サステナブルなチョコレートの選び方|フェアトレード・オーガニック・ヴィーガン対応ブランド10選

チョコレートは私たちの生活に身近なお菓子ですが、その原料であるカカオの生産現場では、深刻な問題が起きています。

カカオ豆の二大生産国であるコートジボワールとガーナでは、約156万人の子どもがカカオ生産における児童労働に従事していると推計されています。また、多くの生産者が世界銀行の定める貧困ライン以下で生活しており、この構造的な貧困が児童労働や森林破壊の根本原因となっています。

さらに、カカオ生産地域の拡大は熱帯雨林減少の主要因の一つであり、気候変動や生物多様性の喪失にもつながっています。病害虫対策として使用される強力な殺虫剤は、生産者の健康被害や周辺水域の汚染を引き起こす懸念もあります。

こうした問題を知ると「チョコレートを食べることに罪悪感を持ってしまう」と感じる方もいるかもしれません。しかし、私たち消費者には「選ぶ」という力があります。サステナブルな基準を満たすチョコレートを選ぶことで、カカオ生産者の生活改善や環境保全に貢献することができるのです。

この記事では、単なる「エコ」ではなく、カカオ産業が抱える構造的問題に具体的に取り組んでいるチョコレートブランドをご紹介します。

編集部が重視した5つの選定基準

サステナブルなチョコレートを選ぶ際、編集部では以下の5つの基準を重視しました。これらは、政府・国際機関・認証団体・専門NGOの公式資料に基づく、客観的かつ具体的な評価基準です。

① 最低価格保証とプレミアム(奨励金)の仕組み

基準内容:
市場価格が暴落しても生産コストを賄える「最低価格」が保証され、地域の発展のために使われる追加の「プレミアム(奨励金)」が支払われているか。

なぜ重要か:
カカオ豆の国際相場は変動が激しく、生産者が生活可能な収入を得られなければ、サステナブルな農法への投資や子どもの就学支援は不可能です。この仕組みは、貧困という根本原因の解決に直結します。

出典:

② 児童労働監視改善システム(CLMRS)の導入

基準内容:
単に「児童労働禁止」を宣言するだけでなく、実際に農園をモニタリングし、発見されたケースを解決(救済)する仕組みが導入されているか。

なぜ重要か:
カカオ収穫には刃物の使用や重労働が含まれ、国際労働機関(ILO)が定める「最悪の形態の児童労働」に該当するリスクが高いためです。宣言だけでなく、実際に現場で機能する是正システムが必要です。

出典:

③ 森林破壊ゼロ(Deforestation-Free)とトレーサビリティ

基準内容:
カカオが生産された農地が、特定の基準日以降に森林を切り開いて作られたものではないことが、GPS(ジオロケーション)データ等で証明されているか。

なぜ重要か:
カカオ生産地域の拡大は熱帯雨林減少の主要因の一つです。気候変動対策および生物多様性の保全において、森林浸食の防止は不可避の課題です。

出典:

④ アグロフォレストリー(森林農法)またはシェードグロウン(日陰栽培)

基準内容:
単一栽培(モノカルチャー)ではなく、背の高い樹木(シェードツリー)とカカオを混植し、多様な植生環境で栽培されているか。

なぜ重要か:
カカオは本来、日陰を好む植物です。アグロフォレストリーは土壌の肥沃さを維持し、化学肥料への依存を減らし、生産者の食料確保にも寄与します。カカオ農園の持続可能性と気候変動への適応力を高めるための科学的に支持された農法です。

出典:

⑤ 有機JAS認証(または同等の国際有機認証)

基準内容:
化学的に合成された農薬や肥料、遺伝子組換え技術を使用せず、周辺環境や土壌微生物への負荷を低減しているか。

なぜ重要か:
カカオ栽培では病害虫対策として強力な殺虫剤が使用されることがあり、生産者の健康被害や周辺水域の汚染が懸念されています。土壌汚染の防止と農業従事者の健康を守るための法的裏付けのある基準です。

出典:

