レンタルだからエコ、とは言い切れない|家具レンタル6サービスの取り組みと選び方

「引っ越しのたびに家具を買って、捨てて、また買う」というサイクルに、なんとなく疲れてきた。あるいは、「そもそも大きな家具を所有することが本当に必要なのだろうか」と感じたことはないでしょうか。

日本国内でも、家具のレンタルやサブスクリプションサービスが新たに登場し、選択肢として目にする機会が増えてきました。「使いたいときだけ使う」「所有しない豊かさ」といったキーワードとともに、家具レンタルがサステナブルな暮らしの一つの選択肢として紹介されることがあります。

ただし、返却後の修理や再利用の有無、配送回数などによって環境負荷は大きく変わるため、「レンタルだからエコ」とは一概には言えません。こうした取り組みや情報の開示状況は、本記事で確認した範囲でもサービスごとに差が見られます。

また、本記事は各サービスの環境負荷を定量的に比較・ランキングするものではありません。「何を基準に見ればいいかわからない」という方のために、判断材料を整理してご紹介します。どのサービスが「正解」かを断定するものではなく、あなた自身が「自分に合うか、合わないか」を考えるためのヒントとして読んでいただければと思います。

急いで決める必要はありません。まずは一緒に考えてみましょう。

調べる前に確認したこと|編集部の視点

レンタル家具のサステナビリティを考えるとき、他のカテゴリーとは異なる固有の論点があります。家具は買い替えサイクルが長い耐久消費財ですが、レンタルという形態においては「返却→修理→再使用」という循環が機能するかどうかが、環境負荷の大きさを左右します。また、搬入・搬出のたびに配送が発生する点も、通常の購入とは異なる軸です。こうした考え方を念頭に、以下の観点を中心に各サービスを調べました。

再利用・修理・リフレッシュの仕組みが明確か

レンタル家具がサステナブルであるかどうかの核心は、返却後に家具がどうなるかにあります。修理・クリーニング・リフレッシュ(リファブリッシュ)の工程が実際に設けられているか、その仕組みが外部から確認できる形で開示されているかを確認しました。

仕組みが不明確なサービスの場合、返却後にどの程度再利用されているのか、どのくらい廃棄されているのかが外部からは分からず、環境面での評価が難しくなります。アイルランド環境保護庁(Irish EPA)が公表しているグリーン公共調達(GPP)ガイダンスでも、家具サービスにおける修理・リファブリッシュの仕組みの明示が評価項目のひとつとして示されています(Technical Specifications, TS1・TS4 相当)。

耐久性と修理しやすさの設計

レンタル家具は繰り返し搬入・搬出されることが多いため、丈夫さと「壊れても直しやすい設計」が重要なポイントの一つになります。具体的には、部品の交換が可能か・分解しやすい構造か・修理を前提とした設計がなされているかを確認しました。

耐久性が低いと、短期間で破損し修理が困難になり、再利用の機会が失われます。Irish EPA GPPガイダンスでも、修理・再使用を可能にする設計要件(TS3・TS4 相当)が示されています。

持続可能な素材の使用

木材を使用する家具については、FSC(森林管理協議会)やPEFC(森林認証プログラム)など、一定の基準を満たした森林からの木材であることを示す認証の有無を確認しました。これらの認証は、調達先の森林が乱伐・生態系破壊と結びついていないことを第三者が確認する仕組みです。

ただし、認証はあくまで一つの指標です。認証を取得していない場合でも、独自の調達基準を持つサービスもありえますし、逆に認証があればすべての問題が解消されるわけでもありません。FSCPEFCの公式サイトで認証の内容を確認することができます。

配送・輸送の環境負荷

レンタルサービスでは、搬入・搬出のたびに輸送が発生します。利用期間が短かったり、引っ越しのたびに入れ替えたりするケースでは、配送に伴う環境負荷が累積する可能性があります。電気自動車(EV)の活用や梱包材のリサイクル対応など、輸送面の環境配慮が明示されているかを確認しました。

