「サステナブルなホテルに泊まりたい」という言葉を、旅行サイトや雑誌で見かける機会が増えました。金沢でも、環境への配慮や地域との関係性を打ち出す宿泊施設が少しずつ現れています。
ただ、「サステナブル」で検索してみると、第三者認証を取得しているところもあれば、自社の取り組みを自己申告しているだけのところもあって、何を根拠に選べばいいか迷うのが正直なところです。
この記事では、各施設の公式サイトや公的機関のサイトをもとに確認できた情報を整理しています。施設の優劣を判断するものではなく、「自分の旅の目的に合うかどうか」を考えるための材料として読んでもらえると幸いです。今すぐ予約しなくてもいいですし、どれも選ばないという結論だって、もちろんあります。
編集部の選定基準
今回は、以下の4つの視点をもとにホテルを絞り込みました。あくまで「公式情報として確認できたかどうか」が基準であり、掲載されていないホテルが取り組みをしていないわけではありません。
- 第三者認証の取得状況 「Sakura Quality An ESG Practice」(GSTCが承認した宿泊施設向けスタンダード)や国際認証「B Corp(ビーコープ)」、金沢市・石川県の公的サステナブルツーリズム関連認定など、第三者が評価した認証プログラムを取得し、公式に公表していること
- 情報開示の透明性 「サステナブル」「エコ」と表現する際に、認証名・評価内容・数値目標といった根拠を公式サイトで確認できること
- 資源管理・環境施策の方針 省エネ設備の導入、節水、廃棄物削減、プラスチック削減など、具体的な施策が明示されていること
- 地域や調達先への配慮 地産地消、地域の伝統工芸・文化との連携、地域コミュニティへの貢献など、社会・経済面での取り組みが公開されていること
掲載情報は2026年5月時点で確認できた一次情報(公式サイト・ニュースリリース・IMAGINE KANAZAWA 2030等の公的機関サイト)に基づいています。
施設紹介
1. ホテル日航金沢
場所|金沢市本町・JR「金沢」駅徒歩3分
施設の特徴
JR金沢駅から徒歩3分の大型シティホテルです。2024年4月、GSTCが基準として承認した宿泊施設向け認証を石川県内で初めて取得しました。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
取得した認証は「Sakura Quality An ESG Practice」の「4御衣黄(ぎょいこう)ザクラ」。5段階評価の上から2番目にあたります。
環境面では、2024年7月からCO2排出量実質ゼロの電力メニュー「かがやきGREEN」を一部導入。館内照明の9割をLED化し、宴会場の完全LED化によって演出照明の消費電力を大幅に削減しています。アメニティのプラスチック削減も数値で公開しており、2022年度実績で1名あたりの提供量が19.4gから13.4gに減りました。フードロス削減として閉店前割引も実施しています。
社会面では、シェフが直接生産者と対話しながら地産地消を進め、社員を講師として地元学校へ派遣したり、インターンシップを受け入れたりしています。「To the Earth」「To the Community」「Food Safety」「Good Work」の4つの柱を掲げ、取り組みの内容をSDGsページで継続的に公開しています。
この施設が向いている可能性がある人
認証名や具体的な数値を確認したうえでホテルを選びたい方、環境・社会・経済の三側面にわたる取り組みを重視する方。
注意点・合わない可能性
大型チェーンホテルの規模感が合わない方、町家宿や地域密着型の体験を優先したい方には、後半の施設のほうが合うかもしれません。
詳細を見る
一休で詳しく見る2. LINNAS Kanazawa
場所|金沢市片町・北陸鉄道「片町」バス停徒歩圏
施設の特徴
片町の繁華街に位置する宿泊施設です。運営会社の株式会社Linnas Designが2025年11月にB Corp認証を取得しました。B Corp認証は、環境・社会・ガバナンスの評価に加え、企業の公益的な目的を定款に明記することを条件とする国際認証です。認証スコアは85.1点(基準は80点以上)。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
