東京近辺で金継ぎ体験ができる場所8選|本漆・簡易・食器利用可否を公式情報で確認【2026年】

壊れた器を、捨てずに直す。その行為が、なぜこれほど多くの人を引きつけるのでしょう。金継ぎは修理の技術ですが、それ以上に「傷を隠さず、景色にする」という美意識を持ちます。欠けを金で埋めることで生まれる線は、その器が生きてきた時間の痕跡です。破損という出来事を、なかったことにしない。近年、東京近辺でこの技法を体験できる場所が増えているのは、消費文化への静かな問い直しと、おそらく無縁ではないでしょう。

紹介するのは、予約プラットフォーム、または公式サイトで情報を確認できた教室・工房8か所です。内容は2026年6月時点で確認できた公式情報をもとにしていますが、料金・開催日程・プラン内容は変わることがあります。参加前に各施設の公式サイトで最新情報を確かめてください。

個人的には、金継ぎをぜひ一度体験してみてほしいと思っています。ものを直す時間は、思っていた以上に静かで、集中できるものです。どの技法を選ぶか、どの教室が自分の生活に合うか。この記事が、その最初の一歩を踏み出すためのヒントになれば嬉しいです。

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この記事の選定の視点

8か所の選定にあたって参照した軸は以下のとおりです。何を優先するかは読者の状況によって変わります。

  • 予約プラットフォーム(楽天トラベル体験・じゃらんnet・アクティビティジャパンなど)または公式サイトで情報が確認できること
  • 本漆を使用するか、簡易金継ぎ(合成材料使用)かが公式情報から判断できること
  • 修復後の器を食器として使い続けられるかどうかが確認または推測できること
  • 自分の器を持ち込んで修復できる形式があること
  • 初心者や単発参加が可能なプランがあること
  • 講師・運営者のバックグラウンドが公式情報から確認できること

工芸スタジオチルコロ(等々力・世田谷区)

場所: 東急大井町線 等々力駅 徒歩7分

等々力渓谷から歩いて10分ほどの住宅街にある陶芸・金継ぎのスタジオです。楽天トラベル体験に現役掲載中の1日体験プランは、同教室が「漆簡易金継ぎ」と呼ぶ(教室独自の呼称)手法をとっています。接着とパテ埋めには食品衛生への配慮をうたう合成材料を使い、仕上げのみ天然漆。当日持ち帰りが可能な構成です。純金粉・純銀粉への変更は別途材料費が発生します。

体験時間は90分(実制作は約50分)。開催は火・金・日曜日の3コマ制ですが、開催日は変動するため最新スケジュールは公式サイトでご確認ください。対象は18歳以上。割れた器・欠けた器の持ち込みに対応しており、器がない場合は現地購入(330円〜)も可能です。楽天では酒器特化プランも別途掲載されていますが、参加前に現行状況を確認することをおすすめします。会員制の本漆コース(複数回)も常設されており、1日体験から継続学習につなげることもできます。

天然漆を仕上げに使うため、漆かぶれのリスクは多少あります。参加当日は長袖を着用してください。等々力渓谷の近さを活かして、散策とあわせて訪れるのも悪くありません。

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楽天トラベル体験

金継ぎ暮らし(自由が丘)

場所: 東急東横線・東急大井町線 自由が丘駅 徒歩4分(自由が丘教室)

「食器として使える金継ぎ」を前面に出している教室です。公式サイトでは食品衛生法ポジティブリスト制度への対応をうたっており、修復後の器を食器として使い続けられることを訴求しています。この制度の背景については後述の補足も参照してください。

1日体験コース(2〜2.5時間)は簡易金継ぎで当日持ち帰り可。器の持ち込みに対応しており、器がない場合は現地で購入も可能です。本漆を使った複数回コースも設けています。じゃらんnetに現役掲載中です。

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じゃらん体験

手仕事屋久家(杉並区・南阿佐ヶ谷近辺)

場所: 東京都杉並区成田東1-34-10(最寄り駅は公式サイトで確認)

陶芸指導歴35年・陶芸作家の久家義一郎氏が主宰する工房です。アクティビティジャパンおよびじゃらんnetに掲載中。1日体験(2時間)は合成材料を使った簡易金継ぎで当日持ち帰りが可能です。自分の器の持ち込みに対応しており、器がない場合は工房での調達も可能。少人数制の指導が売りで、丁寧に教えてもらえます。