Irish EPA GPPガイダンスでも、梱包材と輸送手段の環境負荷低減が評価項目のひとつとされています(TS2・TS5 相当)。

情報の開示状況

「サステナブル」という言葉はサービス各社が自由に使える表現であるため、その根拠や取り組みの具体的な内容が公開されているかどうかを確認することが大切です。数値の算出方法・修理の仕組み・第三者認証の有無など、開示の透明性も今回の調査対象としました。

執筆時点で確認できなかった点

以下の観点については、各サービスの公式情報からは確認できなかったため、本記事では評価していません。

  • 環境管理システム(ISO 14001等)の取得状況
  • 素材のVOC(揮発性有機化合物)排出抑制への対応
  • 廃棄時のリサイクル・エネルギー回収の仕組みの詳細
  • 労働環境・社会的配慮に関する情報の開示状況

これらについては、各サービスの公式サイトへの問い合わせや最新情報の確認をおすすめします。

「これらが唯一の正解」ではありません。ここで示した観点は、公式情報として確認できた範囲での判断材料です。

サービス紹介

以下の5つのサービスを、公式情報をもとに整理しました。優劣をつけるものではなく、「それぞれどんな人の選択肢になりえるか」という視点でご紹介します。

1. CLAS(クラス)

特徴・サステナブルへの取り組み(公式情報より)

CLASは公式サイトで、「返却→リペア・クリーニング→次の人へ」という循環型モデルを掲げており、返却された家具・家電は原則として修繕・クリーニング・動作確認のうえで再度レンタルに回すと説明しています。

CLASの公式サイトによると、2024年3月時点で累計約8万5,000点のアイテムを廃棄せずに再利用したとしています。ただし、全取扱点数との比率や「廃棄せず再利用」の定義の詳細など、件数以外の条件については公表情報の範囲での確認となります。

廃棄物発生量38%削減・CO2排出量36%削減といった数値も公式に掲載されていますが、これらは同社が独自に算出した推計値(2024年3月公表)です。本記事では比較対象や算出方法、第三者による検証の有無までは確認できていません。これらの数値をご自身でも確認される場合は、何と比較した数値か・どのように算出しているかも見ておくと参考になります。

また、オリジナルブランド「CIRCLEシリーズ」では分解しやすい設計を採用し、部品交換による製品寿命の延長を意図した設計であることが公表されています。梱包材や配送についても「環境配慮型として設計している」と記載されています(具体的な素材・方法の詳細は公式サイトにてご確認ください)。

合いそうな人

  • 「循環型の仕組み」が明示されているサービスを使いたい方
  • 家具・家電をまとめてレンタルしたい方
  • オリジナルブランドの設計思想に共感できる方

合わないかもしれない人

  • 使用する素材の産地や認証(FSC等)まで確認したい方
  • 削減数値の算出根拠や第三者検証まで確認できないと判断しづらい方

迷う場合の別の選択肢 今の家具をもう少し使い続けながら、修理や買い直しのタイミングで改めて検討する、という選択肢もあります。

公式サイト

CLAS

2. コクヨ RENT ONE(レントワン)

特徴・サステナブルへの取り組み(公式情報より)

コクヨの「RENT ONE」はオフィス家具向けのレンタルサービスで、サステナビリティを打ち出しています。公式情報では、返却された家具を自社のクリーニング・リペア拠点で再生し、再利用する仕組みが説明されています。

同社の「Liite(リーテ)」チェアなど一部製品では、座面クッションや背のカバーをユーザー自身で付け替えられる設計を採用しており、消耗した部分だけを交換して製品全体を長く使い続けられるよう配慮されています。

合いそうな人

  • オフィス環境の整備にサステナブルな選択肢を取り入れたい方・法人担当者
  • 修理・部品交換を前提とした設計の家具を使いたい方

合わないかもしれない人

  • 個人・家庭向けの利用を想定している方(主にBtoB向けサービスのため)
  • インテリアの多様性を求める方

公式サイト

RENT ONE

3. 東京リースコーポレーション(Tokyo Lease)

