フェアトレードチョコレートとは?意味・購入場所・選び方を初心者向けに解説

「フェアトレードチョコレートってよく聞くけれど、正直よく分からない」「どこで買えるの?」
そんな疑問を持つ人は少なくありません。

スーパーやコンビニで見かける普通のチョコレートと、何が違うのでしょうか。価格が少し高めなのは、どうしてなのでしょう。

この記事では、フェアトレードチョコレートの意味や背景、日本での購入場所、初心者でも迷わない選び方まで、やさしく解説します。”おいしい選択”が、遠く離れた生産地の暮らしや環境とどうつながっているのか——一緒に考えてみませんか?

フェアトレードチョコレートとは何?

「フェアトレード」が意味するもの

フェアトレードとは、生産者に適正な対価が支払われる貿易の仕組みのことです。

チョコレートの原料であるカカオは、主に西アフリカや中南米の小規模農家によって栽培されています。しかし、カカオの国際価格は市場で激しく変動するため、農家の収入は不安定になりがちです。コートジボワールやガーナなどでは、カカオ農家の収入は非常に低く、生活の困窮が児童労働などの深刻な問題を引き起こしていると考えられています。

フェアトレードの仕組みでは、生産者組合に対して「最低保証価格」と「プレミアム(奨励金)」が支払われます。国際フェアトレード認証では、カカオに対して最低保証価格とプレミアム(奨励金)が設定されており、市場価格が下落しても生産者の収入が一定水準以上に保たれる仕組みになっています。これらの価格は定期的に見直され、生産者の生活費や生産コストの変化に対応しています。

このプレミアムは、生産者組織が民主的な話し合いで使い道を決め、学校や診療所の建設、農業技術の向上、環境保全活動などに充てられます。フェアトレードは、単なる「値段の上乗せ」ではなく、生産地のコミュニティ全体を支える持続可能な仕組みなのです。

また、フェアトレード基準では強制労働や危険な児童労働の禁止、安全な労働環境の確保、環境への配慮なども求められています。

関連記事:フェアトレードマーク入門|認証基準・選び方・商品紹介

出典:Fairtrade International, “Cocoa Price announcement from Fairtrade International,” 2025.
出典:Fairtrade International, “Fairtrade Standard for Cocoa: Explanatory Note,” 2023.

普通のチョコレートと何が違うの?

普通のチョコレートは、国際商品市場で取引されるカカオを原料としています。この市場価格は変動が激しく、生産コストを下回ることもあり、生産者の労働条件や環境への配慮が見えにくいという課題があります。

一方、フェアトレードチョコレートは、国際フェアトレード認証などの基準を満たした生産者組織からカカオを調達しています。価格や労働、組織の民主性、環境への取り組みなどが第三者機関(例:FLOCERT)によって監査され、透明性が確保されています。

「フェアトレードだと味が落ちるのでは?」と心配する人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。フェアトレードチョコレートは、品質面でも劣るものではありません。原料や製法にこだわる生産者も多く、品質と倫理性を両立させた製品づくりが行われています。

違いは原材料そのものではなく、「誰からどのように買うか」「生産者にどれだけの価値が届くか」という、価格の構造と透明性にあるのです。

出典:World Cocoa Foundation, “Fairtrade’s New Cocoa Standard: Striking a balance between robust requirements and farmer realities,” 2024.

なぜ今、フェアトレードチョコレートが注目されているの?

近年、「エシカル消費」や「サステナブル消費」という言葉をよく耳にするようになりました。これは、商品を選ぶときに、価格や品質だけでなく、環境や社会への影響も考えて購入する消費スタイルのことです。

日本で行われた消費者調査では、多くの人が「同等の商品があれば、社会や環境に配慮したものを選びたい」と考えており、購入を通じて環境・社会問題の解決に貢献したいという意識が広がっていることがわかっています。

