「オーガニックレストランに行ってみたい」と思っても、実際にどの店を選べばいいのか、迷うことは少なくありません。
東京には、有機野菜を使った店、自然農法にこだわる店、サステナブルシーフードを提供する店など、さまざまな形態のレストランが存在しています。一口に「オーガニック」といっても、その定義や取り組みの範囲は店によって大きく異なります。
第三者認証を取得している店もあれば、独自の基準で運営している店もあります。すべての食材が有機というわけではない店もあれば、特定の分野に特化している店もあります。
この記事では、東京都内で「オーガニック」や「サステナブル」を掲げるレストランの情報を整理し、それぞれの特徴や取り組み内容を提示します。ただし、これは「行くべき店」を推薦するものではありません。あくまで、読者自身が「自分の価値観や利用目的に合うかどうか」を判断するための材料を提供するものです。
編集部の選定基準
本記事で紹介するレストランは、以下の視点で調査・選定しました。これらは優劣を決めるものではなく、あくまで情報を整理するためのフィルタ条件です。
- 公式サイト上で「オーガニック」「有機」「自然農法」「サステナブル」などの表現を明示している
- 第三者認証(有機料理を提供する飲食店等の管理方法(JAS規格)、リーファース認証など)の取得状況が確認できる、または独自の栽培・調達基準を公表している
- 使用食材の産地・生産者・栽培方法について、一定の情報開示がある
こういった視点で調べました、という整理です。
東京のオーガニックレストラン 9選
1. クレヨンハウス オーガニックレストラン「広場」
場所| 吉祥寺
店舗の特徴:
有機料理を提供する飲食店等の管理方法(JAS規格、以下「有機料理提供飲食店JAS」)における第1号認証を取得した飲食店の一つ。ランチは有機野菜を中心とした日替わりビュッフェ形式、ディナーはコース料理およびアラカルトを提供している。「有機農業をひろげる」ことを目的に、生産者と生活者がつながる「広場」を目指している。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
有機料理提供飲食店JASの認証を取得しており、有機食材の管理・記録が同規格の基準に従って行われている。第三者機関による監査を受け、有機食材の保管・調理・洗浄プロセスが規格化されている。
店舗独自のこだわり・情報開示:
使用する野菜の産地・生産者だけでなく、調味料や加工品の原材料を開示しており、「使用できなかった(一般市場品で代用した)食材」があれば、それも隠さず掲示する方針をとっている。食べ残しを減らすための声かけや、生ごみ処理機による堆肥化への取り組みも行われている。
この店が向いている人:
アレルギーや添加物が気になり、原材料のすべてを知りたい人。小さな子供連れで、安心して食事をさせたい人。第三者認証を重視し、有機食材の管理体制が明確な店を求める人。
注意点・合わない可能性:
ビュッフェ形式のため、特定の食材除去(コンタミネーション防止)については完全には保証できない場合がある(要問合せ)。具体的な有機食材の仕入れ総額割合などの数値は公表されていない。営業時間・定休日・予約方法・価格帯については、公式サイト上で十分に明示されていない。
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2. リストランテ アクアパッツァ
場所| 外苑前
店舗の特徴:
「日本の食材で美味しいイタリアン」をコンセプトに、日本の生産者が作る安全で質の高い食材を、イタリアンの技法で提供するレストラン。認証機関リーファースによるオーガニックレストラン認証(民間認証)と、有機料理提供飲食店JAS(国の規格)の両方を取得している。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
有機料理提供飲食店JASの認証に基づき、有機食材と非有機食材の混入防止措置などが講じられている。
店舗独自のこだわり・情報開示:
日髙良実シェフ自らが日本全国の産地を訪れ、信頼関係を築いた生産者から食材を仕入れている。国産食材の使用を基本とし、日本の四季に合わせたメニュー構成を徹底している。
この店が向いている人:
接待や記念日など、フォーマルな場面でオーガニック料理を利用したい人。イタリアンとしての美味しさと、食材の安全性を両立させたい人。シェフと生産者の関係性や、産地訪問の実績を重視する人。
注意点・合わない可能性:
JAS認証対応の「オーガニックコース」等の特定メニューを希望する場合は、事前の確認・予約が推奨される。具体的な有機食材の仕入れ総額割合などの数値は公表されていない。営業時間・定休日・予約方法・価格帯については、公式サイト上で十分に明示されていない。
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一休で予約する3. WE ARE THE FARM
場所| 麻布十番、赤坂、恵比寿、目黒、渋谷、豊洲
店舗の特徴:
「ALL FARM」をコンセプトに、自分たちの手で畑を耕し、種をまき、無農薬・無化学肥料で育てた野菜を提供する野菜料理専門店。千葉県佐倉市の自社農園から、その日の朝に収穫した野菜を直送している。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
記載なし(第三者認証は取得していない)
店舗独自のこだわり・情報開示:
自社農園での無農薬・無化学肥料・露地栽培であることを公式サイト上で明示している(自己申告に基づく独自基準)。流通に乗りにくい伝統野菜や固定種をあえて栽培し、多様な品種を提供している。食材ロス削減のため、規格外野菜もすべて使い切るレシピ開発を行っており、食べ残し削減のための持ち帰り推奨(ドギーバッグ)やプラスチックストローの廃止にも取り組んでいる。
