「サステナブルなホテルに泊まりたい」という言葉を、旅行サイトや雑誌で見かける機会が増えました。熊本でも、震災や水害からの復興を経て、地域資源や環境への配慮を打ち出す宿泊施設が増えています。
ただ、「サステナブル」「SDGs」で検索してみると、国の認定や自治体の登録制度に基づくところもあれば、自社の取り組みを自己申告しているだけのところもあって、何を根拠に選べばいいか迷うのが正直なところです。今回調査した範囲では、GSTCやISO21401の取得を公式に確認できた熊本県内のホテルは見当たりませんでした。
この記事では、各施設の公式サイトやプレスリリースをもとに確認できた情報だけを整理しています。施設の優劣を判断するものではなく、「自分の旅の目的に合うかどうか」を考えるための材料として読んでもらえると幸いです。今すぐ予約しなくてもいいですし、どれも選ばないという結論だって、もちろんあります。
編集部の選定基準
今回は、以下の4つの視点をもとにホテルを絞り込みました。あくまで「公式情報として確認できたかどうか」が基準であり、掲載されていないホテルが取り組みをしていないわけではありません。
- 行政・自治体の登録制度との関係 「熊本県SDGs登録事業者」など、自治体が運営する登録制度への参加が公式に確認できること。なお、こうした登録制度は事業者からの申請に基づくものが多く、GSTCやISO21401のように第三者機関が個別の施策を審査する認証制度とは性質が異なります
- 環境施策の具体性 設備の導入や運用方法の変更など、エネルギー・水資源・廃棄物に関する具体的な施策が公式サイトに明示されていること
- 地域資源・地域社会との連携 地産地消、地域団体との協働、災害復興のプロセスなど、社会・経済面での取り組みが公開されていること
- 情報開示の根拠 「サステナブル」「エコ」という表現の裏付けとなる具体的な記述が、公式サイトやプレスリリースで確認できること
掲載情報は2026年6月時点で確認できた一次情報(公式サイト・公式プレスリリース)に基づいています。
施設紹介
1. ホテル日航熊本
場所|熊本市中央区上通町・市電「通町筋」電停から徒歩約1分
施設の特徴
熊本城や官庁街にも近い、熊本市中心部に位置するシティホテルです。客室数191室、和・洋・中のレストランと市内最大規模の宴会場を備えています。オークラ ニッコー ホテルズの一員です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトのSDGsページには、「地域社会」「地球」「従業員」への配慮を経営方針の柱とする記述があります。具体例としては、1階ラウンジでのフェアトレード認証コーヒー豆の採用、山都町の若手農家団体「やまとでしか」との連携による料理提供や物販イベント、熊本県の「くまもと生花プロジェクト」に協力したロビーの生花装飾、県産いぐさを使ったオブジェの展示などが挙げられます。
災害支援については、東日本大震災から能登半島地震まで、複数回にわたって募金活動を行ってきたことが公式サイトに記録されており、熊本城復興支援募金は累計1,972,241円にのぼります。
この施設が向いている可能性がある人
地産地消やフェアトレードへの取り組みを確認したい方、熊本城周辺・市中心部での滞在を重視する方。
注意点・合わない可能性
第三者認証(GSTC、ISO21401等)の取得は今回の調査では確認できませんでした。エネルギー使用量や廃棄物量といった数値での開示も見当たりません。
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一休で詳しく見る2. リッチモンドホテル熊本新市街
場所|熊本市中央区新市街・サンロード新市街アーケード内
施設の特徴
熊本城まで徒歩圏内、繁華街のアーケード内に位置するビジネス系ホテルです。客室数158室。ロイヤルホールディングス系列のリッチモンドホテルズが運営しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
運営会社の公式サステナビリティページによると、全店で客室常備のアメニティを廃止し、ロビーのアメニティバーで必要な分だけ提供する仕組みを導入しています。このアメニティバーの什器には、従業員が着用しなくなった制服から作られた素材が使われているそうです。連泊時には「清掃不要」または「エコスタイル」への協力を案内することで、リネン洗濯に伴う水資源とCO2排出の削減にもつなげています。
この施設が向いている可能性がある人