おすすめサステナブルチョコレート10選

ここからは、上記の選定基準を満たすチョコレートブランドを、特徴別にご紹介します。

【フェアトレード+児童労働対策重視型】生産者の生活と子どもの未来を守る

1. Tony’s Chocolonely(トニーズ・チョコロンリー)

ブランド特徴:
オランダ発のチョコレートブランド。「スレイブフリー(奴隷労働のない)チョコレート」をミッションに掲げ、児童労働撲滅に正面から取り組んでいます。

該当基準:

  • ① 最低価格保証とプレミアム(奨励金)の仕組み
  • ② 児童労働監視改善システム(CLMRS)の導入

満たしている根拠:
公式サイトの「Living Income Model」において、ガーナとコートジボワールの農家が生活可能な収入を得られるよう、フェアトレード価格に加えて独自のプレミアム(奨励金)を支払うモデルを明記しています。また、すべての提携先協力団体において「児童労働監視改善システム(CLMRS)」を導入し、児童労働の根本原因である貧困の解決と実態のモニタリングを組織的に実行しています。

こんな方におすすめ:
児童労働問題に真剣に取り組むブランドを応援したい方、トレーサビリティを重視する方

2. Divine Chocolate(ディバイン・チョコレート)

ブランド特徴:
ガーナのカカオ農家協同組合「クアパ・ココ」が会社を共同所有する、世界でも珍しいビジネスモデルを採用。生産者自身が経営に参画しています。

該当基準:

  • ① 最低価格保証とプレミアム(奨励金)の仕組み
  • ③ 森林破壊ゼロ(Deforestation-Free)とトレーサビリティ

満たしている根拠:
公式サイトでは、すべての原材料についてフェアトレード最低価格とプレミアムの支払いを保証していることを明示しています。環境面では、森林破壊の原因となるパーム油を一切使用しない方針を掲げているほか、大規模プランテーションではなく代々続く小規模農家から直接調達することで、森林を切り開かない伝統的な農法の維持とトレーサビリティの確保に努めています。

こんな方におすすめ:
生産者の自立とエンパワーメントを支援したい方、パーム油フリーの製品を探している方

3. Endangered Species Chocolate(エンデバード・スピーシーズ・チョコレート)

ブランド特徴:
野生動物の保護をミッションに掲げるアメリカのブランド。売上の一部を野生動物保護活動に寄付しています。

該当基準:

  • ① 最低価格保証とプレミアム(奨励金)の仕組み
  • ③ 森林破壊ゼロ(Deforestation-Free)とトレーサビリティ

満たしている根拠:
フェアトレード・インターナショナルのパートナーとして、コートジボワールの生産者に対しフェアトレード最低価格とプレミアムを支払っていることが公表されています。公式サイトのインパクトレポート等では、カカオの完全なトレーサビリティを確保していることを強調しており、野生動物の保護をミッションに掲げるブランドとして、カカオ生産が森林破壊(野生動物の生息地破壊)に繋がらないよう厳格な調達基準を運用しています。

こんな方におすすめ:
野生動物保護にも関心がある方、寄付活動も含めて社会貢献したい方

4. People Tree(ピープルツリー)

ブランド特徴:
日本のフェアトレードブランドの先駆け。衣類から食品まで幅広く展開し、世界フェアトレード連盟(WFTO)の認証を受けています。

該当基準:

  • ① 最低価格保証とプレミアム(奨励金)の仕組み
  • ⑤ 有機JAS認証(または同等の国際有機認証)

満たしている根拠:
公式サイトにおいて、世界フェアトレード連盟(WFTO)の認証基準に基づき、生産者に対して適正な価格の支払いや長期的な取引、地域開発のためのプレミアムの拠出を行っていることを明記しています。製品ラインナップの多くが有機JAS認証(または同等のオーガニック認証)を受けており、ボリビアの協同組合などで有機栽培されたカカオ豆を主原料とし、化学肥料や農薬に頼らない環境保全型の農業を支援しています。

こんな方におすすめ:
日本のブランドで安心して購入したい方、オーガニック+フェアトレード両方を重視する方

【環境再生+オーガニック重視型】気候変動対策と土壌の健康を守る

5. Alter Eco(アルターエコ)

ブランド特徴:
アメリカのオーガニック&フェアトレードチョコレートブランド。「再生農業(Regenerative Agriculture)」を推進し、気候変動対策の核心としてアグロフォレストリーに取り組んでいます。

