「サステナブルな宿に泊まりたい」と思って調べ始めると、徳島はすこし変わった顔を見せます。国際認証を取得した大型ホテルよりも、廃校をリノベーションした山の宿、ごみ箱のない体験型施設、築100年の古民家で農家と過ごすステイが先に目に入ってくる。それがこの地域の実情です。
「サステナブル」という言葉には、第三者が認証したものから、自社の方針を自己申告しているだけのものまで、幅があります。この記事では各施設の公式サイトや公式関連ページで直接確認できた情報だけを整理しました。施設の優劣を判断するためのものではなく、「この旅で何を体験したいか」を考える材料として使ってもらえれば十分です。どれも選ばない、という判断もまったく自由です。
掲載情報は2026年6月時点のものです。認証の状況や取り組みの内容は変わることがあるため、予約前に各施設の公式サイトで確認してください。一部、公式情報をもとに編集部で要約・再構成しています。数値・認証は各施設の公式サイト掲載時点の情報です。
編集部の選定基準
以下の4つの視点をもとに絞り込みました。「公式情報として確認できたかどうか」が基準であり、掲載されていない施設が取り組みをしていないわけではありません。
- 情報の透明性 「サステナブル」「ゼロ・ウェイスト」と表現する際に、その根拠となる実践・方針・数値が公式サイトで確認できること
- 資源管理への具体的なアプローチ 省エネ設備、廃棄物削減、水の使い方、建材の選択など、具体的な取り組みが示されていること
- 建築における資源の継承 古民家・廃校・歴史的建造物の再生利用など、既存の資源を活かす姿勢が施設の設計に組み込まれていること
- 地域・文化・農との関係性 地元農家・職人・食材との連携、地域文化の継承への関与など、地域への貢献が確認できること
施設紹介
1. 上勝町ゼロ・ウェイストセンター HOTEL WHY
場所|徳島県勝浦郡上勝町・山間部、車でのアクセス推奨
施設の特徴
2003年、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った上勝町。その発信拠点として設けられた体験型の宿泊施設です。「ホテル」という名前はついていますが、快適な滞在よりも「ごみと自分の関係を問い直す」体験が軸になっています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
客室にごみ箱はありません。代わりに、分別用のコンテナを収納した手提げかごが用意されており、滞在中に出たごみを自分で種類ごとに分けます。客室には上勝町産の杉を使用。廃棄されたベッドをアップサイクルしたソファ、端切れ布をつなぎ合わせたカーテン、古い障子やガラス戸をリユースした窓、川石の取っ手など、捨てられるはずだったものが内装のあちこちに息づいています。
上勝の循環を体感するツアープログラムも提供されています(実施状況は公式サイトで要確認)。
この施設が向いている可能性がある人
廃棄物や資源循環について、説明ではなく体験を通して考えてみたい方。上勝町という場所そのものに関心がある方。「知ってはいるけど、実際にどんな感覚か」を確かめに行きたい方。
注意点・合わない可能性
山間部のため、公共交通機関でのアクセスは難しい立地です。ごみの分別や体験プログラムが滞在の中心になるため、観光拠点としてのホテル利用とは目的が根本的に異なります。
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2. アオアヲ ナルト リゾート
場所|徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦・瀬戸内海国立公園内
施設の特徴
鳴門海峡を望む国立公園内の大型リゾートホテル。大塚国際美術館まで車で約3分という立地で、観光拠点としても使いやすい施設です。国連SDGsへの賛同・推進を公式に表明し、「SDGsへの取り組み」専用ページを設けています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
客室のアメニティには籾殻バイオマス素材のヘアブラシ・歯ブラシ・カミソリを採用。ボディタオルは天然コットン100%です。連泊時は専用カードを使って宿泊者自身がリネンの交換有無を選べる仕組みを導入しています。
省エネ面では、照明のLED化を積極的に進めており、経済産業省の省エネ評価制度でSクラスの認定実績があります(詳細は公式サイトで要確認)。
地域との関わりとしては、鳴門市の海岸清掃活動へのスタッフ参加、「とくしまコウノトリ基金」への寄付を公式ページに記載。阿波踊りや阿波本藍染の体験もアクティビティとして提供しています。
この施設が向いている可能性がある人
鳴門観光・大塚国際美術館の訪問と組み合わせたい方。リゾートとしての快適さを保ちながら、環境への取り組みをある程度確認できる施設を探している方。
注意点・合わない可能性
大型リゾートのため、小規模な地域密着型の宿とは体験の質が異なります。SDGsページの情報は更新時期がまちまちなので、最新の状況は直接確認を。
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一休で詳しく見る3. 桃源郷 祖谷の山里
場所|徳島県三好市・東祖谷落合地区(重要伝統的建造物群保存地区)
施設の特徴
江戸〜明治期に建てられた茅葺き古民家を、一棟貸しで提供する宿泊施設群です。建築家アレックス・カー氏の監修のもとに整備されており、古民家再生の先例として国内外に知られています。公式サイトには「なにもないがある」という言葉が添えられており、英語ページも用意されています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
各棟には固有の名前がついています。新たに建てるのではなく、すでにある歴史的な建物を修復しながら使い続ける。それがこの施設の基本的な姿勢です。
東祖谷落合地区は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、宿泊すること自体が景観保全や農村文化の継続と地続きになっています。食事・体験・周辺商店の情報も公式サイトで確認できます。
SDGsや環境認証の明示的な言及は公式サイトにありません。
この施設が向いている可能性がある人
茅葺き古民家という建築や景観に関心がある方。祖谷の山村文化、農村の暮らしを体感したい方。静けさの中で過ごすことが旅の目的になる方。