B Corp認証のプレスリリースで確認できた取り組みは、ジョギングとゴミ拾いを組み合わせた「プロギング」イベントの主催、傘のリサイクルプログラム(KASA Recycling)、アメニティ削減と脱プラスチックボトルの導入、障害のある方も含めたインクルーシブな採用体制(2023年から)などです。
レストラン「KIBIYA」での地産地消、アーティスト・イン・レジデンスプログラム、シェアキッチンを通じた地域住民との交流については、今回の調査ではホテル公式サイトへのアクセスが取れなかったため、詳細は公式サイトで直接ご確認ください。
この施設が向いている可能性がある人
企業としての公益性まで含めた視点でホテルを選びたい方、B Corp認証という評価軸に関心がある方。
注意点・合わない可能性
施設個別の取り組み詳細は、今回の調査では公式サイトで確認できた情報が限られています。予約前に公式サイトをご確認ください。
詳細を見る
3. 金沢東急ホテル
場所|金沢市香林坊・北陸鉄道「香林坊」バス停徒歩圏
施設の特徴
香林坊エリアのシティホテルです。東急ホテルズグループのサステナビリティ施策と、金沢ならではの地域連携を組み合わせています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
グループ全施設で導入している「グリーンコイン制度」に参加しています。宿泊客がアメニティ(歯ブラシ・カミソリ等)を使用しなかった場合、フロントにコインを返却すると、その枚数分の基金がNGO「オイスカ」を通じてアジア太平洋地域の植林活動と山梨県丹波山村の水源林育成に寄付されます。グループ累計では2,298,665枚分相当の基金が充てられています。
石川県産食材を使った地産地消は公式サイトに明記されており、「金沢エコ推進事業者ネットワーク」への加盟も確認できています。
なお、グリーンコイン制度の金沢店単体での実績数値は、今回の調査ではグループ全体の数値しか確認できませんでした。施設ごとの数値は公式サイトで直接ご確認ください。
この施設が向いている可能性がある人
グループ規模のサステナビリティ体制と地産地消の組み合わせを重視する方、香林坊を拠点に金沢を回りたい方。
注意点・合わない可能性
施設固有の環境KPIについては、今回の調査では詳細を確認できていません。
詳細を見る
一休で詳しく見る4. SOKI KANAZAWA
場所|金沢市大手町・城下町エリア
施設の特徴
「素の器(そのうつわ)」という名のホテルです。客室の素材から食事まで、石川県内の作り手との関係が随所に見えます。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトで確認できた取り組みは、完全キャッシュレス決済によるペーパーレス化、客室のペットボトル飲料水を廃止してウォーターサーバーを設置する運用、竹製の歯ブラシの採用などです。
石川県白山市のアロマ蒸留所「EarthRing」との協働によるオリジナルアロマの使用、地元老舗「福光屋」の甘酒、地元銘茶の提供は関連情報で確認できますが、今回の調査ではホテル公式サイト単体での確認が取れていません。詳細は公式サイトでご確認ください。客室には山中漆器・九谷焼・加賀五彩をイメージした珪藻土のコースターなど、県内の工芸素材が取り入れられています。大浴場では加賀温泉郷の「かけ湯」の慣わしを再現しています。
この施設が向いている可能性がある人
石川県の地場産業や伝統文化に関心があり、それを宿泊を通じて体験したい方。
注意点・合わない可能性
エネルギー使用量や廃棄物量などの環境KPIは、今回の調査では確認できていません。
詳細を見る
一休で詳しく見る5. ゲストハウス Pongyi(ポンギー)
場所|金沢市下新町・ひがし茶屋街周辺
施設の特徴
築150年以上の元呉服屋・町家を改装したゲストハウスです。土蔵をドミトリーとして使っています。新築ではなく古い建物をそのまま生かす、というやり方が、金沢の景観保全と建物の長寿命化を兼ねています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
金沢市が2020年に始めた「簡易宿所安心認証事業」の第一号宿として認定されています。安心対応・外国語対応・地域との結びつき・火災対応の各項目を満たしています。
