「サステナブルなホテルに泊まりたい」という言葉を、旅行サイトや雑誌で見かける機会が増えました。那須・鬼怒川・宇都宮など、温泉と自然に恵まれた栃木でも、環境への配慮や地域との関係性を打ち出す宿泊施設が少しずつ現れています。
ただ、「サステナブル」で検索してみると、第三者認証を取得しているところもあれば、自社の取り組みを自己申告しているだけのところもあって、何を根拠に選べばいいか迷うのが正直なところです。
この記事では、各施設の公式サイトやプレスリリースをもとに確認できた情報を整理しています。施設の優劣を判断するものではなく、「自分の旅の目的に合うかどうか」を考えるための材料として読んでもらえると幸いです。今すぐ予約しなくてもいいですし、どれも選ばないという結論だって、もちろんあります。
編集部の選定基準
今回は、以下の4つの視点でホテルを絞り込みました。「公式情報として確認できたかどうか」を基準にしているだけなので、ここに載っていないホテルが何もしていないというわけではありません。
- 第三者認証の取得状況|Green GlobeやSakura Quality An ESG Practice(GSTCが承認した宿泊施設向けスタンダード)、公的エコマークなど、宿泊施設向けの認証プログラムを取得し、公式に公表していること
- 情報開示の透明性|「サステナブル」「エコ」と名乗る際に、認証名や取り組みの中身を公式サイトで裏取りできること
- 資源管理・環境施策の方針|再生可能エネルギーの活用、省エネ設備、脱プラスチック、廃棄物削減など、具体的な施策があること
- 地域や調達先への配慮|地産地消、地域工房・職人との連携、地域社会への貢献など、社会・文化面の取り組みが見えること
掲載情報は、各施設の公開時点で確認できた一次情報(公式サイト・公式プレスリリース)をもとにしています。チェーン系ホテルについては、その施設だけの取り組みなのか、チェーン全体の方針なのかをできるだけ分けて書いています。
施設紹介
1. グランドメルキュール那須高原リゾート&スパ
場所|那須郡那須町・那須連山を望む高原エリア
施設の特徴
那須連山とその裾野に広がる高原を望む、Accor(アコー)グループのリゾートホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
2025年11月27日、国際認証「Green Globe」を取得したことが公式サイトで発表されています。達成率は83%。Green Globeは、経営のあり方・地域社会や経済への配慮・文化遺産の保全・環境負荷(エネルギー、水、廃棄物、生物多様性など)という4つの領域で評価される国際認証です。書類提出だけでなく第三者機関による現地調査を経る必要があり、取得後も毎年の更新審査が求められます。
この施設が向いている可能性がある人
第三者認証の取得状況や審査の透明性を重視する方、那須高原エリアでの滞在を検討している方。
注意点・合わない可能性
今回確認できたのは、Green Globeの取得と達成率(83%)です。エネルギー使用量や廃棄物量といった個別の数値までは、公式サイト上で公開されていません。
予約・詳細
2. ホテルラフォーレ那須
場所|那須郡那須町湯本・那須御用邸に隣接するエリア
施設の特徴
那須御用邸のそばという静かな立地にある、ラフォーレホテルズ&リゾーツのホテル&コテージです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
宿泊施設向けESG認証「Sakura Quality An ESG Practice」で最上位に近い「4御衣黄桜」を取得したことが公式に発表されています。栃木県の宿泊施設としては初めての取得だそうです。認証の審査基準や評価項目の詳細を知りたい場合は、サクラクオリティマネジメントの公式サイトを確認するのが確実です。
環境面では、地元食材の使用によるCO2排出の抑制、食材や調味料の一部をフェアトレード品に置き換える取り組み、FSC認証紙を使ったオリジナルノートの配布などが公式サイトの特集ページで紹介されています。地元住民向けの日帰り温泉や、地域の工房と組んだ宿泊プランについてもプレスリリースで触れられていますが、詳しい内容は公式サイトの該当ページで直接確認することをお勧めします。