客室アメニティの簡素化やリネン洗濯回数の見直しなど、日常的な資源管理の工夫を重視する方。
注意点・合わない可能性
これらはグループ全店共通の方針であり、熊本新市街店だけの独自施策ではありません。第三者認証の取得についての記載はありませんでした。
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一休で詳しく見る3. THE BLOSSOM KUMAMOTO
場所|熊本市西区春日・JR熊本駅直結
施設の特徴
JR熊本駅東口に直結する203室のホテルです。JR九州ホテルズ&リゾーツが運営しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
2025年5月20日から、連泊時の客室清掃を3泊ごとに切り替える「エコ清掃」をJR九州ホテルズの複数施設で順次導入しています。エコ清掃の日はタオル類・館内着・客室常設アメニティの交換とごみの回収のみを行い、通常の清掃を希望する場合はフロントへの申し出で対応する仕組みです。運営会社は「JR KYUSHU HOTELS & RESORTS’ SDGs Policy」を公式サイトで公開しています。
この施設が向いている可能性がある人
連泊時の節水・洗剤使用量の抑制に関心がある方、JR熊本駅からのアクセスを重視する方。
注意点・合わない可能性
いぐさを使った客室アートワークや消費電力の可視化といった取り組みについては、今回の調査では裏付けが取れませんでした。エコ清掃はJR九州ホテルズの複数施設に展開されている取り組みです。
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一休で詳しく見る4. ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ
場所|熊本市中央区東阿弥陀寺町・JR熊本駅から市電で1駅
施設の特徴
白川沿いに建つ地上25階のシティホテルです。IHGグループのクラウンプラザブランドに属します。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトのお知らせ(2025年6月)で、宿泊サービス・レストラン部門に環境配慮型の高品質素材を採用した新ユニフォームを導入したことを公表しています。
この施設が向いている可能性がある人
高層階からの眺望とアクセスの良さを重視しつつ、運営面での環境配慮も確認したい方。
注意点・合わない可能性
今回確認できたのはユニフォームの素材変更1点のみです。熊本地震の際の復興支援や災害時の給水対応といった取り組みについては、今回の公式サイト確認では裏付けが取れませんでした。
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一休で詳しく見る5. KOKO HOTEL 熊本上通(旧 ホテルウィングセレクト熊本)
場所|熊本市中央区水道町
施設の特徴
水道町に位置するビジネスホテルです。ホテルウィングインターナショナルが運営しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトに、「熊本県SDGs登録事業者(第2期)」として登録されているという記載があります。
この施設が向いている可能性がある人
熊本県の登録制度に基づく事業者であることを、選択の一つの材料にしたい方。
注意点・合わない可能性
登録されている事実は公式サイトで確認できますが、具体的な環境施策や数値目標の開示は今回見当たりませんでした。「地域連携」「環境配慮」「子どものサポート」を経営方針の3本柱とする記述についても、詳細なページは見つかりませんでした。
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一休で詳しく見る6. OMO5熊本 by 星野リゾート
場所|熊本市中央区手取本町・熊本城下町エリア
施設の特徴
星野リゾートが展開するシティホテルブランド「OMO」の熊本店です。熊本城を望むテラス「凸凹テラス」が特徴です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
星野リゾートグループは2025年6月から、王子ホールディングスの技術を活用し、使用済みペーパータオルを新たなペーパータオルに再生する水平リサイクルを開始したことを公式サイトで公表しています。このシステムを導入した初めての事例だとしています。
