「サステナブルなホテルに泊まりたい」という言葉を、旅行サイトや雑誌で見かける機会が増えました。瀬戸内海に浮かぶ香川県は、小豆島町や丸亀市が国際認証機関「グリーン・デスティネーションズ」の「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選ばれるなど、宿泊施設単体だけでなく地域全体でサステナブルツーリズムに取り組んできた土地でもあります。
ただ、「サステナブル」で検索してみると、第三者認証を取得しているところもあれば、自社の取り組みを自己申告しているだけのところ、あるいは瀬戸内の産業廃棄物問題という歴史を踏まえて独自のエコロジーを実践しているところまで、方向性がかなり異なります。
この記事では、各施設の公式サイトや自治体・企業の公式発表をもとに確認できた情報を整理しています。施設の優劣を判断するものではなく、「自分の旅の目的に合うかどうか」を考えるための材料として読んでもらえると幸いです。今すぐ予約しなくてもいいですし、どれも選ばないという結論だって、もちろんあります。
編集部の選定基準
今回は、以下の4つの視点をもとにホテルを絞り込みました。あくまで「公式情報として確認できたかどうか」が基準であり、掲載されていないホテルが取り組みをしていないわけではありません。
- 第三者認証の取得状況 「Sakura Quality An ESG Practice」(GSTCが承認した宿泊施設向けスタンダード)やエコマーク認定など、宿泊施設向けの認証プログラムを取得し、公式に公表していること
- 情報開示の透明性 「サステナブル」「エコ」と表現する際に、認証名・具体的な施策・地域とのつながりといった根拠を公式サイトや公式発表で確認できること
- 資源管理・環境施策の方針 省エネ設備の導入、太陽光発電、廃棄物の循環利用、プラスチック削減など、具体的な施策が明示されていること
- 地域・文化への関わり 地産地消、伝統産業の継承、古民家再生、地域住民との協働など、社会・文化面での取り組みが公開されていること
掲載情報は2026年7月時点で確認できた一次情報(公式サイト・自治体発表・企業プレスリリース)に基づいています。豊島の一部施設のように、独自ドメインの公式サイトを持たず地域の観光案内サイトやSNSが主な情報源となっている施設については、その旨を明記しています。
なお、各施設の「注意点」に「確認できませんでした」とある場合、それはあくまで今回参照した情報源に記載がなかったという意味で、その施設が実際に取り組んでいないと断定するものではありません。パンフレットやSNS、自治体との共同事業など、今回目を通せていない媒体で発信されている可能性もあります。気になる項目があれば、最新の公式情報を直接確認してみてください。
施設紹介
高松エリア
1. 高松国際ホテル
場所|高松市木太町・高松市街地
施設の特徴
1964年の東京オリンピックの年に開業した老舗ホテル。あなぶきエンタープライズが運営し、皇室をはじめとする賓客をもてなしてきた歴史を持ちます。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
日本環境協会の「エコマーク(ホテル・旅館 Version2)」認定(認定番号19 503 007)を取得していることが、2026年7月時点でエコマーク公式サイトから確認できます。公式サイトでは、食べ残しの持ち帰りを促す「mottECO(モッテコ)」、リサイクルプラスチック製の歯ブラシ・ヘアブラシ「plaloop」の導入・回収、ウォーターサーバーと繰り返し使えるエコタンブラーの組み合わせ、国際協力プログラム「TABLE FOR TWO」への参画、地産地消の食材使用、敷地内の24時間利用可能なEV充電スタンドが、いずれも公式サイト上で紹介されています。
この施設が向いている可能性がある人
エコマークという国が関わる第三者認証の有無を判断材料にしたい方、食品ロス対策やプラスチック削減の具体策を確認したい方。
注意点・合わない可能性
一部のメディアには「サクラクオリティ認証も取得」という記載がありますが、公式サイト上ではその記載を確認できませんでした。なお同社は2026年にランサムウェア被害を公表しており、館内のDX関連サービスに変更が生じている可能性があります。
予約・詳細
2. ロイヤルパークホテル高松
場所|高松市瓦町・ことでん瓦町駅徒歩圏
施設の特徴
