「サステナブルなホテルに泊まりたい」という言葉を、旅行サイトや雑誌で見かける機会が増えました。奈良でも、環境への配慮や地域との関係性を打ち出す宿泊施設が少しずつ現れています。
ただ、「サステナブル」で検索してみると、第三者認証を取得しているところもあれば、自社の取り組みを自己申告しているだけのところもあって、何を根拠に選べばいいか迷うのが正直なところです。
この記事では、各施設の公式サイトやプレスリリースをもとに確認できた情報を整理しています。施設の優劣を判断するものではなく、「自分の旅の目的に合うかどうか」を考えるための材料として読んでもらえると幸いです。今すぐ予約しなくてもいいですし、どれも選ばないという結論だって、もちろんあります。
編集部の選定基準
今回は、以下の4つの視点をもとにホテルを絞り込みました。あくまで「公式情報として確認できたかどうか」が基準であり、掲載されていないホテルが取り組みをしていないわけではありません。
- 第三者認証の取得状況 「Sakura Quality An ESG Practice」(GSTCが承認した宿泊施設向けスタンダード)や国際環境認証「Green Key(グリーンキー)」など、宿泊施設向けの認証プログラムを取得し、公式に公表していること
- 情報開示の透明性 「サステナブル」と表現する際に、認証名・評価内容・数値目標といった根拠を公式サイトで確認できること
- 資源管理・環境施策の方針 省エネ設備の導入、節水、廃棄物削減、プラスチック削減など、具体的な施策が明示されていること
- 地域や調達先への配慮 地産地消、地域事業者との連携、地域社会への貢献など、社会・経済面での取り組みが公開されていること
掲載情報は2026年4月時点で公式情報として掲載されていることを確認したもの(公式サイト・ニュースリリース)に基づいています。
施設紹介
1. JWマリオット・ホテル奈良
場所|奈良市三条大路・近鉄奈良線「新大宮」駅徒歩10分
施設の特徴
奈良で初めてのJWマリオットブランドとして、2020年に開業しました(公式サイトに記載)。奈良県が推進した大宮通り再開発事業の一環として誕生した158室のホテルで、奈良の自然・歴史・文化が空間の各所に取り入れられています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
2025年10月15日、国際環境認証「Green Key(グリーンキー)」を取得しました。マリオット・インターナショナルの公式プレスリリース(2025年12月発表)で確認できます。
Green Keyは、デンマーク拠点の非営利団体FEE(国際環境教育基金)が運営する国際認証です。エネルギー管理・水資源保全・廃棄物削減・地域との関係構築など、複数の分野にわたる基準を審査して認証が与えられます。
取り組みの内容は公式サイトにも記載されています。食品廃棄物の削減には、厨房で出た廃棄物を食材ごとに分析するAIシステム「Winnow」を活用。全シャワーに節水装置を導入しており、快適性を保ちながら水の使用量を抑えています。館内で使う印刷物や備品の90%以上は、エコ認定を受けた企業からの調達と明記されています。
使い捨てアメニティと食品包装の削減も進めており、館内には奈良の伝統工芸品や地元作家のアートワークが展示されています。地域の児童福祉施設への支援活動についても、プレスリリースに記載があります。
この施設が向いている可能性がある人
国際的な第三者認証(Green Key)の取得を宿泊選びの基準にしたい方、食品ロス削減や節水など具体的な環境施策を確認したい方、奈良市中心部を拠点に観光を検討している方。
注意点・合わない可能性
今回確認できた情報源は、公式サイトとマリオット・インターナショナルのプレスリリースです。エネルギー使用量や廃棄物削減率といった数値が定期的に公開されているかどうかは、今回の調査範囲では確認できませんでした。認証の審査内容の詳細は、Green Key公式サイト(greenkey.global)でご確認ください。
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一休で詳しく見る2. ホテル日航奈良
場所|奈良市三条本町・JR奈良駅西口直結
施設の特徴
JR奈良駅に直結する都市型ホテルです。オークラ ニッコー ホテルマネジメントが運営しており、観光・ビジネス双方の利用に対応しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
2024年1月26日、「Sakura Quality An ESG Practice」の認証を取得しました。評価は5段階中、上から2番目にあたる「4御衣黄(ぎょいこう)ザクラ」で、いずれも奈良県内の宿泊施設として初めての取得です(公式ニュースページに明記)。
Sakura Quality An ESG Practiceは、SDGsの17のゴールをもとに整理された172項目の基準について、独立した第三者委員会が審査を行う認証制度です。持続可能な観光の国際基準団体GSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)から基準の承認を受けています。ただし、GSTCが直接ホテルを認証する仕組みとは別のものです。
4御衣黄ザクラが与えられるのは「Regenerative」に分類された施設、つまり「顧客が増えるほど、地域環境をより良くする施設」と評価されたことを指します。認証と同時に、衛生・安全管理を評価する「Sakura Quality A Clean Practice」も取得しています。
