「サステナブルなキャンプ場に泊まりたい」という言葉を、アウトドアメディアや旅行サイトで見かける機会が増えました。関西エリアでも、環境への取り組みや地域との関係性を公式に発信する施設が少しずつ現れています。
ただ、「自然の中にあるキャンプ場」はどこも「サステナブル」に見えやすいという難しさがあります。景観の豊かさと、運営の実態としての環境負荷は、必ずしも一致しません。認証を取得しているところもあれば、方針を自己申告しているだけのところもあって、何を根拠に選べばいいか迷うのが正直なところです。
この記事では、各施設の公式サイトで確認できた情報だけを整理しています。施設の優劣を判断するものではなく、「自分のキャンプの目的に合うかどうか」を考えるための材料として読んでもらえると幸いです。どれも選ばないという結論だって、もちろんあります。
編集部の選定基準
掲載されていない施設が取り組みをしていないわけではありません。「公式情報として確認できたかどうか」を一貫した基準にしています。
- 環境負荷の少なさ 節水・省エネ設備、廃棄物管理、直火や騒音への配慮など、具体的な運営上の施策が明示されていること
- 地域・文化への配慮 地元調達、地域雇用、公共交通アクセスの案内、地域社会への貢献が公式に確認できること
- 運営の透明性と安全性 環境や運営方針に関する情報が、公式サイト上で具体的に開示されていること
- 実効性のある認証の有無 Green Key、GSTC準拠プログラム、日本オートキャンプ協会の星マークなど、第三者による評価制度を取得していること
掲載情報は2026年7月時点で確認できた一次情報(公式サイト・運営会社公式ページ)に基づいています。
施設紹介
1. かいづか いぶき温泉オートキャンプ場(大阪府貝塚市)
場所|大阪府貝塚市の山あい・阪和自動車道「貝塚IC」から車で約10分
施設の特徴
かつて過疎化で閉校した旧貝塚市立蕎原小学校の跡地を活用したオートキャンプ場です。校舎やグラウンドをそのまま生かし、天然温泉やサウナ、キャンプキッチン棟を備えた複合施設として2022年に生まれ変わりました。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
この施設らしさは、新たに土地を切り開くのではなく、既存の学校施設を転用したところにあります。校庭だったスペースはオートサイトに区分けされ、体育館はそのまま遊戯スペースとして残されています。
体育館は地域の指定避難所になっていると運営会社は説明しており、老朽化した高圧受電設備の更新資金をクラウドファンディングで募った実績もあります。
キッチン棟にはお湯の出るシンクや業務用の冷凍冷蔵庫があり、ゴミも分別回収されています。敷地内のレストランは地産地消がテーマで、地元漁港の海鮮や地野菜、地元産の和牛や地鶏を使ったメニューを提供。車を持たない人向けに、水間鉄道水間観音駅からコミュニティバスに乗り「蕎原口」で降りるルートも公式サイトで案内されています。
向いている人
廃校活用など既存資源の再利用に関心がある方。防災拠点としての機能を重視する方。公共交通機関でのアクセスを考えている方。温泉とキャンプを両方楽しみたいファミリー。
注意点
節水設備や再生可能エネルギー利用など、エネルギー・水資源に関する具体的な数値の開示は見当たりませんでした。GSTCやGreen Keyといった第三者認証も、今回の範囲では確認できていません。指定避難所である旨は運営会社自身の説明によるもので、貝塚市の公式な指定避難所リストとの突き合わせまでは行っていません。
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2. 豊国崎オートキャンプ場(大阪府岬町)
場所|大阪府南部・岬町の海沿いの高台
施設の特徴
大阪最南端、岬町の高台にあるキャンプ場です。海と森に囲まれた立地で、2023年3月にオープンした比較的新しい施設。オーナーの自宅が管理棟を兼ねていて、管理人が常に敷地内にいます。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
この施設で確認できたのは、認証や数値ではなく、利用ルールに組み込まれた静音・清掃の運営姿勢です。
消灯時間は夜10時と決められていて、22時から翌朝7時までは焚き火やBBQを控え、会話の声量やライトの光も抑えるよう求められます。同じ時間帯は出入口のゲートも閉まり、車の出入りができません。ゴミはすべてゴミステーションで回収する仕組みになっていて、燃え残った炭や灰の放置、油を排水溝へ流すことも規約で禁じられています。
利用規約の冒頭には「にぎやかに騒ぐ施設ではございません」という一文があり、静けさそのものを運営の軸に据えていることがうかがえます。
向いている人
夜間の静けさを重視する方。ソロキャンプや少人数での落ち着いた滞在を求める方。ゴミの分別・回収体制が明確な施設を選びたい方。
注意点
地元食材の提供や地域連携についての記載、第三者認証の取得は今回確認できませんでした。分かっているのは、静音ルールと廃棄物の回収体制までです。
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3. しあわせの村オートキャンプ場(兵庫県神戸市)
場所|神戸市北区・阪神高速7号北神戸線「しあわせの村」出口すぐ
施設の特徴
神戸市が運営する205ヘクタールの総合福祉ゾーン「しあわせの村」の一角にあるオートキャンプ場です。高齢者や障がい者の自立を支える福祉施設と、スポーツ・宿泊・温泉の施設が同じ敷地に集まっています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
