新しいスーツケースが必要だと感じているとき、まず今持っているものを修理窓口に相談してみましたか。キャスターやハンドルは消耗品として交換できることが多く、外装の傷は機能に影響しません。「なんとなく古い気がする」という理由だけなら、買い替えの前に一度確かめてみる価値があります。
それでも新しいスーツケースを探しているなら、この記事が参考になると思います。公式サイトで確認できた情報だけをもとに、素材・修理・回収・認証の軸から5製品を調べました。
Quick Summary:目的別おすすめはこれ
| 目的 | おすすめ製品 | 理由 |
|---|---|---|
| 国内製造・回収の仕組みまで確認したい | PROTECA マックスパス RI 2(エース) | 北海道一貫製造・10年保証・2010年開始の回収プログラムを公式に明記 |
| 生涯保証で長く使い続けたい | エッセンシャル(リモワ) | 2022年7月以降購入の全スーツケースに生涯保証(対象条件あり) |
| 第三者認証の数で選びたい | Cubo(ロジェール) | B Corp・GRS・Climate Labelという三つの独立認証を取得 |
| フェアトレード認証工場・労働面の透明性を重視 | ブラックホール・ウィールド・ダッフル 100L(パタゴニア) | フェアトレード・サーティファイド認定工場、bluesign®認証素材を使用 |
| リサイクル素材の大量生産規模での導入を評価したい | マグナム エコ(サムソナイト) | 外装・内装ともにリサイクル素材で構成、ヨーロッパ製造 |
まず知っておきたい:選定基準
今回の基準はシンプルで、「各社の公式サイトに書いてあるかどうか」だけです。掲載していない製品が取り組みをしていないわけではありませんが、確認できない情報は評価に使いません。
- 素材の透明性 再生素材・低環境負荷素材の使用内訳が公式に明示されているか。有害化学物質の管理情報があるか。
- サプライチェーンの透明性 製造国・製造工場の背景、労働慣行への方針が公式に開示されているか。
- 耐久性・修理性 キャスター・ファスナー・ハンドルなど消耗部品の交換対応、修理受付・保証期間が公式に案内されているか。
- 回収・再資源化 使用後の回収プログラムや、回収後の処理内容が公式に説明されているか。
- 認証・表示の信頼性 第三者機関による認証か、それとも自己申告の表示か。
自己申告の環境表示と、第三者機関が審査した認証は区別して記載しています。
掲載情報は2026年4月時点の各社公式サイトに基づいています。
おすすめのスーツケース5選
1. PROTECA マックスパス RI 2(エース)
♻️ 外装部に廃棄自動車内装パーツ等を再生したリサイクルPP100%使用(自己申告) 🔧 3年間無制限修理保証+7年保証=合計10年(公式明記) ✈️ 航空会社による破損も保証対象(業界唯一と公式に説明) 🔄 エースリサイクルプロジェクト2010年開始・継続実施(公式明記) 🏭 北海道赤平工場・外装成形から組み立てまで一貫製造
プロテカは、エースが展開する日本製スーツケースブランドです。マックスパス RI 2は2024年8月の発売で、外装部に北海道の資源リサイクル業者から仕入れた再生材を100%使っています。内訳は公式プレスリリースに書かれており、廃棄された自動車の内装パーツが約70%、物流パレットが約30%。どちらも廃棄されるはずだったポリプロピレン樹脂です。内装にはリサイクルポリエステルを使用しています。
製造は北海道赤平工場で、外装部の成形から組み立てまでを国内で完結させています。同工場は1971年の操業開始以来、製造工程で出た外装部の端材を再生・再利用するシステムを動かし続けています。
修理は、購入から3年間は回数制限のない無償保証「プロテカ プレミアムケア」が適用されます。航空会社による破損もこの保証に含まれる点を、公式サイトは「ラゲージ業界では唯一」と説明しています。ただしこの「唯一」は3年間の無償保証期間内における表現で、他ブランドの有償修理対応や生涯保証との直接比較ではありません。3年経過後も7年間の保証が続くため、合計10年の製品保証です。
使用後は「エースリサイクルプロジェクト」が回収を担います。2010年から続くプログラムで、リユース可能なものはNPO法人や慈善団体へ寄付し、それ以外は素材ごとに分別して再資源化しています。回収実績の最新数字は公式サイト(ace.jp/recycle/about/)で確認してください。
なお、エコマークなど第三者環境認証の取得は、公式サイトで確認できませんでした。「再生材使用」「リサイクルプロジェクト実施」はどちらも自己申告です。
エディターの視点: 素材の内訳(自動車内装パーツ約70%・物流パレット約30%)が公式資料に具体的に書かれていること、2010年から続く回収プログラムの仕組みが説明されていること。これだけ内訳を公開しているメーカーは、今回調べた5製品のなかでは珍しいほうです。
トレードオフ: エコマークなどの第三者認証は取得していません。再生材の使用や回収プログラムの詳細はすべて自己申告です。認証の独立性を重視するなら、ロジェールのCuboも比べてみてください。