特徴・サステナブルへの取り組み(公式情報より)

東京リースコーポレーションは一般賃貸向けの家具レンタルを主軸としており、公式サイトでは返却された木製家具やマットレスについて「自社の職人が補修や塗装、張り替えを行い、再び倉庫に並べる」と職人によるリフレッシュ工程を説明しています。どの程度の割合の家具が再利用されているかなどの詳細は、公表情報の範囲での確認となります。

配送面では、公式情報によると2023年に電動トラック「eキャンター」を導入し、倉庫屋根の太陽光パネルで発電した電力を活用しながら都内中心部での配送に一部活用しているとされています(全配送に占める割合などの詳細は公表情報からは読み取れませんでした)。

合いそうな人

  • 一般賃貸(短期〜長期)での家具レンタルを検討している方
  • 配送の環境負荷低減に具体的な取り組みがあるサービスを選びたい方
  • 職人による修理・リフレッシュのプロセスを重視する方

合わないかもしれない人

  • 素材の認証(FSC等)やVOC対応まで確認したい方
  • 月額定額のサブスクリプション形態を希望する方

公式サイト

麻布インテリア/東京リースコーポレーション

4. COSMO SubscRental(コスモ サブスクレンタル)

特徴・サステナブルへの取り組み(公式情報より)

COSMO SubscRentalは、家具・家電のサブスクリプション型レンタルサービスです。公式サイトでは「捨てる費用や手間もかからない」と明記されており、利用後は事業者側が回収する運用であることが示されています。また、破損・不具合時には「交換」対応を行う仕組みも記載されており、事業者側が管理する運用であることは示されています。ただし、回収後の製品がリユース(再レンタル)されるのか、リサイクル・廃棄処理されるのかの詳細については、公式サイト上では確認できません。「使い捨てではない」と言えるかどうかは、回収後の行先が明らかになって初めて判断できる部分です。

合いそうな人

  • 不用品の処分や廃棄の手間を減らしたい方
  • 家具の買い替えや引っ越しが多いライフスタイルの方

合わないかもしれない人

  • 修理・リフレッシュの具体的な工程まで確認したい方
  • 素材認証や配送の環境対応を重視する方

迷う場合の別の選択肢 現在お手持ちの家具を引き続き使用しながら、ライフスタイルの変化のタイミングで改めて検討するのも一つの方法です。

公式サイト

Cosmo SubscRental

5. かして!どっとこむ

特徴・サステナブルへの取り組み(公式情報より)

かして!どっとこむは、家具・家電のレンタルサービスです。公式サイトの「選ばれる理由」では、「中古商品は、すべて新品レンタル終了後、清掃・メンテナンスをしたラインナップで、リサイクルショップから仕入れたものはありません。」と明記されています。

この記述から、新品として貸し出した家具・家電を返却後に自社で清掃・メンテナンスし、中古レンタル品として再投入する再利用サイクルが公式に示されています。中古商品がすべて自社サービス由来であることも明言されており、製品の履歴(トレーサビリティ)が透明である点が特徴です。どこから来た商品かが確認しやすい構成は、安心して利用できる根拠のひとつになりえます。

ただし、修理・リフレッシュの詳細な工程、素材の認証状況、配送の環境対応については、公式サイト上での確認が限定的でした。

合いそうな人

  • 中古レンタル品の出自(どこから来た商品か)を確認できることを重視する方
  • 清掃・メンテナンス済みの中古品を利用したい方

合わないかもしれない人

  • 素材認証や配送の環境対応まで確認したい方
  • 修理・リフレッシュの具体的な工程を重視する方

公式サイト

家具家電レンタルのかして!どっとこむ

6. RaCLEaaS(ラクリアーズ)

特徴・サステナブルへの取り組み(公式情報より)

RaCLEaaS(ラクリアーズ)は、家具・家電のサブスクリプション型レンタルサービスです。公式サイトによると、初回利用時に新品を届け、契約満了後は「新しい商品への交換・割引料金での延長・買取による継続利用」から選択できる仕組みが説明されています。