宿泊代金の一部をアジアの人道支援活動に寄付する方針を公式サイトで公開しており、「やさしさの循環」という言葉で理念を表現しています。経営理念「本業は自分」のもと、スタッフが地域と旅行者をつなぐ役割を担っています。
この施設が向いている可能性がある人
金沢の町家に実際に泊まりたい方、地域のコミュニティとのつながりを旅に組み込みたい方。
注意点・合わない可能性
寄付先の具体的な団体名や金額は、現在の公式サイトでは確認できませんでした。設備やサービス面で大型ホテルと同じものを求める方には合わないかもしれません。
詳細を見る
6. 三井ガーデンホテル金沢
場所|金沢市香林坊・北陸鉄道「香林坊」バス停徒歩圏
施設の特徴
香林坊エリアの三井不動産ホテルマネジメント系列のホテルです。金沢市が推進する「IMAGINE KANAZAWA 2030」のサステナブルツーリズム認定制度で、8つの指標すべてに認定を受けています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
「金沢SDGsツーリズム推進事業者」として、「地球の資源を大切にしよう」から「観光が金沢のまちに貢献していることを発信しよう」まで、8つの指標すべてで認定を取得・更新しています(IMAGINE KANAZAWA 2030公式サイトで確認)。
同サイトに掲載されている取り組みとして、フードシェアリングサービス「TABETE」への参画によるフードロス削減、割れた食器を廃棄せず金継ぎで修復して使い続ける取り組み、地元作家の工芸品の館内展示、朝食への九谷焼食器の採用、LGBTQ+対応研修の実施などがあります。地元の人力車・観光タクシーと連携した体験提供や、「金継ぎ体験宿泊プラン」も確認できます。
この施設が向いている可能性がある人
自治体の観光戦略との整合性を気にする方、金継ぎや九谷焼など地域の文化と日常的に接したい方。
注意点・合わない可能性
ホテル公式サイト単体での環境KPIの開示については、今回の調査では確認できていません。
詳細を見る
一休で詳しく見る7. KUMU金沢 by THE SHARE HOTELS
場所|金沢市片町・北陸鉄道「片町」バス停徒歩圏
施設の特徴
築44年のオフィスビルを改装したホテルです。「金沢の伝統を汲む」をコンセプトに、武家文化・茶の湯・禅の思想を現代のホテル体験として解釈し直しています。新築ではなく既存の建物を使うことで、建設廃棄物とCO2の排出を抑えています。ただし、この点をホテル自身がサステナビリティとして前面に打ち出しているわけではありません。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
ティーサロン「KISSA & Co.」では、金工作家・竹俣勇壱が選定・制作した茶道具を使用し、杉田明彦氏や中田雄一氏ら地元作家の器でお茶が供されます。
1階のラウンジは地域に開放されており、「SHARING WITH LOCALS」を運営の核に据えています。
この施設が向いている可能性がある人
地域の工芸作家の器で実際にお茶を飲むような体験を求めている方、既存建築の再活用という視点を大切にしている方。
注意点・合わない可能性
環境KPIの数値開示や国際的な第三者認証については、今回の調査では確認できていません。
詳細を見る
一休で詳しく見る8. OMO5金沢片町 by 星野リゾート
場所|金沢市片町・北陸鉄道「片町」バス停徒歩圏
施設の特徴
星野リゾートの都市観光ブランド「OMO」の金沢施設です。「街を遊ぶ」をコンセプトに、周辺の町と宿泊客がつながる仕組みを作っています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
金沢市の公共シェアサイクル「まちのり」のポートをホテル内に設置しており、宿泊客が自転車で市内を移動できるようになっています。館内のウォーターサーバー設置と、必要な分だけ選べるアメニティバーによるごみの削減も公式サイトで確認できます。
「OMOレンジャー(Go-KINJO)」と呼ばれるスタッフのガイドツアーでは、片町の飲食店を宿泊客に紹介し、地域に人を送り込んでいます。館内には九谷焼のアートウォール、加賀棒茶の提供、「金沢KOGEIナイトサロン」など、地域の工芸文化に触れる機会も複数あります。
この施設が向いている可能性がある人