四国初のオールクラブフロアを備えた都市型デザイナーズホテル。空間デザイナー・寶田陵氏が内装を手がけています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトおよびニュースページで、2025年2月からの食品ロス削減「mottECO」導入(産官学連携アライアンス「mottECO普及コンソーシアム」への参画含む)、2024年11月からの「plaloop」歯ブラシ・ヘアブラシの導入・回収、バスアメニティの環境配慮型ポンプボトルへの切り替え、ミネラルウォーターのアルミ缶化、地産地消の食材使用が確認できます。香川県からプラスチックごみ削減に取り組む施設として認定を受けている旨も公式サイトに記載されています。
この施設が向いている可能性がある人
食品ロス対策の具体的な仕組みを重視する方、デザイン性と環境配慮の両立を求める方。
注意点・合わない可能性
「もみ殻・コーンスターチ配合のバイオマスカミソリ」「アルミ缶リサイクル率96.6%」「サクラクオリティ認証の取得」といった記載は、公式サイト上では見つけられませんでした。数値や認証名は特に更新されやすい情報なので、詳しく知りたい方は公式サイトで直接確認するのが確実です。
予約・詳細
小豆島エリア
3. 小豆島国際ホテル
場所|小豆郡土庄町・エンジェルロード隣接
施設の特徴
恋人の聖地として知られる「エンジェルロード」の隣に立地する、小豆島最大級のシーサイドリゾートホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトのSDGsページでは「持続可能な社会の実現に向けた4つの課題」への取り組みが明記されており、客室・大浴場のプラスチック製アメニティを環境配慮素材へ段階的に切り替え、リユースを進めていることがわかります。
この施設が向いている可能性がある人
エンジェルロードなど小豆島の観光拠点を求める方、大浴場や露天風呂での滞在を重視する方。
注意点・合わない可能性
「全従業員による毎月のエンジェルロード清掃ボランティア」「耕作放棄地オリーブ畑の復活支援」「外国籍スタッフの積極雇用・インターン受け入れの明文化」といった地域貢献のエピソードは、今回確認した公式SDGsページには見当たりませんでした。
予約・詳細
4. ベイリゾートホテル小豆島
場所|小豆郡小豆島町・内海湾沿い
施設の特徴
全室オーシャンビューの温泉リゾートホテル。小豆島国際ホテルと同じ「エンジェルリゾートグループ小豆島」が運営しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトでは、もろみ醤油と手作り豆腐を使ったバイキング、地産地消を掲げた会席料理、ロビーに設置されたアメニティコーナー(客室にはあらかじめ備え置かず、必要な人だけが取る方式)が紹介されています。
この施設が向いている可能性がある人
小豆島の醤油・オリーブなど地場食材を楽しみたい方、アメニティの過剰包装を避けたい方。
注意点・合わない可能性
「連泊時の清掃・リネン交換不要のインセンティブ設計」「観光庁認定の心のバリアフリー認定制度取得」は、公式サイト上では確認できませんでした。車椅子の貸し出しや大浴場の手すりといった設備自体は旅行会社の情報で見られますが、公的な認定制度を取得しているかどうかまでは今回の調査ではわかりませんでした。
予約・詳細
5. 島宿真里
場所|小豆郡小豆島町・醤の郷
施設の特徴
400年以上の歴史を持つ醤油の産地「醤の郷(ひしおのさと)」に位置する全8室の旅館です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトによると、小豆島の醤油・もろみを使った名物「醤油会席」、木桶仕込みの醤油づくりを紹介する醤油蔵見学ツアー(6〜8月の平日限定)、つくり手とつかい手をつなぐ手づくり工房「三風舎」(島内の農家から集めたオリーブオイルのセラーを併設)、登録有形文化財に指定された食事処「母屋」といった特徴があります。
この施設が向いている可能性がある人
醤油やオリーブオイルなど小豆島の食文化を体験を通じて知りたい方、伝統建築の中で過ごす時間を求める方。
注意点・合わない可能性
「サクラクオリティ認証取得」「瀬戸内の流木のアップサイクル」「焼杉の防腐壁」は、公式サイトでは確認できませんでした。
予約・詳細
丸亀・琴平エリア
6. 大江戸温泉物語 ホテルレオマの森
場所|丸亀市綾歌町・NEWレオマワールド隣接
施設の特徴
温泉・グルメバイキング・遊園地を備えた大規模レジャーホテル。丸亀市が「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選出される上で貢献した施設のひとつです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
