サステナブル ファイナンスに取り組む銀行おすすめ5選【2026】 資金使途・第三者評価・気候開示で選んだ、口座を選び直す前に読む一記事

「サステナブルな銀行」と調べると、グリーンローンやESGという言葉がたくさん出てきます。でも、銀行がどんな姿勢で融資をしているのか、自分のお金がどこに流れているのかは、商品名だけでは見えません。

銀行を選び直そうと思っているなら、この記事が参考になるかもしれません。日本の銀行を対象に、資金使途の明確さ・気候変動への向き合い方・第三者評価の有無など6つの軸で、公式サイトの情報だけをもとに5行を紹介します。確認できなかった項目は、そのまま「確認できず」と書いています。

Quick Summary:目的別おすすめはこれ

こんな人におすすめ理由
GHG削減の伴走支援まで求めているみずほ銀行GHG可視化ツール連携・JCR認証・外部原則準拠のフレームワーク整備を公式で確認
地域の自然環境保全に共鳴できる銀行にしたい滋賀銀行びわ湖保全預金・自治体連携SLL・グループ系シンクタンクによる目標評価を公式で確認
独立した評価機関の認証を重視しているSBI新生銀行JCR認証・行内評価室による審査・グリーン/ソーシャル/サステナビリティの3分野対応
地元の地方銀行でサステナブルな取引をしたい千葉銀行グループ内研究所による評価・SLL型とグリーンローン型の両方あり
資金の使途よりも事業全体の評価を重視したい三井住友信託銀行UNEP FI原則に基づくPI評価・事業全体のインパクトを多角的に評価

まず知っておきたい:この記事の選定基準

6つの軸をもとに各行を調べました。「公式サイトで確認できたかどうか」が基準です。取り組みをしていない銀行と、開示していない銀行は、この記事では区別できません。

  • ①資金使途の透明性:資金の使途が事前に定義・公開されているか。LMAグリーンローン原則または環境省ガイドラインへの準拠が確認できるか。
  • ②気候リスク対応:TCFD等の枠組みに沿った移行計画・シナリオ分析が組み込まれているか。
  • ③自然・人権・社会面:人権デューデリジェンス、自然資本への配慮、地域社会への影響が方針として明記されているか。
  • ④開示の質と比較可能性:目標・実績・改善策が毎年同じ基準で公開されているか。
  • ⑤第三者評価:JCR・R&Iなど独立した外部機関の意見書・認証があるか。グループ内機関による評価は⑤に含めず、各行の本文で説明しています。
  • ⑥ポートフォリオ移行戦略:銀行全体の排出削減目標とひもづいているか。

掲載情報は2026年5月時点で各行公式サイトから確認した一次情報に基づいています。

おすすめのサステナブルな銀行5選

1. みずほ銀行

📊 TCFD対応・気候シナリオ分析公開(みずほFGとして) 🔍 JCR認証を複数商品で取得 🤝 GHG可視化ツール「e-dash」と連携 🌿 外部原則準拠のフレームワーク整備 ♻️ 環境省インパクトファイナンス指針準拠

みずほ銀行は、GHG排出量をまだ算定できていない企業から、スコアリング型融資、フレームワーク型SLLまで、複数の商品を段階別に用意しています。どこから始めればいいかわからない企業にとっては、入口が広い銀行といえます。

「GHG見える化インパクトファイナンス」は、GHG排出量の可視化・削減支援ツール「e-dash」との連携が特徴です。排出量の算定から目標設定、定期的なモニタリングまでを銀行が伴走します。公式ページに示されている年4.2%削減という数値は中小企業版SBTを参考にした目標水準の例であり、全ての案件に一律に課される値ではありません。取扱開始は2025年2月13日。

「みずほSLL PRO」は、SLL原則に準拠したフレームワークをみずほ銀行が構築し、外部格付機関から適合性認証を取得しています。借り手が個別に評価機関へ依頼する必要がなく、第三者評価のコストが障壁になっていた中堅・中小企業にも利用しやすい設計です。

一点、注意が必要です。TCFDに基づく気候開示やシナリオ分析は、みずほフィナンシャルグループ全体としての開示です。個別商品の設計とは別に確認する必要があります。銀行グループとしての姿勢が気になる場合は、みずほFGのサステナビリティページも参照することを勧めます。

公式サイト:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/sustainability/

2. 滋賀銀行

🌊 びわ湖保全への個人向け預金商品あり 🏛️ 滋賀県の行政制度と連携したSLL 🔍 グループ系シンクタンク(KEIBUN)による目標評価 📊 毎年1回の削減実績レポーティング ♻️ 地域循環型のサステナブルファイナンス設計

滋賀銀行は、メガバンクにはない地域密着型の設計が目立ちます。

「しがCO2ネットゼロプラン」は、滋賀県が設ける「事業者行動計画書制度」への参加が条件です。提出した削減目標の達成状況に応じて金利等が変わる仕組みで、目標の評価はしがぎん経済文化センター(KEIBUN)が担います。毎年1回、削減実績を滋賀県に報告する義務もあります。行政・銀行・シンクタンクが連携したこの設計は、他の地方銀行ではあまり見られません。ただし、対象は滋賀県内の企業に限られます。

KEIBUNについては補足が必要です。滋賀銀行グループのシンクタンクであり、JCRやR&Iのような完全独立の格付機関ではありません。外部評価の独立性を重視する場合は、この点を踏まえて判断してください。