工房に3〜4回通う本格コースも選択できます(代用漆・研磨・金蒔き等の全工程)。体験から継続学習への移行もしやすい構成です。1人参加から家族・友人グループまで対応可。VELTRAでも同内容のプランを掲載しています。

ガラス・漆器の持ち込みには対応していません(陶器・磁器のみ)。持参予定の器の素材は事前に確認しておくことをおすすめします。

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公式サイト

うづまこ陶芸教室(芝公園・港区)

場所: 都営地下鉄三田線 芝公園駅、またはJR田町駅 周辺(詳細アクセスは公式サイトで確認)

本漆を使った金継ぎ体験が予約プラットフォームから申し込める、首都圏では数少ない施設です。楽天トラベル体験およびじゃらんnetに掲載中。3回完結コース(計5時間:1回目2時間・2回目2時間・3回目1時間)では、お猪口の欠けを本漆ペーストで補修し、漆を塗り、金粉(真鍮粉または錫粉が基本)を蒔く工程を体験します。

指導するのは東京芸術大学漆芸専攻出身の講師です。本漆は硬化に時間がかかるため工程が複数回に分かれており、1日で完結する体験とは性質が違います。少人数制(最大4名)。じっくり本漆に向き合いたい方に合う構成です。

本漆を使うため、体質によっては漆かぶれが起きる可能性があります。参加前に確認しておくことをおすすめします。料金は公式サイトで直接ご確認ください。

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楽天トラベル体験

KINTSUGI ENYA 金継ぎ円家(東北沢・世田谷区)

場所: 小田急線 東北沢駅西口 徒歩3分(2025年9月に移転済み。現在の住所は公式サイトで確認のこと)

「天然漆100%」の本漆金継ぎのみを提供する、方針が一本に絞られた教室です。主宰の遠藤比蕗子氏はスタジオ温・工藤茂喜氏に師事した漆芸家で、2017年の開業以来、東北沢と渋谷の2か所で教室を開いています。少人数クラス制で、初心者が基礎から学べます。

開催は木曜日(午前・午後の2コマ)と第1・第3土曜日(午前)が基本ですが、開催日は変動するため最新スケジュールは公式サイトでご確認ください。本漆を使うため1回で持ち帰ることはできず、全4回程度を修了の目安にしています(器の状態によって変わります)。材料費は受講料に含まれていますが、修理道具は自己準備が基本です(教室での購入も可能、4点セット3,000円〜)。

予約プラットフォームへの掲載はなく、予約は公式サイトから直接行います。本漆でじっくり直したい、定期的に通えるという二つの条件が揃う方にとって、実践的な選択肢になります。

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公式サイト

松田祥幹 蒔絵・金継ぎ教室(築地・中央区)

場所: 東京メトロ日比谷線 築地駅 4番出口 徒歩2分

全国漆器展農林水産大臣賞の受賞歴を持ち、世界各国で作品を発表してきた蒔絵師・松田祥幹氏が主宰する教室です。金継ぎのカリキュラムは全8回の構成で、本漆と簡漆(かんしつ)の両方を体系的に学びます。基礎を習得したあとは、ガラス金継ぎや蒔きぼかしといった応用的な技法にも進めます。

クラスは2種類あります。松田祥幹氏が直接指導する祥幹クラス(11,000円/2時間、回数券3回33,000円)と、経験豊富な講師が担当する土屋クラス(7,700円/2時間、回数券3回23,100円)。初回は入会金と基礎材料・テキスト代が別途かかります。単発体験よりも、工芸として身につけることを目的とした場所です。

定期的に通う前提があると、このカリキュラムの構成にはまりやすいです。

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公式サイト

モダン金継ぎ(グルー継ぎ)横浜・波止場会館(横浜市中区)

場所: みなとみらい線 日本大通り駅 周辺(横浜大さん橋・関内エリア)

横浜港に近い、歴史ある波止場会館内で開催されているワークショップです。じゃらんnetに現役掲載中。「グルー継ぎ」と呼ばれる独自の技法で、自然鉱物を主成分とする「wGlue」を使用しています。同教室の案内では食品接触可能な成分で環境ホルモンも未検出とされており、修復後24時間で食洗機対応の食器として使えると説明しています。ただしこれはメーカー・講座側の説明であり、公的な食品衛生適合認証とは別概念である点は頭に置いておいてください。