この施設が向いている可能性がある人
認証取得の根拠と、地域とのつながりを重視した取り組みの両方を見たい方。那須で地元の工房や自然ガイドとのふれあいを求める方。
注意点・合わない可能性
確認できたのは認証取得と、上に挙げた地域連携の施策が中心です。エネルギーや水の使用量といった数値での開示は、今回の調査では見つかりませんでした。
予約・詳細
3. TOWAピュアコテージ
場所|那須郡那須町高久乙・那須ハイランドパーク隣接エリア
施設の特徴
那須ハイランドパークのオフィシャルホテルで、コテージやグランピングを中心にした宿泊施設です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
那須ハイランド周辺の森林を整備する際に出る間伐材を、自社のバイオマス発電で電力に変えている点が公式サイトのサステナビリティページで紹介されています。この電力は一部の客室やフロント棟、レストランで使われており、施設の運営から得た収益を森林整備に還元する、地域に根ざした循環の仕組みを目指しているとのことです。カーボンニュートラルな社会の実現に向けた方針も掲げられています。
この施設が向いている可能性がある人
再生可能エネルギーをどう作り、どう使っているかまで具体的に知りたい方。那須ハイランドパークとあわせてコテージ・グランピング滞在を楽しみたい方。
注意点・合わない可能性
バイオマス発電と再エネ活用の記載は確認できましたが、供給範囲は客室の一部・フロント棟・レストランにとどまり、施設全体を賄っているわけではありません。こども食堂の運営や保護犬支援といった地域貢献活動はプレスリリースなどで見かけますが、サステナビリティページ本体での明記までは確認できませんでした。
予約・詳細
4. 星野リゾート 界 鬼怒川
場所|日光市鬼怒川温泉・鬼怒川渓流沿い
施設の特徴
鬼怒川の渓流を見下ろす丘の上に建つ温泉旅館で、星野リゾートの「界」ブランドの1軒です。
地域文化継承・地域連携の取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトによると、全48室が益子焼や黒羽藍染、大谷石といった栃木の民藝品を取り入れた「とちぎ民藝の間」として整備されています。黒羽藍染職人の小沼雄大氏と巡る工房ツアーや、益子焼マイスターが器の楽しみ方を紹介する「益子焼ナイト」も継続的に開かれているようです。
なお、星野リゾートグループが2025年6月に始めた「ペーパータオルの水平リサイクル」は、星のや軽井沢や軽井沢ホテルブレストンコートなど4施設が対象で、界 鬼怒川は含まれていません。
この施設が向いている可能性がある人
伝統工芸や地域文化との出会いを旅の目的にしたい方。職人との交流や体験を通じて、栃木の民藝文化に触れたい方。
注意点・合わない可能性
確認できたのは、民藝品を通じた地域文化の継承という文化面の取り組みが中心です。エネルギーや水、廃棄物といった環境面の数値的な取り組みは、この施設固有の情報としては見つかりませんでした。
予約・詳細
5. ダイワロイネットホテル宇都宮
場所|宇都宮市東宿郷・JR宇都宮駅東口徒歩約3分
施設の特徴
JR宇都宮駅東口から歩いてすぐの、ビジネスにも観光にも使いやすいホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
エコマークの公式サイトにある認定ホテル一覧を見ると、公益財団法人日本環境協会による「エコマーク」認定(認定番号:23 503 005)の対象施設であることがわかります。ただしこれは宇都宮のこの施設だけの実績というより、「ダイワロイネットホテルズ」というチェーンとしての認定の一部です。グループ共通の施策として、使用電力の再エネ化を目指すRE100への加盟、屋外照明のLED化・タイマー制御、客室アメニティのバイオマス素材への切り替えなどが公式に発表されています。
この施設が向いている可能性がある人
公的な第三者認証(エコマーク)を判断材料にしたい方。宇都宮駅からのアクセスを重視するビジネス・観光利用の方。