注意点・合わない可能性
山間部の秘境エリアで、アクセスは車が前提です。環境KPIや認証の開示はないため、数値で取り組みを確認したい方には向いていません。
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一休で詳しく見る4. Earthship MIMA
場所|徳島県美馬市美馬町栗林・美馬ICから車で約20分
施設の特徴
2018年11月、アメリカのアースシップ建築家の監修のもと建設された、日本国内でも数少ないEarthshipのひとつです。電気・水道・排水処理といった公共インフラをいっさい使わないオフグリッドハウスで、宿泊は1日1組限定。Earthship Biotecture社(アメリカ本拠地)の日本公式エージェントとして認定されています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
エネルギーは屋根のソーラーパネルで蓄電したものだけ。生活用水は雨水を貯水・ろ過して使います。風呂や洗面の排水は建物内の植物の根元を通り、そのまま植物を育てる循環になっています。建材には古タイヤ・空きビン・空き缶を使用しており、建物の断熱性能によって冷暖房器具なしで室内温度をある程度安定させる設計です。
これらの仕組みはすべて、公式サイトに設計思想として説明されています。
この施設が向いている可能性がある人
オフグリッドな暮らしを体の感覚として試してみたい方。建築・エネルギー・水の循環に関心がある方。「頭で知っていることを、実際に体験したらどう感じるか」を確かめたい方。
注意点・合わない可能性
公共インフラを使わない設計上、都市型ホテルと同等の快適さは期待できません。予約や問い合わせは公式SNSも含めて確認することを推奨します。
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5. WEEK神山
場所|徳島県名西郡神山町・鮎喰川沿い
施設の特徴
築60年超の古民家(旧南邸)をリノベーションした母屋と、神山産の檜・杉をふんだんに使った宿泊棟からなる施設です。全室リバービュー(鮎喰川)。神山町という場所自体が持つ「次世代の新しい田舎」という文脈と、宿の姿勢が深く重なっています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
食材は地元の有機農家「おひーさんの農園チーノ」と「里山の会」から直接仕入れています。さらに宿自身も隣のチーノ農園から畑を借り、サラダ野菜・ハーブ・トマトなどを栽培。「土づくりから収穫までの営みをひととおり体感しておくことが、食材を使って地域を伝える役割として欠かせない」と公式サイトに記しています。
宿泊者には地産地消の「神山プレート」(事前予約制)を提供。建材に神山産の木材を使用し、築60年以上の建物を修復しながら使い続けている点も、施設の基本的な構えとして確認できます。
この施設が向いている可能性がある人
食を通じて地域を知ることに関心がある方。ワーケーションや少し長めの滞在を検討している方。神山町という場所そのものへの関心がある方。
注意点・合わない可能性
SDGsや環境認証の明示的な言及はありません。最新の営業状況・料金・食事の提供については、公式サイトで直接ご確認ください。
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6. みかん農家の宿 あおとくる
場所|徳島県勝浦郡勝浦町三渓林・勝浦川沿いの山間部
施設の特徴
東京から勝浦町に移住した夫婦が営む、1日1組限定のファームステイです。築100年前後の古民家の1階を、農閑期(4〜10月)のみ宿泊施設として開放しています。土間には古本屋「古書ブン」が併設されており、宿泊者も地域の人も立ち寄れる場になっています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
温州みかんを中心に、「有機肥料を使い、農薬の数や量を増やさないよう木や実の状態を観察しながら栽培する」と公式サイトに記載しています。
宿泊はB&Bが基本で、「四季折々の畑で採れた野菜を使って一緒に夕飯や朝食を作る」ことを公式に案内しています。農家の日常に入り込む滞在、という言い方が一番近いかもしれません。
SDGsや環境認証の明示はありません。
この施設が向いている可能性がある人
農家の暮らしに触れるファームステイに関心がある方。農閑期(4〜10月)に勝浦町周辺を旅する方。小さな宿で、つくった人と食卓を囲むことに価値を感じる方。
注意点・合わない可能性
農閑期のみの営業のため、11〜3月は宿泊できません。予約方法や最新の営業状況は、公式サイトまたは各予約チャネルでご確認ください。
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補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
掲載した6施設はすべて、公式サイトまたは公式関連ページで内容を直接確認しています。ただし、認証の有効期限や取り組みの詳細は変わることがあります。特に経産省の省エネ評価(アオアヲ)やEarthship Biotectureのエージェント認定(Earthship MIMA)については、予約前に最新の状況を確認することをお勧めします。
今回の調査で公式サイトにアクセスできなかった施設は掲載していません。一次情報が確認できないまま紹介することは、判断材料として機能しないと考えているからです。
まとめ|あなたの「選ぶ理由」はどこにありますか?
HOTEL WHYは、「ごみを分別する」という行為を滞在の中心に置いた施設。アオアヲ ナルト リゾートは、省エネ認定実績など数値で取り組みを開示する大型リゾート。桃源郷 祖谷の山里は、茅葺きの古民家が今も人を迎える秘境の宿。Earthship MIMAは、雨水と太陽光だけで暮らすオフグリッドハウスへの一泊。WEEK神山は、地元の有機農家と畑をつなぐ古民家宿。みかん農家の宿 あおとくるは、みかん農家の夫婦と畑で過ごすファームステイ。
6つがそれぞれまったく異なる形でサステナビリティを実践しているのが、徳島らしさかもしれません。この旅に何を持ち帰りたいか——そこから考え始めると、選ぶ手がかりが見えてくるのではないでしょうか。