大江戸温泉物語グループの公式発表(山陽新聞デジタルが引用)によると、バイキングで発生した食品廃棄物を専門業者が回収して肥料化し、隣接する「NEWレオマワールド」内のエディブルガーデンでハーブや野菜を栽培、収穫物を再びレストラン「WOOLIE’s Restaurant」で提供するという食品リサイクルループが構築されています。
この施設が向いている可能性がある人
温泉・グルメ・遊園地を一体で楽しみたい方、大規模施設ならではの循環型の仕組みに関心がある方。
注意点・合わない可能性
この施設の評価軸は主に「循環型観光の実践」で、サクラクオリティなど第三者認証の取得は今回確認できていません。
予約・詳細
7. 琴平グランドホテル 桜の抄・紅梅亭
場所|仲多度郡琴平町・金刀比羅宮参道
施設の特徴
金刀比羅宮の参道22段目に位置する温泉旅館グループ。姉妹館の「桜の抄」と「紅梅亭」があります。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
桜の抄では2023年3月にユニバーサルルームが新設されたことが確認できます。
この施設が向いている可能性がある人
金刀比羅宮参拝を軸にした滞在を考えている方、バリアフリー対応の客室を探している方。
注意点・合わない可能性
この施設については、公開されているサステナビリティ関連情報がユニバーサルルームの新設のみと、他の施設に比べて手薄でした。「EV充電器の設置」「こんぴらにんにくを使ったレトルトカレーの共同開発」「サクラクオリティ認証の取得」も公式サイトでは確認できませんでした。ちなみに予約サイトに表示される「サステナブルな取り組み」というタブは、施設固有の情報ではなく旅行会社が全国の宿泊施設ページに一律で表示している定型リンクなので、その点はご注意ください。
予約・詳細
三豊エリア
8. URASHIMA VILLAGE
場所|三豊市詫間町・荘内半島
施設の特徴
父母ヶ浜近くの荘内半島にある一棟貸しの宿。地元企業11社が出資する「瀬戸内ビレッジ株式会社」が運営しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトによると、屋上の太陽光パネルで全電力の9割程度を賄い、不足分は非化石証書付きの電力を購入することで「実質100%自然エネルギー」を実現しています。建築には県産材と伝統技法「焼杉」を使用。外部資本に頼らず、スーパー・建材屋・家具製造・工務店・建設業・バス会社・レンタカー会社・自然エネルギー会社など地元11社が出資する自走型の経営体制も、公式サイトで紹介されています。
この施設が向いている可能性がある人
再生可能エネルギーの仕組みを実際に確認したい方、外部資本に頼らない地域主導の宿づくりに関心がある方、ワーケーションや一棟貸しの滞在を求める方。
注意点・合わない可能性
「テスラ社製Powerwall2台」「太陽光パネル合計20.79kWp」「2021年度ウッドデザイン賞・林野庁長官賞受賞」といった具体的な数値や受賞歴は、公式サイトでは見つけられませんでした。
予約・詳細
直島エリア
9. 直島旅館 ろ霞
場所|香川郡直島町・本村エリア徒歩圏
施設の特徴
現代アートの島・直島に2022年に開業した、島内初の本格的な旅館です。全11室がスイート仕様。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
サクラクオリティ認証「3御衣黄ザクラ」の取得が認証機関の公式サイトで確認できます。旅館の公式サイトでは、岡山の間伐材(杉・檜)、京都の手漉き和紙、直島の御影石、香川の庵治石など近場で採れる自然素材を使った建築、裏山の間引きや畑の開墾による里山の再生、自家菜園での無農薬無肥料の自然農栽培、オーガニックコットン100%の館内着(アパレルブランド「iori products」とのコラボ)といった取り組みが紹介されています。
この施設が向いている可能性がある人
第三者認証の取得を確認したい方、現代アートと日本旅館の文化を組み合わせた滞在を求める方、地域の自然素材にこだわった建築に関心がある方。
注意点・合わない可能性
「衣・食・住・山」という4つの目標のフレーミングや、廃棄予定の館内着を草木染めでリメイクする取り組みは、公式サイトでは確認できませんでした。
予約・詳細
10. ベネッセハウス
場所|香川郡直島町・琴弾地
