー・水資源等)の具体的な数値開示は、今回の調査範囲では見当たりませんでした。取り組みの中心は地域社会・経済面です。
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9. ホテルモントレ仙台
場所|仙台市
施設の特徴
ホテルモントレグループが運営する、仙台市内のホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
客室へのウルトラファインミスト節水シャワーヘッド「ミラブル」の導入を、順次進めています。グループ共通のSDGs方針のもと、プラスチック製ストロー・レジ袋の廃止や、連泊客への清掃簡素化にも取り組んでいることが公式サイトで確認できました。
この施設が向いている可能性がある人
節水設備の具体的な導入状況を確認したい方。
注意点・合わない可能性
わかった取り組みは節水設備の導入が中心です。地域貢献活動など、その他の取り組みについては今回の調査範囲では公式サイト上に見当たりませんでした。
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一休10. ホテルメトロポリタン仙台イースト
場所|仙台市・JR仙台駅直結
施設の特徴
JR東日本グループが運営する、仙台駅東口直結のホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
一定の算定条件のもと、宿泊1名1泊あたりのCO2排出量(約15kg-CO2)をJ-クレジットの活用でカーボンオフセットする「CO2ゼロSTAY」プランを実施。この仕組みは公式のニュースリリースで確認できます。
この施設が向いている可能性がある人
宿泊そのものをカーボンオフセットの取り組みとして選びたい方。駅直結の利便性を重視する方。
注意点・合わない可能性
わかった取り組みはカーボンオフセットプランが中心です。エスパル仙台東館開発に伴う中水利用や女川町海岸林保全支援などの取り組みは、今回の調査では数値の裏付けまで取れていません。
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一休補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
各施設をさらに詳しく調べたい方には、以下の点を公式サイトで直接確認することをおすすめします。
- 認証の審査内容や評価結果の詳細は、ホテルの公式サイトだけでなく認証機関のサイト(Sakura Quality:sakura-quality.com)でも確認できます
- エネルギー削減率・CO2排出量・受賞歴といった情報が、個別施設のものか、運営会社・グループ全体のものかは、記載を注意深く読み分けることをおすすめします
- 温泉廃熱利用やCO2オフセットプランなど、独自の技術的な取り組みは、数値が継続的に更新・公開されているかどうかが、取り組みの継続性を見るひとつの目安になります
この記事に掲載していない施設や、掲載後に更新された情報については、各施設の公式サイトを直接ご参照ください。
まとめ|あなたの「選ぶ理由」はどこにありますか?
今回紹介した10施設は、いずれも公式情報として何らかのサステナビリティへの取り組みが見つかりました。ただ、開示されている情報の量や深さ、そして取り組みの性質はホテルによってかなり違います。
GSTC承認基準に基づく第三者認証の取得がわかっているのは、ウェスティンホテル仙台の1施設。温泉廃熱という地域資源を数値付きで再利用しているのがゆと森倶楽部、細部にわたるアメニティ・調達面の開示量が際立つのが仙台ロイヤルパークホテルです。震災伝承や地域雇用といった社会面の取り組みを軸に据えるのが南三陸ホテル観洋とホテル・エルファロ。水産業と農業をつなぐ食の循環という、宮城ならではの切り口を持つのが気仙沼プラザホテルです。
「どの取り組みを自分は重視するか」という問いは、ホテル選びの前に、自分が旅に何を求めるかを問い直すことでもあります。この記事がその整理の一助になれば幸いです。
掲載情報は各ホテルの公式サイト・公式プレスリリースに基づき、2026年6月時点でわかった内容を記載しています。情報は予告なく変更される場合があります。最新情報は各施設の公式サイトでご確認ください。








