アニマルウェルフェアって言葉を聞いたことがありますか。動物愛護はよく耳にしますが、アニマルウェルフェアはあまり聞きませんよね。
アニマルウェルフェアは、猫や犬などのペットだけでなく、牛や鶏などの家畜も関わっています。肉や卵などの食品にも関わりがあり、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に深く関係しています。エシカル消費をするには、知っておきたい概念です。
この記事では、アニマルウェルフェアについて説明します。アニマルウェルフェアに考慮されたネット通販で購入できる商品も紹介しているので、参考にしてみてください。
アニマルウェルフェアとは?
アニマルウェルフェア(Animal Welfare)とは、日本語に訳すと「動物福祉」という意味です。実際の意味は「福祉」というよりは、「動物が快適に生活できる状態」に近いです。
世界の182ヶ国が加盟している国際獣疫事務局(OIE)は、アニマルウェルフェアを「動物の生死に関わる身体的・精神的状態」と定義しています。動物が生きている間と死ぬときにどのような身体的・精神的状態なのかに関係しています。
19世紀にヨーロッパ発祥の概念で、動物も人間のように苦痛を感じることができるので、苦痛を与えないように配慮することがアニマルウェルフェアで求められています。動物が人間のケアのもとで飼育されている場合、責任を持って人間らしく関わる必要があります。
動物が快適に生活するには、新鮮な餌・きれいな水が必要です。十分な食事が与えられ、安全で心地のいい飼育環境も大切になります。動物ごとに自然な行動がありますが、それができないと動物にとってストレスになります。病気や怪我をしたら、獣医へのアクセスが必要です。
人間が動物のケアをしている場合、できるかぎり動物が痛み・恐怖・苦しみを感じないように、人間らしく関わる必要があります。飼育中の環境も大切ですが、動物を食品にする際に屠殺するときも、できるかぎり痛み・恐怖・苦しみを感じないように配慮しなければいけません。
現在は、動物行動学などの科学的な研究が進んでおり、客観的に動物が快適な状態を測れるようになりました。
従来の畜産の課題・問題点は?
アニマルウェルフェアは、1960年代にイギリスの活動家ルース・ハリソンが「アニマル・マシーン」という本で家畜の飼育での虐待について語りました。大量生産が始まってから、家畜の飼育状態は悪化しています。
日本の92%の採卵養鶏場は「バタリーケージ」というB5サイズの小さなカゴの中で飼育しています。鶏のサイズより小さいので、動物は身動きができません。小さいスペースにたくさんの鶏を飼育している場合、鶏同士がつつき合って怪我をするのを防ぐため、鶏のクチバシを切断する場所もあります。麻酔を使わずに切断されるので、大きな苦痛を与えます。
EUでは2027年にはケージ飼いを禁止する方針を掲げ、平飼いや放牧への転換のための補助金を畜産農家に出しています。
ほかにも、日本では9割近くの豚の飼育に「妊娠ストール」を使用しています。妊娠ストールとは、母親の豚が子豚を踏み潰さないように小さなケージに入れられるのですが、母豚は身動きが取れず、快適な環境とは言えません。
動物実験にて、ウサギやねずみなどの動物が拘束され、小さな檻の中で実験を受けながら苦痛を感じているのも問題になっています。
アニマルウェルフェアの5つの自由とは?