また、FAQでは利用終了後の家電(家電リサイクル法対象品)および家具について、事業者側が無料で引き取り処分・リサイクルを行うとしており、ユーザーが廃棄手続きを負担しなくて済む構成になっています。ただし、初回に必ず新品が届くモデルであるため、返却後の製品が再利用(再レンタル)されない場合、「新品製造→廃棄・リサイクル」というサイクルに近くなり、環境負荷の低減効果は限定的になる可能性があります。回収後の製品がリユースされるのか、処分・リサイクルされるのかについては、現時点での公式サイト上の記述からは判断しきれませんでした。

合いそうな人

  • 利用終了後の処分・引き取りをサービス側に任せたい方
  • 新品スタートのサブスク形態を希望する方

合わないかもしれない人

  • 回収後の再利用の仕組みを重視する方(再利用か処分かの詳細が公式情報では確認しにくいため)
  • 素材認証や配送の環境対応まで確認したい方

公式サイト

ラクリアーズ

補足|比較時に迷いやすいポイントと、まだ確認できていないこと

「サステナブル」の定義はサービスによって違う

「サステナブル」という言葉は広く使われていますが、何を指しているかはサービスごとに異なります。「廃棄を減らしている」のか、「素材にこだわっている」のか、「配送の排出を減らしている」のか——重視したいポイントを自分なりに決めておくと、比較しやすくなります。

数値の比較は慎重に

環境報告書などに掲載される削減率の数値は、どの年を基準にしているのか、どこまでの排出を含めているのかによって意味が大きく変わります。「何と比べた数値か」「どのように算出しているか」「第三者による検証があるか」を確認しておくと参考になります。

今回の調査では確認しきれなかったこと

  • 各サービスの環境管理システム(ISO 14001等)の取得状況
  • 廃棄時のリサイクル・エネルギー回収の仕組みの詳細
  • 素材のVOC(揮発性有機化合物)排出抑制への対応
  • 労働環境・社会的配慮に関する情報の開示状況

これらは、各サービスの公式サイトへの問い合わせや、最新情報の確認をおすすめします。

まとめ|決めなくていい、でも考え続けていい

レンタル家具は、十分な期間繰り返し使われる仕組みが整っている場合には、廃棄を減らし、資源を循環させる選択肢になりえます。ただし、短期間のレンタルを頻繁に繰り返すと、配送に伴う環境負荷が蓄積し、購入して長く使う場合よりも負荷が高まる可能性もあります。「レンタルだからエコ」と自動的に言えるわけではなく、どのサービスが、どのような仕組みで循環を支えているか、そして自分がどれくらいの期間・頻度で使うかを合わせて考えることが、より納得のいく選択につながります。

今すぐどれかを選ぶ必要はありません。

  • 今使っている家具をもう少し大切に使い続ける
  • 次に引っ越すタイミングで改めて検討する
  • 一部だけレンタルにしてみて、使い心地を確かめる

「買わない」「今はまだ決めない」という選択も、立派な選択です。

この記事を読んで、何かひとつでも「自分が気にしていたことの名前がわかった」と感じていただけたなら、それで十分です。あなた自身の物差しで、ゆっくり考えてみてください。


本記事は、各サービスの公式サイトに掲載された情報と、Irish EPA(アイルランド環境保護庁)が公表しているグリーン公共調達(GPP)ガイダンスおよび関連基準などの公開資料を参考に執筆しています。情報はすべて執筆時点のものであり、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。本記事は特定のサービスを推奨・保証するものではありません。

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Mariko
Mariko

小林真梨子|日本在住のエコライター。2018年よりサステナブルな暮らしを実践。パリ第四大学(ソルボンヌ)で分析・言語哲学の修士を取得。哲学的視点から、倫理的消費・エコライフスタイルをリサーチベースで発信する独立メディア「エコ哲学」を運営。

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