料金は3,500円〜と、都内・神奈川の金継ぎ体験のなかでも低価格帯です。器の持ち込みが条件(1点・接着面2か所まで)。開催は主に木曜・金曜。よみうりカルチャー横浜でも同内容の講座が開かれており、スケジュールの融通が利きやすくなっています。

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じゃらん体験

Heavenly by Lani & Kai Mood(鵠沼海岸・藤沢市)

場所: 小田急江ノ島線 鵠沼海岸駅 徒歩5分

湘南・鵠沼海岸そばにある「Heavenly」が運営するワークショップです。じゃらんnetに掲載中。キャンドルやアロマのアトリエが本軸で、そのなかに金継ぎ体験が設けられています。使用材料は合成素材(ホビー用塗料・合成パテ)のため、修復品の食器使用は前提になっていません。インテリアや飾り物として持ち帰ることになります。

所要時間は1.5〜2時間。器持込プランと持込なしプランがあり、持込なしの場合は器代が別途かかります。定休日は木曜。1〜8名で参加可能です。江ノ島・鎌倉エリアとの組み合わせがしやすい立地です。

じゃらんのクラフト金継ぎ専用プランが現在も予約可能かどうかは、参加前に施設へ確認することをおすすめします。

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じゃらん体験

補足:食品衛生法ポジティブリスト制度と金継ぎ体験

食品衛生法のポジティブリスト制度は2020年に施行され、2025年6月に経過措置が終了して完全適用となりました。食品用器具・容器包装に使用される合成樹脂についてポジティブリスト適合の有無が問われるようになっており、使用材料によっては食器用途としての扱いが制限される場合があります。金継ぎ体験で使われる合成パテ・接着剤の種類によって対応は異なります。

本記事で紹介した施設のうち、食器としての使用可能性に言及しているのは3か所です。金継ぎ暮らし(ポジティブリスト対応をうたう)、工芸スタジオチルコロ(食品衛生への配慮を公式サイトで案内)、モダン金継ぎ(使用材料を食品接触可能と説明)。いずれも各施設・メーカー側の説明によるものであり、具体的な適合範囲については参加前に直接確認するのが望ましいです。

本漆のみを使用するKINTSUGI ENYA・うづまこ陶芸教室・松田祥幹教室については、本漆は伝統的に食器に用いられてきた素材ですが、完全硬化後に限られること、電子レンジや食洗機への対応など使用環境に制限がある場合があることも知っておいてください。

直した器を食卓で使い続けたいなら、体験先を選ぶ際にこの点を事前に確認しておくことをおすすめします。

さいごに

工芸スタジオチルコロは、天然漆を仕上げに用いる同教室独自の体験スタイルで、当日持ち帰りと食器使用への配慮を両立しようとしています。金継ぎ暮らしは複数拠点での開催と食品衛生法への対応を打ち出しており、1日で気軽に試したい方の入口になります。手仕事屋久家は少人数の工房で、持ち込んだ器を自分の手で直す時間をつくれます。うづまこ陶芸教室は、本漆体験が予約プラットフォームから申し込める数少ない施設です。KINTSUGI ENYAは天然漆100%を一貫した方針として、週複数回の定期教室を開いています。松田祥幹教室は、著名な蒔絵師の直接指導のもとで金継ぎを工芸として習得したい方のための場所です。モダン金継ぎ(横浜)は、港町の環境と低い価格設定が、神奈川エリアからの参加者を引きつけています。鵠沼のHeavenlyは、湘南の観光とあわせて気軽に体験できる場所として位置づけられます。

修復すること、使い続けること、傷を景色にすること。金継ぎは何かを「達成」するための技術というより、ものとの関係をもう一度問い直す時間の使い方かもしれません。あなたにとって、それはどんな器から始まるでしょうか。

Mariko
Mariko

小林真梨子|日本在住のエコライター。2018年よりサステナブルな暮らしを実践。パリ第四大学(ソルボンヌ)で分析・言語哲学の修士を取得。哲学的視点から、倫理的消費・エコライフスタイルをリサーチベースで発信する独立メディア「エコ哲学」を運営。