全区画にAC電源、野外炉、水道、流し台があり、焚き火は焚き火台を使うことと定められ、直火は禁じられています。夜間は22時30分から翌朝7時まで出入口ゲートが施錠され、緊急時以外は出入りできません。
福祉ゾーンならではの特徴として、65歳以上の高齢者や障がい者向けの料金割引があり、一般利用者より3か月早く予約を受け付ける制度もあります。村内には地元直売所やコンビニがあり、キャンプの食材もそこで調達できます。
向いている人
福祉的な配慮が行き届いた運営を重視する方。高齢の家族や障がいのある方と一緒に利用したい方。神戸市街地からのアクセスの良さを求める方。
注意点
日本オートキャンプ協会(JAC)の星マーク認定について触れている紹介記事もありますが、認定ページ上で星の数を数値として直接確認することはできませんでした。星マークの有無や段階は、この記事では未確認としています。地元直売所は「しあわせの村」全体の施設で、キャンプ場だけの取り組みではない点も踏まえてください。
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4. MOUNT LAKEキャンプ場(兵庫県洲本市)
場所|淡路島中央部・神戸淡路鳴門自動車道「津名一宮IC」から車で約13分
施設の特徴
淡路島のほぼ中央、標高120mに位置するキャンプ場です。山と湖に囲まれた敷地に、キャビンからオフロード区画まで多様なサイトがそろっています。2020年にオープンした比較的新しい施設です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
この施設で確認できたのは、電力の調達方法です。日中に発電した分は蓄電池にためて夜間に使い、CO2を出さない太陽光を電源の中心に据えているという説明が公式サイトにあります。日照が足りないときだけ関西電力からの供給に切り替える旨も明記されていて、「常に100%自給できている」と言い切らない書き方は、情報の出し方として誠実に映ります。
向いている人
キャンプ場の電力調達の仕組みそのものに関心がある方。淡路島の中央部で、街の喧騒から離れた滞在を求める方。
注意点
地元食材の提供や地域連携、第三者認証の取得については今回確認できませんでした。太陽光パネルの発電容量や自給率といった具体的な数値も公開されておらず、分かるのは電力調達の仕組みの説明までです。
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5. キャンプリゾート森のひととき(兵庫県丹波市)
場所|兵庫県丹波市・舞鶴若狭自動車道「春日IC」から車で約10分
施設の特徴
丹波市の森に囲まれた複合型キャンプリゾートです。オートキャンプサイトからコテージ、ホテル仕様の部屋まで、宿泊スタイルを選べます。森の露天風呂やレストランも併設されています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
この施設で確認できたのは、地元食材にまつわる情報です。レストランでは丹波産の食材を使った料理が出され、BBQや鍋の食材としても丹波の新鮮な食材が用意され、なかでも但馬牛が人気メニューの一つとして紹介されています。内容は宿泊プランや仕入れ状況によって変わる可能性があります。
向いている人
丹波の地元食材を楽しみながらキャンプをしたい方。テントからホテル仕様の部屋まで、宿泊スタイルの選択肢を求める方。
注意点
今回確認できた地元食材の情報は、公式サイト本体ではなく、宿泊予約サイトに載っていた運営者コメントによるものです。エネルギーや廃棄物管理といった環境施策、第三者認証の取得については確認できていません。運営方針や施設ルールの詳細も、今回の調査だけでは十分に把握しきれていません。
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補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
日本オートキャンプ協会(JAC)の星マーク認定は、認定ページ上で星の数が画像として表示される仕組みのため、テキスト情報だけでは段階を読み取れない場合があります。星マークの数を判断材料にしたいときは、該当ページを直接開いて目で確認することをおすすめします。
今回の調査では、兵庫県美方郡香美町の「尼崎市立美方高原自然の家(とちのき村)」が公益社団法人日本キャンプ協会の認定優良キャンプ場として見つかりました。ただしこの施設は尼崎市が設置し、公益財団法人日本アウトワード・バウンド協会が指定管理者として運営する公立の自然体験施設で、個人やファミリー向けの民間キャンプ場とは運営の性格が異なります。そのため今回は紹介を見送りましたが、団体利用や教育目的での自然体験を検討している方には参考になるはずです。
この記事に載っていない施設は、今回の調査で公式情報が見つからなかったか、確認できた情報が不十分だったために外れているだけです。載っていないことが、その施設の取り組みの有無を意味するわけではありません。
さいごに
5つの施設が公式に発信している内容は、それぞれ向いている方向が違います。
かいづか いぶき温泉は廃校という既存資源の再活用と、防災拠点としての地域貢献が軸になっています。豊国崎は静けさと廃棄物管理という、利用ルールに組み込まれた運営姿勢が特徴です。しあわせの村は福祉的な配慮を軸にした社会的な包摂の仕組みを持ち、MOUNT LAKEは電力調達の透明性という一点で情報を開示しています。森のひとときは地元食材という地域とのつながりに強みがあります。
キャンプ場のサステナビリティを何で測るか。認証、数値、地域との関係、利用者へのルール。どの軸を重視するかによって、「選ぶ理由」は変わります。自然の中で過ごすことそのものが環境負荷を伴う以上、その問いは今後もしばらく更新され続けるのかもしれません。