「5つの自由」とは、1961年にイギリスで確立し、1990年代にEUを中心に基準が法的に適用されたアニマルウェルフェアのルールです。
5つの自由
- 飢えと渇きからの自由
健康で活力のある生活をするために必要な、新鮮な水と飼料が与えられている - 不快からの自由
畜舎や快適に過ごせるスペースなどの適切な飼育環境の整備が与えられている - 痛み、傷、病気からの自由
痛み・傷・病気の予防や、獣医へのアクセスが与えられている - 正常行動発現の自由
十分な空間と適切な施設で自由に行動でき、同種の仲間と戯れられる環境が与えられている - 恐怖や悲しみからの自由
心理的な苦しみを与えない飼育環境の確保と適切な扱いが与えられている
欧米と日本のアニマルウェルフェアの違い
アニマルウェルフェアは欧米から発祥した概念で、日本ではまだ広く浸透していません。欧米から発祥したのには理由があり、欧米の文化では人間は動物よりも優位性があると考えられていたからです。19世紀から動物も痛みや苦痛を感じると認識するようになり、動物に苦痛を感じさせないことを重視しています。
日本では神道や仏教の影響が大きく、人間と動物の命は同じ価値を持っていると考えられてきました。なので、動物の苦痛より、動物の命を奪うことを問題視する動物愛護の傾向が強いです。
アニマルウェルフェアのメリットとデメリット
アニマルウェルフェアを広げるメリットは、安全な食品を確保できることです。動物の健康状態がいいほど、食品の安全性も上がります。
デメリットは、コストが高いところです。人件費も多くなりますし、広い土地も必要です。EUでは補助金を出して、アニマルウェルフェアを考慮した生産に転換しやすいように配慮しています。
アニマルウェルフェアを心がけた食品の選び方
- 平飼いの卵を選ぶ
- 放牧をしているグラスフェッドの肉や牛乳を買う
- 認証のついた商品を買う
- アニマルウェルフェアの認定制度
アニマルウェルフェアを考慮したエシカルな商品が買いたい人は、「平飼い」や「放牧」をしている農家の商品を買いましょう。最近では、エシカル認証も増えてきているので、認証を受けている食品は安心して購入できます。
アニマルウェルフェアの認証
JGAP認証:持続可能な農場経営をしている農家に与えられる認証
有機JAS認証:農林水産省が出している認証
やまなしアニマルウェルフェア認定:山梨県の畜産食品に与えられている認証
エコデザイン認定センター:有機JASの認証も行っており、平飼い卵に特化したアニマルウェルフェア認証
アニマルウェルフェア畜産協会:家畜の飼育状況や環境を考慮している農家に与えられる認証
Animal Welfare Community Japan:家畜の健康と5つの自由を配慮している畜産農家が集まっているコミュニティーの認証
アニマルウェルフェア食品が買える通販サイト
なかほら牧場 グラスフェッドの乳製品
岩手県の山林で放牧をしている酪農農家。自然の中にある草を食べて育ち、自然交配や母乳哺育など、牛の自然な行動を尊重して育てられています。バター・牛乳・プリンなどの商品を販売しています。
SHOP
グラスフェッドの『なかほら牧場』 楽天どろぶた グラスフェッドの豚肉
出典:楽天北海道十勝の広い大地で育った豚の商品を提供しています。ストレスがないように配慮された飼育されており、餌にもこだわっています。
WEBSITE
SHOP
ハム・ソーセージのセット
楽天 Amazon肉詰め合わせ
楽天ミートガイ オーストラリア産のグラスフェッドビーフ
出典:楽天オーストラリア・ニュージーランドのグラスフェッドのお肉が購入できます。放牧させて草を食べて飼育された牛の肉を使っています。
SHOP
ステーキ
楽天 Amazonローストビーフセット
楽天 Amazon鏡山牧場 国産グラスフェッド黒毛和牛
出典:楽天宮崎県にて放牧で飼育されたグラスフェッドビーフを販売しています。JGAP認証を取得しているので、安心できますね。黒毛和牛のグラスフェッドが味わえます。
SHOP
ローストビーフ
楽天しあわせ牧場 放牧の乳製品
出典:楽天岩手県で牛・ヤギ・ヒツジを飼育しているしあわせ牧場。牛乳・バター・ヨーグルトなどを販売しており、グラスフェッドのヤギのミルクなども購入できます。
SHOP
牛乳
楽天 Amazonヤギミルク グリークヨーグルト
楽天 Amazon小林農園 平飼い卵
出典:楽天北海道の広いスペースで鶏を平飼いしている小林農園。平飼い卵やスモークチキンなどを販売しています。
SHOP
平飼い卵
楽天信州・たまご山ランド 平飼い卵
出典:楽天昭和63年から平飼い飼育に取り組んでいる信州たまご山ランド。AWFC Japanの認証を受けているので、安心できます。
SHOP
楽天蓮ヶ峯農場 平飼い卵
出典:楽天京都で純国産鶏を平飼いしている蓮ヶ峯農場。鶏の習性を尊重した飼育を行っており、心身ともに健康な状態を保つ環境が与えられています。
SHOP
楽天アニマルウェルフェアを意識しよう!
アニマルウェルフェアを考慮した商品は値段が高く、なかなか手が出しにくいですが、特別なイベントのときに買ったり、食べる量を減らして質のいいものを買うようにすると、取り入れやすいです。
動物の飼育状態に配慮している農家の方にも、続けて頑張ってもらえるようにエシカル消費で応援したいですね。