施設の特徴
1992年開館、美術館とホテルが一体となった施設。建築はすべて安藤忠雄氏が設計しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サステナビリティページによると、2014年以降に館内照明を100%LED化(白熱電球を全廃)、エアコン・エレベーターのインバータ化、重油ボイラーから電気ボイラーへの順次更新、深夜電力を活用するデマンド監視システムと蓄熱型貯湯槽の導入が行われています。水資源では、敷地内の沈砂池で循環式水資源を活用し、膜式浄化槽を採用、地下ピットの雨水を水景設備に再利用しています。連泊時の客室清掃・リネン交換は、希望に応じて省略できる仕組みも整えられています。
この施設が向いている可能性がある人
具体的な環境施策の年次や仕組みを公式情報で確認したい方、美術館とホテルが一体となった滞在体験を求める方。
注意点・合わない可能性
「動物実験フリーのアメニティTHANN」「廃アクリル板のキーホルダー化」「HACCP導入」「島民との合同防災訓練」は、今回確認したページには記載がありませんでした。サイトの他のセクションに載っている可能性はあります。
予約・詳細
観音寺エリア
11. 株式会社ホテルサニーイン
場所|観音寺市・観音寺駅前
施設の特徴
観音寺駅前に位置するビジネスホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトのSDGsページで、SDGs宣言の公表、館内LED化、太陽光発電の導入、連泊時の清掃確認によるクリーニング削減、アメニティの詰め替え方式への移行が確認できます。地域面では、骨付鳥・イリコ・練り物など香川県・観音寺市の食材の積極活用、地元アート作家の作品展示、自動チェックイン機の導入、HACCPの考え方に基づく衛生管理が挙げられています。
この施設が向いている可能性がある人
観音寺市を拠点にした滞在を考えている方、地場食材やローカルアートとの接点を求める方。
注意点・合わない可能性
GSTC・ISO 21401・サクラクオリティといった第三者認証の取得は確認できませんでした。
予約・詳細
補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
各施設をさらに詳しく調べたい方は、以下の点を確認することをお勧めします。
- 認証の審査内容や評価結果の詳細は、ホテルの公式サイトだけでなく認証機関のサイト(Sakura Quality:sakuraquality.com、エコマーク:ecomark.jp)でも確認できます
- 豊島の3施設(とのわ・MUJI BASE TESHIMA・とくと)のように、独自の公式サイトを持たない施設については、地域の観光協会サイトや運営元の公式発表など、より信頼度の高い情報源を優先して確認することをお勧めします
- 「サステナブルな取り組み」という表示が旅行予約サイトの定型タブなのか、施設固有の情報にリンクしているのかは、実際にクリックして中身を確認するまでわかりません
この記事に掲載していない施設や、掲載後に更新された情報については、各施設の公式サイトおよび認証機関の公開リストを直接ご参照ください。
まとめ|あなたの「選ぶ理由」はどこにありますか?
今回紹介した14施設は、それぞれ異なる角度からサステナビリティに関わっています。このうち、2026年7月時点で第三者認証の取得を公式情報から確認できたのは、エコマークを持つ高松国際ホテルと、サクラクオリティ「3御衣黄ザクラ」を持つ直島旅館 ろ霞の2施設です。
再生可能エネルギーの自給という具体的な仕組みを公式情報として示しているのがURASHIMA VILLAGEで、この14施設の中では、2014年以降の環境施策について最も詳細に年次と内容を開示しているのがベネッセハウスです。食品リサイクルという循環の仕組みを軸にしているのが大江戸温泉物語 ホテルレオマの森、醤油という地域の伝統産業に光を当てているのが島宿真里。
「どの取り組みを自分は重視するか」という問いは、ホテル選びの前に、自分が旅に何を求めるかを問い直すことでもあります。認証の有無を重視する人もいれば、地域の歴史との向き合い方に惹かれる人もいるでしょう。この記事がその整理の一助になれば幸いです。
掲載情報は各ホテルの公式サイト・自治体発表・企業プレスリリースに基づき、2026年7月時点で確認できた内容を記載しています。情報は予告なく変更される場合があります。最新情報は各施設の公式サイトでご確認ください。