この施設が向いている可能性がある人
大手リゾートグループによる資源循環の取り組みに関心がある方、熊本城周辺・繁華街へのアクセスを重視する方。
注意点・合わない可能性
ペーパータオルのリサイクルは星野リゾートグループ全体の取り組みとして公表されているものです。OMO5熊本という施設固有の施策として明示した記述は、今回の調査では見当たりませんでした。廃食用油の再生利用についても、施設単位の記載は見つかりませんでした。
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7. スーパーホテルPremier阿蘇熊本空港
場所|熊本県菊池郡大津町・阿蘇くまもと空港から車で約10〜15分
施設の特徴
2025年6月開業。天然温泉、無料ウェルカムバー、健康朝食を備えたビジネスホテルです。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
運営するスーパーホテルは、環境大臣認定の「エコ・ファースト企業」としてホテル業界で唯一の認定を受けており、2025年1月から全店舗で宿泊に伴うCO2排出を実質ゼロにする「CO2実質ゼロ泊」を導入しています。
阿蘇エリア固有の取り組みとしては、開業に先立つ2025年4月、阿蘇の草原保全に取り組む公益財団法人阿蘇グリーンストックと、植物性廃棄物を建材に変換する技術を持つスタートアップのSpacewaspと連携し、草原保全のために刈り取られた茅(ススキ)をラウンジのテーブル天板に活用したことが公式プレスリリースで確認できます。
この施設が向いている可能性がある人
草原保全と観光が結びついた地域資源循環の事例を確認したい方、阿蘇くまもと空港からのアクセスを重視する方。
注意点・合わない可能性
CO2実質ゼロ泊やエコ・ファースト企業の認定はスーパーホテル全店舗共通の取り組みです。阿蘇グリーンストックとの連携については、当施設に固有の事例として公式プレスリリースで確認できています。
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一休で詳しく見る8. 阿蘇ホテル 一番館・二番館
場所|熊本県阿蘇市内牧・阿蘇内牧温泉
施設の特徴
内牧温泉に位置する温泉旅館です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトの「当館のSDGsへの取り組み」というページでは、廃棄物・エネルギー・水資源・自然環境・食・伝統文化・多様性・地域貢献という8つの項目に分けて取り組みを公開しています。廃棄物対策としては、使い捨てバス用品を置かず大容量のリフィル式アメニティを採用し、必要な分だけフロントで手渡す運用やペーパーレス化、連泊時に清掃を断れる仕組みを取り入れています。屋上緑化やレンタサイクルの用意、阿蘇の郷土料理やあか牛を使った地産地消の推進についても記載があります。
この施設が向いている可能性がある人
温泉旅館でありながら廃棄物削減やペーパーレス化に具体的に取り組んでいる施設を探している方。
注意点・合わない可能性
GSTCやISO21401といった第三者認証の取得については、公式サイトに記載がありませんでした。エネルギー使用量や水使用量を数値で示した開示も見当たりません。
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9. ホテルサン人吉
場所|熊本県人吉市上青井町・球磨川沿い
施設の特徴
球磨川を望むビジネスホテルです。2020年7月の球磨川氾濫からの復興を経て、2021年1月にリニューアルオープンしました。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトの「SDGsへの取り組み」というページで、被災を機に化石燃料(重油)を使用するボイラー2基を撤廃し、屋外に新設した架台の上に電気をエネルギーとするエコ給湯システムを導入したことを明記しています。休業期間中には全従業員がSDGs講習会を受講したことも公開されています。
この施設が向いている可能性がある人
災害復興の過程でエネルギー転換に取り組んだ事例に関心がある方、人吉での滞在を検討している方。
注意点・合わない可能性
確認できたのはボイラー撤廃とエコ給湯への転換、従業員研修の2点です。アメニティの素材やユニバーサルデザイン設備の詳細については、今回の公式サイト確認では裏付けが取れませんでした。