個人として気になったのは「びわ湖ブルー預金」です。定期預金残高の0.005%相当額を、滋賀銀行がびわ湖の環境・水質・生態系に関わる研究団体等へ寄付する仕組みです。寄付実績はホームページで公開されています。資金使途の外部認証も移行戦略との連動もありませんが、預金を通じて地域の自然環境保全に関わりたい人には、他行にない選択肢です。

公式サイト(法人):https://www.shigagin.com/company/catalog/sustainable/
公式サイト(個人・びわ湖ブルー預金):https://www.shigagin.com/personal/asset/biwakoBlue/

3. SBI新生銀行

🔍 JCR認証取得(サステナブルファイナンス・フレームワーク) 🏢 行内に「サステナブルインパクト評価室」設置 🌿 グリーン・ソーシャル・サステナビリティの3分野対応 📋 資金使途の追跡管理と定期レポーティング

SBI新生銀行は、サステナブルファイナンスを担う専門部署を行内に設けています。「サステナブルインパクト評価室」がプロジェクトの環境改善効果とネガティブ影響への対応を評価する仕組みです。この評価室は銀行内部の組織であり、外部の独立機関ではありません。JCRの認証は評価室そのものではなく、フレームワーク全体の設計に対する適合性意見です。

「新生グリーン/ソーシャル/サステナビリティローン」は、グリーンプロジェクトだけでなく、地域振興やヘルスケアなどのソーシャルプロジェクトにも対応しています。再生可能エネルギー、省エネ建築(ZEB/ZEH)、クリーンな輸送、リサイクル関連設備が主な対象で、資金の全額が対象プロジェクトに充当されます。

公式ページの詳細はJavaScriptが必要なため、ウェブ上から確認できる情報に限界がありました。融資条件の詳細は個別の問い合わせで確認してください。

公式サイト:https://www.sbishinseibank.co.jp/institutional/sustainable_finance/green/

4. 千葉銀行

🔍 グループ内研究所(ちばぎん総合研究所)による評価 ♻️ グリーンローン型・SLL型の2商品を整備 📊 SPTs達成状況に連動した金利設定 📋 プロジェクト単位の定量的な環境改善効果を設定

「ちばぎんSDGsリーダーズローン」には、目標の達成度と金利が連動するSLL型と、資金使途を環境プロジェクトに限定するグリーンローン型の2種類があります。グリーンローン型は原則として設備資金に限定され、プロジェクトごとに定量的な環境改善効果を事前に設定します。どちらも、SLL原則・グリーンローン原則・環境省ガイドラインへの整合性についてちばぎん総合研究所の評価を受けることが条件です。融資金額は1億円以上が目安ですが、案件によって異なります。

ちばぎん総合研究所はちばぎんグループ内の機関です。JCRやR&Iのような独立した格付機関とは性格が異なります。そのため、この記事の⑤(独立した外部機関による評価)には含めていません。評価の独立性をどう見るかは、ご自身の基準で判断することを勧めます。

公式サイト:https://www.chibabank.co.jp/hojin/services/financing/sustainable/sdgs_leaders_loan/sdgs_leaders_loan_outline

5. 三井住友信託銀行

🌍 UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)原則準拠 📊 独自の「PI評価フレームワーク」開発 🔍 案件ごとに外部評価機関による第三者評価取得 ♻️ 資金使途を特定しない事業全体の評価設計

三井住友信託銀行の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」は、資金の使途をプロジェクトに限定しません。その代わり、企業活動全体が環境・社会・経済に与えるインパクトを多角的に評価します。

UNEP FIが提唱するポジティブ・インパクト金融原則に基づき、同行が独自に開発した「PI評価フレームワーク」を使います。ポジティブインパクトの増大とネガティブインパクトの緩和という2つの方向で目標を設定し、開示情報をもとにモニタリングを続ける設計です。外部評価は案件ごとに取得しています。

気候変動対応(②)もインパクト評価に間接的に含まれるケースがありますが、今回は公式ページで直接確認できた軸のみ示しています。

特定の設備投資への充当よりも、事業全体のサステナビリティを評価してほしい企業に向いています。逆に、資金使途の明確な紐づけを重視する場合は、他の4行の商品と比較して検討することを勧めます。

公式サイト:https://www.smtb.jp/business/pif

さいごに

5行を並べると、「サステナブルな銀行」といっても、その中身は全く違います。

GHG算定から伴走するみずほ銀行、地域の自然環境と個人の預金行動を結びつける滋賀銀行、行内評価室とJCR認証の組み合わせで対応するSBI新生銀行、地元グループ機関を活用する千葉銀行、事業全体をインパクトで評価する三井住友信託銀行。どれが優れているという話ではありません。何を大切にするかで、見え方が変わります。

この記事では、独立した格付機関による評価とグループ内機関による評価を区別しました。どちらが実態に即しているかは、開示資料だけではわからない部分もあります。銀行との対話を通じてしか見えてこないことも、少なくありません。

自分のお金がどこへ流れているかを気にするのは、どこかから始めるための一歩かもしれません。あなたが銀行に求めるものは、何でしょうか。

Mariko
Mariko

小林真梨子|日本在住のエコライター。2018年よりサステナブルな暮らしを実践。パリ第四大学(ソルボンヌ)で分析・言語哲学の修士を取得。哲学的視点から、倫理的消費・エコライフスタイルをリサーチベースで発信する独立メディア「エコ哲学」を運営。