フェアトレードチョコレートは、こうした価値観と自然に結びつきます。特に日本では、バレンタインデーやホワイトデーといったチョコレートの贈り物文化が根付いており、年間消費の2割以上が2月に集中するとも言われています。この時期、売り場にはさまざまなチョコレートが並びますが、そこに「生産者の物語」や「持続可能な選択」という新しい価値が加わることで、贈る側・受け取る側の双方に豊かな意味が生まれます。

また、女性を中心に、自分へのご褒美や大切な人へのギフトとして、ストーリー性のある商品が選ばれる傾向も強まっています。フェアトレードチョコレートは、「完璧でなくても、意識する選択」を歓迎する時代の空気とも重なります。

出典:Statista, “Reasons for ethical consumption in Japan 2024,” 2025.
出典:Japan for Sustainability, “Fair Trade Transforming into Ethical Consumption,” 2017.

フェアトレードチョコレートはどこで売ってる?

スーパー・実店舗で買える場所

日本国内でフェアトレードチョコレートを購入できる場所は、徐々に広がっています。

  • 自然食品・オーガニック系のお店:健康志向の食品を扱う専門店や生協などでは、フェアトレード商品が比較的豊富に揃っています。
  • 輸入食品専門店:KALDIなど、海外の食品を扱うお店でも取り扱いがある場合があります。
  • ナチュラル系コンビニ:ナチュラルローソンなど、健康・環境配慮型の商品を扱うコンビニでも、一部店舗で見かけることがあります。
  • 百貨店や専門店:バレンタインシーズンには、百貨店の特設売り場やエシカルブランドの直営店(例:People Treeの自由が丘店)などで、期間限定で取り扱われることがあります。

ただし、多くのフェアトレードチョコレートは秋冬を中心とした季節限定販売となることが多く、夏場は店頭在庫が少なくなる傾向があります。

出典:Is It Vegan? Japan, “Chocolate,” 2021–2025.

オンラインショップ・通販という選択肢

「近くにお店がない」「忙しくて買いに行けない」という人には、オンライン購入が便利です。

  • フェアトレード専門ブランドの公式サイト:People TreeやEqual Exchangeなど、フェアトレードを掲げるブランドは公式オンラインショップを運営しており、日本全国に配送しています。
  • 自然食品系のオンラインストア:有機食品やエシカル商品を扱う通販サイトでも、フェアトレードチョコレートを購入できます。
  • 大手ECモール:各種ECサイトでも、正規輸入品として販売されています。

オンラインなら、商品の詳細情報や生産者のストーリーをじっくり読んで選べるのも魅力です。地方在住の方や、多忙な日々を送る方にとって、オンラインは「エシカルな選択」へのハードルを下げてくれる手段と言えるでしょう。

出典:People Tree, “フェアトレードチョコ,” 2024.
出典:Alishan, “Equal Exchange,” 2026.

買う前に知っておきたい認証マークの見分け方

フェアトレードチョコレートを選ぶとき、パッケージに印刷されている「認証マーク」が重要な手がかりになります。

国際フェアトレード認証マーク(FAIRTRADE Mark)は、世界で最も広く知られているエシカルラベルのひとつです。このマークがついている商品は、国際フェアトレード基準を満たし、第三者機関による監査を受けた原料を使用しています。

チョコレートなど複数の原材料を使う製品では、「フェアトレード調達可能な原料(カカオ・砂糖・バニラなど)がすべてフェアトレード条件で購入されている」ことを示すマークや、特定の原材料のみがフェアトレード認証を受けていることを示す「FSI(Fairtrade Sourced Ingredient)マーク」が使われることもあります。

一方で、「生産者を応援」「エシカルなカカオ」といった表現が書かれていても、第三者認証を伴わない場合は、その基準や透明性が異なる可能性があります。すべてを完璧に理解する必要はありませんが、「公式な認証マークがあるか」「どの原材料が認証を受けているか」をパッケージ裏面で確認する習慣を持つと、より安心して選べます。

他にも、有機認証マークや環境保全に関するマークが併記されていることもありますが、これらは主に環境面の基準であり、価格や労働の公正性についてはフェアトレード認証とは別の観点です。

出典:Fairtrade International, “Fairtrade sourced Ingredient Marks Guidelines,” 2020.
出典:Fairtrade International, “Guidelines for use of the FAIRTRADE Mark,” 2018.