この店が向いている人:
とにかく新鮮で味が濃い野菜をたくさん食べたい人。形の揃ったスーパーの野菜ではなく、個性的な野菜に興味がある人。自社農園直営という仕組みに共感する人。
注意点・合わない可能性:
天候や収穫状況により、提供できる野菜の種類が急遽変更になる場合がある。有機JAS認証などの第三者認証は取得しておらず、栽培方法は自己申告に基づく独自基準である。営業時間・定休日・予約方法・価格帯については、公式サイト上で十分に明示されていない。
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4. 豊受オーガニクスレストラン
場所| 用賀駅
店舗の特徴:
「農」と「食」をつなぐことをコンセプトに、自家採種・自然農(無農薬・無化学肥料)で作られた作物を、加工・提供まで一貫して管理するレストラン。北海道と静岡に大規模な自社農場を持ち、生産からレストラン提供までを自社で行う六次産業化を実現している。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
記載なし(第三者認証は取得していない)
店舗独自のこだわり・情報開示:
農薬・化学肥料・化学調味料・食品添加物・遺伝子組み換え作物を不使用としており、在来種・固定種・自家採種を重視している(自己申告に基づく独自基準)。自社農場産の自然農作物を中心に使用し、旬の時期に収穫されたものを中心に献立を構成している。自然な種や土壌菌を重視した堆肥で育てた食材を提供することを理念としている。
この店が向いている人:
一般的な「オーガニック」よりもさらに厳しい「自然農」「自家採種」といった基準を求める人。伝統的な和食スタイルで素材本来の味を楽しみたい人。
注意点・合わない可能性:
併設ショップやイベント開催に伴い、営業スケジュールが変動する場合がある。第三者認証(有機JAS認証など)は取得しておらず、不使用としている項目は自己申告に基づく独自基準である。運営母体は特定の自然療法推進団体と関連がある。
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5. MOMINOKI HOUSE
所在地: 明治神宮前
店舗の特徴:
1976年創業以来、自然栽培の野菜や玄米、無添加調味料を使用し、食べる人の心身の健康を作ることを目指す自然食レストラン。「自然よりの贈り物」をコンセプトに、長年にわたり自然食を提供している。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
記載なし(第三者認証は取得していない)
店舗独自のこだわり・情報開示:
契約農家からの無農薬・有機栽培野菜、完全無農薬米を使用している(自己申告に基づく)。砂糖・化学調味料の不使用、遺伝子組み換え食品の排除を明言している。内装に珪藻土やケヤキの木を使用し、建築素材においても環境に配慮している。独自の哲学に基づき、電子レンジを使用せず、調理水・飲料水に電子イオン水を使用している。
この店が向いている人:
マクロビオティックを実践している人(ただし肉魚ありのメニューも選べるため、同行者がいても安心)。原宿エリアで静かでナチュラルな空間を求めている人。
注意点・合わない可能性:
第三者認証(有機JAS認証など)は取得していない。電子イオン水については科学的根拠が限定的であり、店舗独自の哲学に基づく取り組みである。
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6. BROWN RICE
場所|表参道
店舗の特徴:
ニールズヤード レメディーズが提案する「ホールフード」をコンセプトに、日本の四季を感じ、体と心を整える、美味しく美しい和食を提供するヴィーガンレストラン。全てのメニューが動物性食材を含まないヴィーガン料理である。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
記載なし(第三者認証は取得していない)
店舗独自のこだわり・情報開示:
味噌、ぬか漬け、ごま塩などの調味料もすべて手作りしている。生産者との長期的な信頼関係に基づき、適正な価格で継続的に仕入れを行っている。調理くずの堆肥化(一部実施)や、環境共生型の店舗デザインなど、環境負荷の少ない素材や省エネ設備を導入している。
この店が向いている人:
動物性食材を避けたいヴィーガン・ベジタリアンの人。化粧品ブランド(ニールズヤード)の世界観や美意識に共感する人。
注意点・合わない可能性:
肉・魚・卵・乳製品はメニューに含まれない。アレルギー対応については個別に確認が必要。第三者認証(有機JAS認証など)は取得していない。
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7. 銀座KAZAN
場所|銀座
店舗の特徴:
肉を一切扱わず、魚介類と野菜だけで構成する「ヘルシー&サステナブル」な料理を提供するシーフードレストラン。水産貿易商社直営のため、世界中の高品質な水産物を独自のルートで調達している。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
「天使の海老」は、フランスの品質保証規格「QUALICERT」の認定を受けた海老であり、抗生物質不使用で育てられている。
店舗独自のこだわり・情報開示:
扱う水産物の生育環境(汚染のない海域、自然に近い養殖環境)や安全性について、詳細なトレーサビリティ情報を開示している。
この店が向いている人:
お肉が苦手な人、またはペスカタリアン(魚菜食主義者)。銀座でのフォーマルな会食場所を探している人。