この施設が向いている可能性がある人
国内の第三者認証(Sakura Quality)の取得状況と評価内容を判断材料にしたい方、奈良市内で認証実績のある施設を優先して探している方、JR奈良駅の直結アクセスを重視する方。
注意点・合わない可能性
今回確認できたのは認証取得の事実と認証制度の概要です。省エネ・節水・廃棄物削減・地産地消といった個別施策の詳細や具体的な数値は、公式サイトでは確認できませんでした。認証の審査内容については、認証機関のサイト(sakuraquality.com)でご確認ください。
詳細を見る
一休で詳しく見る3. 奈良ホテル
場所|奈良市高畑町・奈良公園に隣接
施設の特徴
1909年(明治42年)に開業した「関西の迎賓館」として知られる歴史的ホテルです。「日本クラシックホテルの会」の会員で、JR西日本ホテルズが運営しています。100年以上使われ続けてきた建物を維持・継承していること自体が、この施設の長期的な姿勢を示しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトにSDGsの専用ページ(narahotel.co.jp/sdgs/)が設けられており、具体的な取り組みが項目ごとに公開されています。
省エネの面では、LED照明の導入・空調の最適化制御・従業員のパソコンへの省エネ設定を実施。節水については「ボヌールシャワーヘッド」を客室に順次導入しており、最大65%の節水効果があると明記されています。連泊のゲストにはベッドに「エコカード」を置くことでシーツ交換の要否を自分で選んでもらう仕組みを取り入れ、洗剤排水の削減につなげています。
廃棄物については、ペットボトル・アルミ缶のリサイクルと、厨房の生ごみを飼料として再資源化する取り組みを実施。食材は地産地消を基本としており、輸送距離を抑えることでCO2削減を図るとしています。
「奈良のシカ」の保護活動への参画も、公式SDGsページに記載されています。鹿と人が共生してきた奈良公園の景観を、次につなぐための活動です。
この施設が向いている可能性がある人
国際認証よりも、施設自身が何をどう開示しているかを確認したい方、奈良公園・東大寺周辺への観光を拠点として考えている方、歴史的な建築に泊まること自体に価値を感じる方。
注意点・合わない可能性
確認できた取り組みは、省エネ・節水・廃棄物リサイクル・地産地消・鹿保護活動への参画です。Green KeyやSakura Qualityのような第三者認証の取得は、今回の調査では確認できていません。エネルギー使用量やCO2排出量などの数値が定期的に公表されているかどうかも、公式サイトでは明確に確認できませんでした。
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一休で詳しく見る補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
各施設についてさらに調べたい方は、以下の点を直接確認することをお勧めします。
- 認証の審査内容や評価の詳細は、ホテルの公式サイトだけでなく各認証機関のサイトでも確認できます(Green Key:greenkey.global、Sakura Quality:sakuraquality.com)
- エネルギー削減率・CO2排出量・廃棄物量といった数値が継続的に更新・公開されているかは、取り組みが一時的なものかどうかを見るひとつの目安になります
- チェーン系ホテルの場合は、ブランド全体の方針とこの施設固有の取り組みを分けて確認することを勧めます
この記事に掲載していない施設や、掲載後に更新された情報については、各施設の公式サイトや認証機関の公開リストを直接ご参照ください。
まとめ|あなたの「選ぶ理由」はどこにありますか?
今回紹介した3施設は、公式情報としてサステナビリティへの取り組みが確認できたホテルです。ただ、開示されている情報の量や深さは、施設によってかなり違います。
国際的な第三者認証(Green Key)の取得が確認できているのはJWマリオット・ホテル奈良。食品廃棄物の管理に使うAIシステムや節水装置の全室導入、エコ調達の比率など、具体的な取り組みを公式サイトで示しているのもこの施設です。奈良県内で初めてSakura Quality(4御衣黄ザクラ)を取得したのがホテル日航奈良で、第三者による審査を経た認証として確認しやすい位置にあります。奈良ホテルは認証こそないものの、SDGsの専用ページで省エネ・節水・廃棄物・地域貢献の取り組みを自ら開示しており、100年以上の歴史ある建物を使い続けていること自体をどう評価するか、という問いも残ります。
どの取り組みを重視するかは、自分が旅に何を求めているかと切り離せません。この記事がその整理の一助になれば幸いです。
掲載情報は各ホテルの公式サイト・公式プレスリリースに基づき、2026年4月時点で公式情報として掲載されていることを確認したものです。情報は予告なく変更される場合があります。最新情報は各施設の公式サイトでご確認ください。
JWマリオット・ホテル奈良 Green Key取得:2025年10月15日(マリオット・インターナショナル公式プレスリリースより) ホテル日航奈良 Sakura Quality取得:2024年1月26日(公式ニュースページより)