自転車や公共交通と組み合わせた低炭素な旅行を組み立てたい方、地域の飲食店や工芸をもっと知りたい方。
注意点・合わない可能性
第三者認証や環境KPIの定量的な開示については、今回の調査では確認できていません。
詳細を見る
9. 金沢彩の庭ホテル
場所|金沢市本町・JR「金沢」駅周辺
施設の特徴
JR金沢駅近くのホテルです。三井ガーデンホテル金沢と同じく「金沢SDGsツーリズム推進事業者」として、8つの指標すべてで認定を取得しています。工芸作家の作品を館内で扱い続けている点が特徴的です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
各客室階の廊下に「工芸回廊」を設け、県内にゆかりのある工芸作家の作品を展示・販売しています。卯辰山工芸工房から定期的に作品を購入・仕入れており、若手作家の活動を支える仕組みになっています。
IMAGINE KANAZAWA 2030の掲載情報では、加賀野菜など地元食材を中心とした朝食の提供、ペットボトルではなく缶水とウォーターサーバーの採用、アメニティの紙製梱包材への切り替えも紹介されています。グループ会社と連携した能登支援ツアーの実施も確認できます。
この施設が向いている可能性がある人
若手工芸作家を支援する視点で宿泊先を選びたい方、加賀野菜など金沢の食を大切にしたい方。
注意点・合わない可能性
ホテル公式サイト単体での環境KPIの定量的な開示については、今回の調査では確認できていません。
詳細を見る
一休で詳しく見る10. Minn 金沢
場所|金沢市内
施設の特徴
キッチンや洗濯設備を備えたアパートメントタイプの施設です。ホテルというより、暮らすように泊まる設計になっています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
6泊以下の滞在では滞在中の客室清掃を行わない運用を「SDGsの取り組みの一環として、環境負荷を軽減する運用」として公式サイトに明記しているとの情報が確認できます。タオルやシーツの交換はリクエスト制で、水・洗剤・エネルギーの使用を抑える仕組みです。ただし、今回の調査では公式サイトへの直接アクセスでの確認が取れていないため、予約前に公式サイトでご確認ください。
この施設が向いている可能性がある人
生活者に近い感覚で金沢に滞在したい方、長めの滞在での環境負荷を気にしている方。
注意点・合わない可能性
他の施設と比べると、公開されているサステナビリティの情報量は少ないです。認証や数値を重視する方には他の施設のほうが情報が充実しています。
詳細を見る
一休で詳しく見る補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
掲載したホテルの中には、ホテル公式サイトよりも IMAGINE KANAZAWA 2030 などの公的サイトのほうが詳しい情報が載っているケースがありました(三井ガーデンホテル金沢・金沢彩の庭ホテルなど)。気になる施設があれば、両方を見てみることをお勧めします。
また、この記事に載っていないホテルが取り組みをしていないわけではありません。今回の調査は、公式サイトや公的機関のサイトで確認できた情報に範囲を限定しており、口コミサイトや旅行サイトの情報は使用していません。
施設の取り組みは変わります。予約前に各施設の公式サイトで最新情報をご確認ください。
まとめ|あなたの「選ぶ理由」はどこにありますか?
今回紹介した10施設を並べると、国際認証を持つ大型ホテルから150年の町家を使ったゲストハウスまで、規模も種類もばらばらです。それでも、どこかで金沢という場所と向き合っている、という共通点はあるように思います。
ただ、「サステナブル」という言葉が広がるにつれて、何が実質的な変化で、何がそうでないかを見分けることはむずかしくなっています。認証の取得や数値の公開は、その問いと向き合うためのひとつの手がかりではあるけれど、それだけが答えでもありません。
あなたが金沢で泊まる宿を選ぶとき、何を大切にしたいでしょうか。
掲載情報はすべて各施設の公式サイトおよびIMAGINE KANAZAWA 2030・B Lab等の公的・公認機関サイトで確認した内容に基づいています。取り組みの内容は変更される場合があります。予約前に各施設の公式サイトでご確認ください。








