お正月は「何もしない」が、いちばんサステナブル|本来の意味を見つめ直す過ごし方

お正月と聞くと、「特別な料理を用意しなきゃ」「何か有意義なことをしなきゃ」と、つい力が入ってしまう人も多いのではないでしょうか。

でも本当に必要なのは、足すことよりも、減らすことかもしれません。

お正月は元々、新しい年の幸福をもたらすために各家庭を訪れる「年神様(としがみさま)」をお迎えし、おもてなしをするための行事です。年神様は、その年の「福」や「徳」を司る神様であり、家族の健康や五穀豊穣(農作物の豊かな実り)を授けてくれると信じられてきました。

今年は、お金も気合も使わず、心と環境にやさしいサステナブルなお正月の過ごし方を考えてみませんか。

なぜお正月は「消費の季節」になったの?

いつから「特別=お金を使う」になった?

福袋、帰省、外食、旅行。年始には、さまざまな消費行動が集中します。「せっかくだから」という言葉を合言葉に、私たちは無意識のうちにお金を使うことを選んでしまいがちです。

せっかく休みだから、あれもこれもしようとする。でも気づけば、お正月の後に疲れが溜まっていることはありませんか?

忙しさを引きずったまま新年を迎えていない?

年末の疲れが取れないまま始まる一年。休むはずの正月が、実は一番疲れる時期になっている――そんな現実に、私たちは気づいているでしょうか。

ここで一度、立ち止まって考えてみたいのです。

「この消費や行動は、本当に私を満たしている?」

サステナブルな視点で考える「お正月の過ごし方」とは?

お正月の本来の意味を考える

お正月の行事の多くは、新しい年の幸福や健康、豊作をもたらすために家々を訪れる「年神様」を迎え、おもてなしをして、その力を授かるという一連のストーリーに基づいています。

たとえば、大掃除(煤払い)は単なる掃除ではなく、年神様を迎えるために家の中を清め、1年間の汚れを払う神聖な儀式です。門松は年神様が迷わずに家へやってくるための案内役や目印。しめ飾りは、その場所が神様を迎えるのにふさわしい神聖な場所であることを示す結界です。

鏡餅はお供え物であると同時に、家を訪れた年神様が滞在中に宿る「依り代(よりしろ)」や「居場所」。丸い形は人の「魂(心臓)」や三種の神器の一つである「鏡」を表しています。

大晦日の年越し蕎麦は、蕎麦の細く長い形状から延命長寿を願い、また切れやすい性質から1年の厄災を断ち切るという意味が込められています。除夜の鐘は、深夜零時をまたいで108回突くことで、人間に108あるとされる煩悩を祓い、清らかな心で新年を迎えるための儀式です。

元旦の初日の出は、年神様が日の出とともに現れるという説があり、神様の降臨を拝み、1年の幸せを祈るために行われます。おせち料理は元々「御節供(おせちく)」という神様へのお供え物で、神様と一緒に食事(神人共食)をすることで恩恵をいただき、家族の繁栄を願う意味があります。また、正月の三が日は「かまどの神様」を休めるために作り置きをするという知恵も含まれています。

お雑煮は年神様に供えた餅を下げて頂く料理で、食べることで神様からの「新しい年の力(年魂)」を頂戴するという意味があります。お年玉も、現代はお金を渡しますが、元々は年神様の魂が宿った鏡餅を家族に分け与えた「御年魂(おとしだま)」が由来です。

お正月行事は、一見バラバラに見えますが、すべては「神様をきちんとお迎えし、もてなし、そのお下がりをいただくことで新しい生命力を得る」という一つの物語でつながっています。

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幸福・健康・豊作を願う――神を信じなくてもできること

神様を信じていなくても、お正月を有意義に過ごすことはできます。

家族や周りの人の幸福を願う。世界中の人の幸福を願う。健康に過ごせるように、健康的な生活にリセットする。地球温暖化や気候変動について考えて、これからも豊作になるような地球を目指す。そして、それが実現できるように、今年の目標を決める。

サステナブルなお正月とは、「消費しない・比べない・急がない」という選択を通じて、自分と環境の両方を整える時間のことです。新しい年の始まりを、頑張るスタートラインではなく、心と体を整える入口として捉え直すこと。それが、本当の意味での豊かさにつながるのではないでしょうか。

今日からできる、シンプルでやさしいお正月アイデア

家にあるもので整えるお正月

新しい飾りを買わなくても、家にある布や植物、器を活用すれば、十分に新年らしい空間をつくることができます。

白い布を敷いて、庭の松や南天を生ける。ガラスの器に水を張って、みかんを浮かべる。それだけで、清らかで凛とした雰囲気が生まれます。

この時間は、「あるものを見る目」を養う時間でもあります。私たちはすでに、たくさんのものに囲まれているのです。

食べすぎない・買いすぎないという選択

おせちを完璧に用意しなくていい。少量を味わうことで、体も心も軽くなります。

三が日に食べきれる分だけを用意して、一品一品を丁寧に味わう。それが、本来のおせちの意味にも近いのではないでしょうか。

外に出ない贅沢を楽しむ

近所を散歩する。本を読む。音楽を聴く。日記を書く。エネルギーを使わない楽しみは、実はたくさんあります。

遠くへ出かけなくても、自分の内側を見つめる時間こそが、新しい一年を生きるための土台になるのです。

深く考えると見えてくる「本当の豊かさ」

幸せとは?

安心して住める場所。体に必要な栄養を与えてくれる食事。支え合えるコミュニティー。これさえあれば、ある程度の幸せは手に入れられるはずです。

でも、もっとお金や資産があったら、もっと幸せになるんじゃないかと、人間は自然と感じてしまいます。

しかし、お金が増えると、たくさんの物を集めてしまう。必要ないのに、車を何台も買ったり、クローゼットに収まらないくらいの服を買い集めたり。環境にも負担がかかる生活になってしまいます。

物を集めて、幸せになるか? と考えると、あまり幸福度につながらない気がするのです。

健康とは?

医療が進んで、健康な状態を保てるようになりました。80歳、90歳まで健康に生きられるようになってきた一方で、コロナなどの感染症がまた現れる可能性もあります。

感染症や災害など、問題が起こっても安心して暮らせる社会づくり。身体的な健康だけでなく、精神的に健全な環境も大切にしたい。

新しい豊かさとは、物やお金の量ではなく、自分と周りの人、そして環境が健やかであること。そのバランスを大切にする生き方なのではないでしょうか。

まとめ|何もしないお正月も、立派なサステナブルな選択

お正月は「頑張るスタート」ではなく「整える入口」です。

消費しない・比べない・急がない。それは、自分にも環境にもやさしい選択です。

今年のお正月、あなたは「何を足す」より「何を手放したい」ですか?

その問いに向き合うことが、新しい一年を心地よく生きるための第一歩になるはずです。

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