注意点・合わない可能性:
メニュー構成上、肉料理の提供はない。QUALICERT認定については認証の有効期限が随時更新される。
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一休で予約する8. ボンベイバザー
場所|代官山
店舗の特徴:
代官山のランドマーク的存在として、安心・安全な食材を使った手作りの味を提供するカフェ・レストラン。有機料理提供飲食店JASの認証を取得しているカフェの一つ。ブルーマーケット(アパレル)に併設された、天井の高い独特な地下空間が特徴。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
有機料理提供飲食店JASの認証に基づき、有機食材の使用と管理を行っている。
店舗独自のこだわり・情報開示:
ファーマーズマーケット等との連携(系列店含む)により、新鮮な食材を使用している。
この店が向いている人:
代官山でのショッピングの合間に、体に優しい食事やスイーツを楽しみたい人。カジュアルな空間で、本格的なオーガニックメニューを味わいたい人。
注意点・合わない可能性:
具体的な有機食材の仕入れ総額割合などの数値は公表されていない。入手できない食材については非有機を許容している可能性がある。営業時間・定休日・予約方法・価格帯については、公式サイト上で十分に明示されていない。
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10. titi cafe
場所| 豊島園
店舗の特徴:
「日常のごはんを大切に」をコンセプトに、築60年の平屋を改装した空間で、野菜ソムリエプロが作る心と体が喜ぶごはんを提供する古民家風カフェ。有機料理提供飲食店JASの認証を取得しており、野菜ソムリエプロが在籍している。練馬区の「おいしく完食協力店」として認定されている。
客観的な認証・基準に基づく取り組み:
有機料理提供飲食店JASの認証基準に準拠した食材管理を行っている。
店舗独自のこだわり・情報開示:
野菜の皮や芯を「ベジブロス(野菜だし)」として活用し、廃棄を削減している。小盛り対応による食べ残し削減にも取り組んでいる。
この店が向いている人:
野菜不足を解消したい、日常使いできるカフェを探している人。昭和レトロな空間で落ち着いて食事をしたい人。
注意点・合わない可能性:
営業日や時間が変更となる場合があるため、SNSや公式サイトでの事前確認が推奨される。入手できない食材については非有機を許容している可能性がある。具体的な有機食材の仕入れ総額割合などの数値は公表されていない。
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補足:比較時に迷いやすいポイント
第三者認証と独自基準の違い
今回紹介した店舗の中には、国の規格や国際認証などの第三者認証を取得している店舗と、独自の基準で運営している店舗が混在しています。第三者認証は、客観的な管理体制の証明にはなりますが、認証を取得していない店舗が「サステナブルでない」というわけではありません。独自の厳しい基準を設けている場合もあれば、認証取得にかかるコストや手続きの負担から取得していない場合もあります。
一方で、自己申告に基づく基準は、第三者による客観的な検証を受けていないという点で、認証取得店とは異なります。これは信頼性の問題というよりも、「客観的な証明の有無」という違いとして理解する必要があります。
認証の種類と意味について
- 有機料理を提供する飲食店等の管理方法(有機料理提供飲食店JAS): 農林水産省が定める国の規格に基づく第三者認証
- リーファース認証: 民間認証機関による認証
- MSC認証: 持続可能な天然漁業の国際認証
- ASC認証: 養殖の環境・社会基準を評価する国際認証
- QUALICERT: フランスの品質保証規格
これらの認証は、それぞれ評価する対象や基準が異なります。
関連記事:有機JASマークって何?農薬との関係をやさしく解説
情報開示の程度について
価格帯、営業時間、予約方法など、基本的な情報が公式サイト上で十分に開示されていない店舗が複数あります。これは、情報管理の方針や更新頻度の違いによるものと考えられますが、利用前に直接問い合わせる必要が生じる可能性があります。
「有機食材の仕入れ総額が95%以上」などの具体的な数値について
多くの店舗で、有機食材の使用割合について具体的な数値の記載は確認できませんでした。有機料理提供飲食店JAS認証取得店については、認証基準に基づいた管理が行われていると推測されますが、具体的な割合は公表されていないケースがほとんどです。
「環境配慮」と「健康主張」の違い
記事内では「サステナブルな取り組み」という表現を使用していますが、これは主に環境配慮(廃棄物削減、持続可能な調達など)を指しています。一部の店舗が独自の哲学として掲げる「健康へのこだわり」(電子イオン水の使用など)は、科学的根拠が限定的な場合もあり、環境配慮とは別の文脈として理解する必要があります。
まとめ
東京都内のオーガニックレストランを選ぶとき、「どの店が正解か」という問いに、一律の答えはありません。
第三者認証を重視する人もいれば、自社農園直営という仕組みに共感する人もいます。ビュッフェ形式で多様な料理を楽しみたい人もいれば、特定の分野(シーフード、ヴィーガンなど)に特化した店を求める人もいます。
この記事で提示した情報は、あくまで判断のための材料です。「今の自分にとって、どの要素が重要か」「どんな体験を求めているか」を、自分自身の価値観で考えてみてください。
今すぐ行動する必要はありません。今回は選ばない、という判断も含めて、あなたの選択は尊重されます。