初心者にも選びやすいフェアトレードチョコレートおすすめ

ここでは、「どれを選べばいいか分からない」という人に向けて、選び方の軸を3つ紹介します。ランキングや広告ではなく、あなたの価値観に合った一枚を見つけるヒントとして参考にしてください。

まずはここから|日本で手に入りやすい定番ブランド

People Tree(ピープルツリー)は、日本で長年フェアトレード商品を展開している代表的なブランドです。チョコレートは有機認証を受けたカカオや砂糖を使い、ミルク・ビター・フレーバー付きなど多彩なラインナップがあります。自然食品店やナチュラルローソンの一部店舗、公式オンラインショップ、百貨店の期間限定売り場などで購入でき、ギフトにも自分用にも使いやすいデザインです。

初めてフェアトレードチョコレートを試すなら、こうした入手しやすいブランドから始めるのがおすすめです。

オーガニック志向の人におすすめ

「農薬や添加物が気になる」「環境への負荷も減らしたい」という人には、フェアトレード認証とオーガニック認証の両方を取得した製品が向いています。

People Treeの多くのチョコレートは、有機認証を受けており、有機栽培のカカオや砂糖、ココアバター100%使用(植物油脂不使用)など、原材料へのこだわりが明示されています。

また、Equal Exchange(イコール・エクスチェンジ)も、100%フェアトレード原料を使用し、植物油脂や乳化剤、大豆由来添加物を使わない製品づくりを行っており、日本ではアリサン有限会社が輸入総代理店として取り扱っています。

有機認証は農法や環境基準に、フェアトレード認証は価格や労働条件に焦点を当てています。両方のマークがあれば、環境と社会の両面に配慮した選択と言えるでしょう。

一枚のチョコレートが「新しい豊かさ」につながる理由

「消費は投票である」——エシカル消費の文脈でよく使われる言葉です。私たちがお金を払うという行為は、その商品の作り方や価値観に「賛成票」を投じることでもあります。

日本では近年、大量消費やステータス重視の価値観から、シンプルさ・つながり・社会貢献といった価値を重視する消費スタイルへの変化が見られると指摘されています。消費者調査でも、「質や価格が同等なら、社会や環境に配慮した商品を選びたい」と考える人が増えており、完璧でなくても「少し意識する選択」が評価される時代になっています。

フェアトレードの最低価格やプレミアムは、カカオ産業全体の構造問題を一気に解決するものではありません。しかし、生産地のコミュニティをより強く、回復力のあるものにし、農家が自分たちの未来をより主体的に選べる環境を作る助けにはなります。

近年、カカオの国際価格が上昇し、日本国内でもチョコレート全体が値上がりしています。この変化を「高くて困る」と捉えるだけでなく、「適正な価格とは何か」「誰の生活を支える価格なのか」と考え直すきっかけにもできるでしょう。

一枚のチョコレートで世界が変わるわけではありません。でも、納得して選んだ一枚が、少しずつ価値観を変え、小さな選択の積み重ねが「新しい豊かさ」を形作っていくのかもしれません。

出典:Statista, “Reasons for ethical consumption in Japan 2024,” 2025.
出典:Japan for Sustainability, “Fair Trade Transforming into Ethical Consumption,” 2017.

まとめ

フェアトレードチョコレートは、特別なものでも、完璧な人だけが選ぶものでもありません。

知る → カカオ農家の現状や、フェアトレードの仕組みを少し理解する
選ぶ → 認証マークを確認して、自分に合った一枚を手に取る
続ける → 無理なく、時々でも、意識する選択を重ねていく

このシンプルなステップが、遠い生産地と自分の暮らしをつなぎます。

今日、あなたが選ぶ一枚のチョコレートが、誰かの明日を少し明るくするかもしれない。そして、あなた自身の価値観を少し変えるきっかけになるかもしれない——そんな可能性を、ぜひ味わってみてください。

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