該当基準:

  • ④ アグロフォレストリー(森林農法)
  • ⑤ 有機JAS認証(または同等の国際有機認証)

満たしている根拠:
公式サイトの「Certifications & Policies」にて、全製品がUSDA Organic(米国の有機認証)を取得していることを公表しており、合成農薬や化学肥料、遺伝子組換え技術を一切排除した栽培を行っています。また、気候変動対策の核心としてアグロフォレストリー(森林農法)を推進しており、カカオを単一栽培するのではなく、他の樹木と混植することで生態系を再生し、土壌の健全性を保つ「再生農業」の取り組みを具体的に紹介しています。

こんな方におすすめ:
気候変動対策に関心がある方、再生農業を応援したい方

6. Theo Chocolate(テオ・チョコレート)

ブランド特徴:
アメリカ・シアトル発のBean to Bar(カカオ豆からチョコレートまで一貫製造)ブランド。生産者への技術支援にも力を入れています。

該当基準:

  • ④ アグロフォレストリー(森林農法)またはシェードグロウン(日陰栽培)
  • ⑤ 有機JAS認証(または同等の国際有機認証)

満たしている根拠:
公式サイトの認証紹介ページにおいて、すべての原材料が第三者機関によって有機認証(QAI等)を受けていることを明記し、合成農薬や化学肥料を使用しない厳格な基準を遵守しています。供給元であるコンゴ民主共和国等の農家に対しては、アグロフォレストリーやシェードグロウン(日陰栽培)の技術トレーニングを提供しており、渡り鳥の生息地となる生物多様性の維持や、森林再生を通じた環境負荷低減に取り組んでいることが公式に記載されています。

こんな方におすすめ:
生物多様性保全に関心がある方、Bean to Barの製法にこだわりたい方

7. Loving Earth(ラビングアース)

ブランド特徴:
オーストラリアのプラントベース(植物性)チョコレートブランド。ペルーの先住民コミュニティと直接取引し、熱帯雨林の再生を支援しています。

該当基準:

  • ④ アグロフォレストリー(森林農法)
  • Q3. ヴィーガン対応(動物性原材料不使用)

満たしている根拠:
公式サイトの「Our Values」セクションにおいて、全製品が植物性(Plant-Based)であり、乳製品や加工助剤に至るまで動物性原料を一切使用していないことが明記されています。また、ペルーの熱帯雨林においてアシュアニンカ族がアグロフォレストリー農法で栽培したカカオを直接調達しており、森林の再生と生産者の自立を支援していることが根拠として示されています。

こんな方におすすめ:
先住民コミュニティ支援に関心がある方、ヴィーガンかつ環境配慮を両立したい方

アリサンオーガニック

【ヴィーガン+オーガニック重視型】動物性原料不使用で環境負荷も低減

8. iChoc(アイチョコ)/ EcoFinia(エコフィニア)

ブランド特徴:
ドイツ発の「100% Organic & Vegan」をコンセプトとするブランド。乳製品の代わりにライスミルク(有機米抽出物)を使用しています。

該当基準:

  • ⑤ 有機JAS認証(または同等の国際有機認証)
  • Q3. ヴィーガン対応(動物性原材料不使用)

満たしている根拠:
公式サイトでは全製品がEU Organic認証を取得していることを明示しています。牛乳の代わりにライスミルク(有機米抽出物)を使用しており、製造ラインにおいても乳製品との接触を排除したヴィーガン専用のプロセスを採用していることが公式の製造基準として記載されています。

こんな方におすすめ:
乳アレルギーがある方、ライスミルクの風味を試してみたい方

9. PANA ORGANIC(パナオーガニック)

ブランド特徴:
オーストラリア発のオーガニック&ヴィーガンチョコレート。カカオバター、ココナッツ、ナッツのみで作られたシンプルな原材料が特徴です。

該当基準:

  • ⑤ 有機JAS認証(または同等の国際有機認証)
  • Q3. ヴィーガン対応(認証マークあり)