注意点・合わない可能性
確認できた取り組みはすべてチェーン共通の施策で、宇都宮の施設ならではの取り組みとして公表されている情報は見当たりませんでした。施設単体でのエネルギーや水の使用量も公開されていません。
予約・詳細
6. ホテルルートイン宇都宮ゆいの杜
場所|宇都宮市ゆいの杜
施設の特徴
宇都宮郊外の「ゆいの杜」エリアにある、ルートインホテルズのホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトのSDGsページでは、連泊時に客室清掃を簡素化する「Eco DE ルートイン」という制度が紹介されています。水資源とエネルギーの節約を目的とした仕組みだそうです。このほか、歯ブラシやカミソリ、ブラシへのバイオマス素材の採用、アメニティを個別包装せず並べる「アメニティバー」の設置、帳票のデジタル化によるペーパーレス化なども、ルートインホテルズ全体のSDGs施策として公表されています。
この施設が向いている可能性がある人
連泊時の環境配慮に自分も協力したい方。宇都宮郊外エリアでの滞在を考えている方。
注意点・合わない可能性
確認できた取り組みはすべてルートインホテルズ全体の共通施策で、ゆいの杜の施設ならではの取り組みとして公表されている情報はありませんでした。地域雇用や地域貢献活動についても、この施設固有の記載は見当たりません。
予約・詳細
補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
もっと詳しく知りたい方は、次の点を公式サイトで直接確認してみてください。
- 認証の審査基準や評価結果は、ホテルの公式サイトだけでなく認証機関自体のサイト(Green Globe:greenglobe.com、Sakura Quality:サクラクオリティマネジメント公式サイト)でも確認できます
- チェーン系ホテルの場合、ブランド全体の方針とその施設だけの取り組みは分けて見た方が実態がつかみやすいです。今回の6施設のうち3つ(ダイワロイネットホテル宇都宮、ホテルルートイン宇都宮ゆいの杜、星野リゾート界鬼怒川のペーパータオル施策)は、施設固有ではなくグループ共通の取り組みでした
- 栃木県内では、日光市の湯元・中宮祠地区が環境省の「脱炭素先行地域」に選ばれ、温泉熱を使った給湯・融雪システムや太陽光発電、廃食油由来のバイオ燃料バスなど、地域一体での取り組みも進んでいます。1軒ずつの取り組みだけでなく、こうした地域全体の動きも合わせて見ると、栃木のサステナブルツーリズムの厚みがより見えてくるはずです
ここに載っていない施設や、掲載後に更新された情報については、各施設の公式サイトを直接確認してください。
まとめ|あなたの「選ぶ理由」はどこにありますか?
今回紹介した6施設は、いずれも何らかのサステナビリティへの取り組みが公式情報として確認できました。ただ、開示されている情報の量や深さ、そして「その施設だけの取り組みか、チェーン共通のものか」は、ホテルによってかなり違います。
第三者機関の現地調査を伴う国際認証を取得しているのが、グランドメルキュール那須高原リゾート&スパ(Green Globe)とホテルラフォーレ那須(Sakura Quality)。自社でバイオマス発電という具体的な設備を持つのがTOWAピュアコテージで、益子焼や黒羽藍染といった地域の伝統工芸を軸にしているのが星野リゾート界鬼怒川です。ダイワロイネットホテル宇都宮とホテルルートイン宇都宮ゆいの杜は、チェーン全体の環境方針の中で、宇都宮の施設もその恩恵を受けている、という形になります。
「その取り組みは、施設が自分で積み上げてきたものなのか、それともチェーンに属しているから受け取れるものなのか」——そう考えてみることは、ホテルを選ぶ前に、自分がその滞在に何を求めているのかを問い直すことでもあります。この記事がその整理の一助になれば幸いです。
掲載情報は各ホテルの公式サイト・公式プレスリリースをもとに、公開時点で確認できた内容を記載しています。情報は予告なく変更される場合がありますので、最新情報は各施設の公式サイトでご確認ください。