2. ブラックホール・ウィールド・ダッフル 100L(パタゴニア)
💡 ソフトシェルのウィールド・ダッフル(ハードケースではない) ♻️ 本体・裏地・ウェビングに100%リサイクル素材使用(公式明記) 📉 リサイクルTPUラミネートによりバージン素材比で炭素排出量91%削減(公式明記) ✅ フェアトレード・サーティファイド認定工場(第三者認証) ✅ bluesign®認証素材を使用(公式ページに記載・対象範囲は公式サイトで確認) 🔄 Worn Wearプログラムを日本国内で展開(公式明記)
ブラックホール・ウィールド・ダッフル 100Lは、キャスターと格納式ハンドルを備えたソフトシェルのウィールド・ダッフルです。ハードシェルのスーツケースではありません。本体はポストコンシューマー由来(家庭などから回収した使用済み素材)のリサイクルポリエステルに、ポストインダストリアルのリサイクルTPUフィルム(工場の製造工程で出た端材を再生したもの)をラミネートした生地を使っており、裏地とウェビングもリサイクル素材100%です。日本公式サイトによれば、このリサイクルTPUラミネートの採用で、バージン素材比で1kgあたりの炭素排出量を91%削減しています。
bluesign®認証素材を使用していることが公式ページに記載されています。認証の対象となる素材の範囲は、購入前に公式サイトで確認してください。製造はフェアトレード・サーティファイド認定工場です。これはB Labとは別の非営利団体による第三者認証で、労働者への奨励金支払いと労働環境基準を独立した仕組みで評価します。
使用後については、パタゴニア日本公式サイトにWorn Wearプログラムの買取規約が掲載されています。ウェア・ラゲッジ・アクセサリーを対象に、中古品の買取と再販によるリユースを目的としたプログラムです。製品保証はIronclad Guaranteeに基づき修理・交換・返金に対応しますが、通常消耗による修理は有償です。
エディターの視点: 「91%削減」というデータは、他の製品の素材説明と比べてかなり具体的です。「環境に配慮した素材」という言葉だけでなく、比較の基準が書かれているのは読みやすい。フェアトレード認証という、製造工場への独立した審査が入っているのもこの製品の特徴です。
トレードオフ: ハードシェルではないため、荷物の保護性能や空港での取り扱いへの耐性はハードケースと異なります。旅行スタイルとの相性を確認してから選んでください。bluesign®認証の対象範囲は、公式サイトで直接確認することをおすすめします。
3. Cubo(ロジェール)
✅ B Corp認証取得(B Lab・第三者認証) ✅ シェルにGRS認証リサイクルポリカーボネート50%使用(第三者認証) ✅ Climate Label認証取得(排出削減目標の第三者検証) ♻️ 内装はソリューションダイ製法・従来比水使用量80%削減(公式明記) 🛡️ 10年保証(公式明記)
CuboシリーズのシェルにはGRS(Global Recycled Standard)認証を取得したリサイクルポリカーボネートを50%使っています。原料はプレコンシューマーの産業廃棄物由来(工場の製造工程で出た端材や規格外品)です。GRSはリサイクル含有量だけでなく、加工時の社会・環境・化学的配慮も評価する第三者認証です。公式サイトによれば、この50%は品質と耐久性を保ちながら現時点で出せる最大値で、今後さらに引き上げていく方針とのことです。
内装には「ソリューションダイ(原着糸)」製法のリサイクルポリエステルを使っています。原着糸は染色工程を省ける染色方法で、公式説明では従来比で水使用量を約80%削減するとしています。
ブランドとしてB Corp認証を取得しています。B Corpは非営利団体B Labによる第三者認証で、サプライチェーン・環境・社会的インパクトを複数の領域にわたって審査します。Climate Label認証も持っており、排出削減目標の策定と実行を外部機関が検証しています。これら3つの認証(GRS・B Corp・Climate Label)はグローバル公式サイト(us.lojel.com)で確認できます。日本公式サイト(jp.lojel.com)でも購入前に確認しておくと安心です。
保証は10年間で、jp.lojel.comに明記されています。使用後の回収プログラムについては、日本公式サイトで詳細な記載を見つけられませんでした。
エディターの視点: B Corp認証は「環境への配慮」だけでなく、社会・ガバナンス・顧客対応まで含む総合的な審査です。製品素材のGRS認証と、企業全体を見るB Corp認証を両方持つブランドは多くありません。「公式に確認できる認証の数」を軸に選ぶなら、今回の5製品のなかでロジェールの開示はもっとも充実しています。
トレードオフ: 日本向けの回収プログラムの詳細は、公式サイトで確認できませんでした。購入前にjp.lojel.comで最新情報を見ておくことをおすすめします。
4. マグナム エコ(サムソナイト)
♻️ シェルに消費者廃棄プラスチック由来の再生PP使用(自己申告) ♻️ 内装にRecyclex™(リサイクルPETボトル由来)使用(自己申告) 🏭 ヨーロッパ製造(公式明記) 📊 2024年売上の約47%がリサイクル素材使用製品(公式明記)