満たしている根拠:
公式サイトにおいて、オーストラリアの有機認証(ACO)を取得したオーガニック製品であることが明記されています。また、Vegan Australiaの認証を受けており、動物由来成分を完全に排除した原材料(カカオバター、ココナッツ、ナッツ等)のみで製造されていることが公式の品質保証として記載されています。

こんな方におすすめ:
シンプルな原材料を好む方、ナッツやココナッツ系のフレーバーが好きな方

【有機JAS認証重視型】農薬・化学肥料不使用を徹底

10. VIVANI(ヴィヴァーニ)

ブランド特徴:
ドイツの老舗オーガニックチョコレートブランド。100%オーガニック原材料の使用をブランドの原則としています。

該当基準:

  • ⑤ 有機JAS認証(または同等の国際有機認証)

満たしている根拠:
公式サイトの品質指針において、100%オーガニック原材料を使用することをブランドの原則として掲げています。「EU Organic」認証を取得しており、農薬や化学肥料に依存しない栽培プロセスを徹底しているほか、日本国内で流通している製品についても有機JASマークが付与され、その適合性が認められています。

こんな方におすすめ:
ドイツの品質基準を信頼する方、クラシックなヨーロッパチョコレートが好きな方

購入時にチェックしたい4つの質問

サステナブルなチョコレートを選ぶ際、パッケージや公式サイトで以下の質問に答えられるかを確認すると、より客観的に判断できます。

Q1. パッケージに「国際フェアトレード認証ラベル」またはそれに準ずる第三者認証マークがありますか?

Yesの意味:
カカオ生産者に対して「最低価格の保証」と「プレミアム(地域開発資金)」が支払われていることが第三者機関によって監査されています。

Q2. 原材料のカカオは、農園(Plot)レベルまで追跡可能(トレーサブル)であることが明記されていますか?

Yesの意味:
「カカオマス」などの集合体として処理される前に、どの農家が生産したか特定できており、児童労働や森林破壊のモニタリングが可能な状態です。

Q3. (ヴィーガンの場合)「動物性原材料不使用」だけでなく、製造ラインのコンタミネーション(混入)対応や認証機関のマークはありますか?

Yesの意味:
原材料として乳製品を含まないだけでなく、厳格な菜食基準(NPO法人ベジプロジェクトジャパンやThe Vegan Societyなど)に基づき審査されています。畜産由来の環境負荷(メタンガス等)低減の文脈でも重要です。

Q4. 児童労働の監視システム(CLMRS)を導入している、または導入しているサプライヤーから調達している記述はありますか?

Yesの意味:
単なる「不使用宣言」ではなく、実際に現場で児童労働のリスクを特定・改善する具体的な是正システムが機能しています。

一枚のチョコレートが、世界を変える一歩になる

サステナブルなチョコレートを選ぶことは、単に「環境に優しい」という以上の意味を持ちます。それは、カカオ生産者の生活を改善し、子どもたちが学校に通える未来を作り、森林を守り、気候変動に立ち向かう具体的なアクションです。

今回ご紹介した16のブランドは、それぞれ異なる強みを持ちながら、カカオ産業が抱える構造的な問題に真摯に取り組んでいます。

  • フェアトレード+児童労働対策を重視するなら: Tony’s Chocolonely、Divine Chocolate、Endangered Species Chocolate、People Tree
  • 環境再生+オーガニックを重視するなら: Alter Eco、Theo Chocolate、Loving Earth
  • ヴィーガン+オーガニックを両立したいなら: 風と光、The Raw Chocolate Co、iChoc、PANA ORGANIC
  • 有機JAS認証を徹底的に重視するなら: People Tree、Alter Eco(国内版)、VIVANI、LANDGARTEN、Theo Chocolate

あなたが大切にしたい価値観に合わせて、まずは一つのブランドから試してみてください。パッケージに記載された認証マークや、公式サイトの取り組み紹介を読むだけでも、チョコレートの背景にある物語が見えてきます。

私たち一人ひとりの選択が、遠く離れたカカオ生産地の未来を変える力になります。次にチョコレートを手に取るとき、ぜひこの記事を思い出してみてください。

Share