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10. 人吉温泉 あゆの里
場所|熊本県人吉市九日町・球磨川河畔
施設の特徴
球磨川と人吉城跡を望む温泉旅館です。スタッフが「人吉コンシェルジュ」として地域の魅力を案内しています。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式サイトに「サスティナブルな運営について」という方針ページがあり、お客様・スタッフ・取引業者・地域コミュニティ・人吉球磨の資源を大切にし、持続可能な運営を行うという方針が公開されています。
この施設が向いている可能性がある人
人吉球磨地域への理解を深めながら滞在したい方。
注意点・合わない可能性
方針の公開は確認できましたが、具体的な施策の数値や根拠となる実績の開示は限定的でした。フードマイレージ削減といった具体的な記述は、今回の調査では見当たりませんでした。
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一休で詳しく見る11. 天草本渡温泉 アマクサ サンタカミングホテル
場所|熊本県天草市本渡町・天草松島温泉エリア
施設の特徴
北欧スタイルを基調にしたデザイン性の高い宿泊施設です。
サステナブルな取り組み(公式情報に基づく)
公式SDGsページには、複数の具体的な取り組みが記載されています。客室の床には天然木、壁には漆喰を使用し、二酸化炭素の貯蔵や排出抑制につながるとしています。アメニティについても、客室常備をやめてアメニティバーを設置し、バイオマス素材を配合した製品への切り替えを進めています。
期間限定で提供する「天草サスティナブルディナー」では、食材のすべてを天草産で構成し、魚は「熊本県適正養殖業者認証制度」の事業者から仕入れ、地鶏「天草大王」も使用しています。器には地域の伝統工芸品である天草陶磁器を用いています。
この施設が向いている可能性がある人
食材の調達先まで具体的に確認できる宿を探している方、天草エリアでの滞在を検討している方。
注意点・合わない可能性
第三者認証の取得についての記載は見当たりませんでした。エネルギーや水資源の使用量を数値で示した開示もありません。
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補足|この記事を読んだあとに確認してほしいこと
各施設をさらに詳しく調べたい方は、以下の点を公式サイトで直接確認することをお勧めします。
- 「熊本県SDGs登録事業者」のような自治体の登録制度は、事業者からの申請に基づくものが多く、GSTCやISO21401のように第三者機関が個別の施策を審査する認証制度とは性質が異なります。登録の有無と、施策の具体性は分けて見ることを勧めます
- エネルギー削減率・CO2排出量・廃棄物量といった数値が継続的に更新・公開されているかは、取り組みの継続性を見るひとつの目安になります
- チェーン系ホテルの場合は、ブランド全体の方針と熊本の施設固有の取り組みを切り分けて確認することを勧めます
- 阿蘇エリアの草原保全のように、ホテルと地域団体の連携が地域の生態系維持に直接つながっている事例は、プレスリリースなど一次情報まで遡って確認すると、取り組みの実態がつかみやすくなります
この記事に掲載していない施設や、掲載後に更新された情報については、各施設の公式サイトを直接ご参照ください。
まとめ|あなたの「選ぶ理由」はどこにありますか?
今回紹介した11施設は、いずれも公式情報として何らかのサステナビリティへの取り組みが見つかりました。ただ、開示されている情報の量や深さはホテルによってかなり異なります。
地域団体との連携を公式プレスリリースで具体的に確認できたのがスーパーホテルPremier阿蘇熊本空港、災害復興の過程でのエネルギー転換を明記しているのがホテルサン人吉、食材の調達先まで具体的に開示しているのがアマクサ サンタカミングホテルです。地産地消と地域との結びつきを軸にしているのがホテル日航熊本、廃棄物管理を文書化しているのが阿蘇ホテル一番館・二番館です。一方で、ユニフォームの素材変更や登録制度への参加など、確認できた情報が一点にとどまる施設もあります。
「どの取り組みを自分は重視するか」という問いは、ホテル選びの前に、自分が旅に何を求めるかを問い直すことでもあります。この記事がその整理の一助になれば幸いです。
掲載情報は各ホテルの公式サイト・公式プレスリリースに基づいています(2026年6月時点)。