マグナム エコのシェルには、消費者が廃棄したプラスチックを回収・再生したポリプロピレンを使っています。内装の生地は、リサイクルPETボトルを原料とする独自素材「Recyclex™(リサイクレックス)」です。ハンドルやホイールなど一部パーツを除き、外装・内装ともにリサイクル素材で構成されています。製造はヨーロッパです。
日本公式のサステナビリティページによれば、2024年の売上の約47%がリサイクル素材を一部使用した製品によるものです。マグナム エコは2021年の発売で、その後も主力製品へのリサイクル素材導入を広げています。
保証期間は製品ごとに異なると日本公式サイトに記載されており、マグナム エコの具体的な年数は公式で明示されていません。日本公式FAQには「航空会社による輸送中の破損は保証の適用外」とはっきり書かれています。
エディターの視点: 「2024年の売上の47%」という数字は、1つの製品の話ではなくブランド全体の方向性を示しています。リサイクル素材の導入をどの規模で進めているかを知りたいとき、この種の数字は参考になります。製品単体の情報開示より、ブランドの進む方向に興味がある方向けの製品です。
トレードオフ: 素材の環境表示はすべて自己申告で、第三者認証は確認できていません。保証年数も明示がないため、修理の具体的な条件は購入前に公式サポートページで確かめてください。
5. エッセンシャル(リモワ)
🛡️ 2022年7月25日以降購入の全スーツケースに生涯保証(対象条件あり・公式明記) ♻️ 製造工程のアルミ・ポリカーボネート端材をリサイクル(公式明記) 🌱 LVMHグループ「LIFE 360プログラム」に準拠(公式明記)
エッセンシャルをはじめ、2022年7月25日以降に購入したすべての新品スーツケースに生涯保証(Lifetime Guarantee)が付きます。機能的なダメージを保証の対象とするもので、購入時に自動で有効になります。保証が適用される条件の詳細や地域差については、購入前に公式サイト(rimowa.com/jp/ja)で確認してください。
素材と資源循環については、日本公式のサステナビリティページに記載があります。製造工程で出るアルミニウムとポリカーボネートのスクラップをリサイクル・再生しており、循環的な設計プロセスの一環として位置づけています。スーツケースではなくバッグになりますが、リモワのナイロンバッグには100%再生ナイロン「ECONYL®」を使用しており、従来のナイロンと比べた原油使用量の削減を公式ページに明記しています。
環境マネジメントはLVMHグループの「LIFE 360プログラム」に基づいており、カーボンフットプリントの年次監視と再生可能エネルギーの利用拡大を進めています。サプライチェーンの透明性や化学物質管理に関する詳細な数値・第三者認証の記載は、日本語公式サイトでは限定的です。
エディターの視点: 「生涯保証」を一言で言えば、「機能的に壊れたら直します、ずっと」ということです。修理拠点が世界中にあり、買い替えなしで使い続ける仕組みが整っている。長く使うことを前提に作っているブランドだと、この保証の設計から読み取れます。
トレードオフ: 素材のリサイクル含有量に関する第三者認証や、回収プログラムについては日本公式サイトで詳細な記載が見当たりませんでした。素材・認証を重視するなら、ロジェールのCuboと比べてみてください。
公式サイト
今持っているスーツケースをもう少し使い続けるために
買い替えを考えているとき、今のものへの不満が何なのかを一度だけ整理してみてください。
- キャスターが壊れた → 多くのメーカーでキャスターは消耗品として単体修理・交換に対応しています。まずメーカーの修理窓口に問い合わせてみてください。
- ファスナーが壊れた → 修理対応が多い部品です。修理専門店でも対応できることがあります。
- 外装に傷や割れがある → 走行や収納に支障がなければ、機能上の問題ではないことがほとんどです。
- 「なんとなく古い気がする」 → 具体的な不具合がないなら、それだけでは買い替えの理由として十分でないかもしれません。修理履歴を振り返ってから判断してみてください。
- 使わなくなったスーツケースをどうするか → エースリサイクルプロジェクトはブランドを問わず回収を受け付けています。お住まいの自治体の小型家電回収ボックスも調べてみてください。
さいごに
この記事の情報は、各社の公式サイトで確認できた範囲のみです。口コミサイト・まとめサイト・商業レビューは参照していません。確認できなかった情報は評価に使わず、広く言われていることでも公式に根拠が取れなければ書きませんでした。
今回の5製品のうち、素材の開示・修理体制・回収プログラム・第三者認証をすべて確認できた製品はありませんでした。それぞれ異なる軸で開示が進んでおり、どこを重視するかによって選ぶ製品は変わります。素材の環境表示が自己申告かどうかの区別は、これからも確かめ続ける価値がある点です。
スペック・保証内容・修理対応状況は変わることがあります。購入前は必ず各公式サイトでご確認ください。掲載情報は2026年4月時点のものです。








