なぜ「環境に優しい洗剤」が注目されているの?成分から選び方までやさしく解説

最近、スーパーやドラッグストアで「環境にやさしい」「エコ洗剤」といった表示を目にする機会が増えてきました。私自身も数年前から気になっていましたが、「本当に汚れは落ちるの?」「何がどう違うの?」と疑問に思っていた一人です。

でも、調べてみると環境に優しい洗剤が注目される理由には、私たちの健康や地球の未来に関わる大切な背景があることがわかりました。今回は、環境に優しい洗剤とは何なのか、どんな成分が使われているのか、そして実際にどう選べばいいのかまで、わかりやすく解説していきます。

なぜ今「環境に優しい洗剤」が必要なの?

環境にやさしい洗剤が必要な主な理由は、従来の洗剤が環境(特に水系)と人間の健康の両方に、さまざまな悪影響を及ぼすからです。

1. 環境への悪影響を減らすため

従来の洗剤に含まれる多くの合成化学物質は、排水を通じて環境中に放出され、生態系に害を与えています。

富栄養化の防止
従来の洗剤に含まれるリン酸塩は、水域で富栄養化を引き起こします。これにより水中の酸素が欠乏し、「デッドゾーン」が発生して魚や水生生物に害を与えてしまいます。環境にやさしい洗剤は、通常リン酸塩を含んでいません。

水生生物への毒性を軽減
洗剤の主成分である界面活性剤や蛍光増白剤、塩素系漂白剤などは、水生生物の保護粘液層を破壊したり、毒性を示したり、ホルモンかく乱物質として作用したりします。

廃棄物の削減と輸送の効率化
従来の液体洗剤の多くはプラスチック容器で販売されますが、その多くはリサイクルされず、埋立地や海洋に流れ着き、深刻なプラスチック廃棄物の問題を引き起こしています。環境にやさしい洗剤は、リサイクル可能な容器、または軽量でかさばらない濃縮タイプやシート状にして輸送時の排出ガスを削減します。

生分解性の高さ
環境にやさしい洗剤は、環境中でより速く自然に分解される植物由来の成分を使用することで、水路への汚染残留物を減らします。

2. 人間の健康リスクを減らすため

従来の洗剤に含まれる化学物質は、衣類に残留したり、蒸発したりすることで、皮膚や呼吸器系を通じて人体に影響を与える可能性があります。

肌への刺激とアレルギーの回避
合成香料や染料、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウムなどの成分は、敏感肌やアレルギー、湿疹を持つ人に皮膚の炎症や刺激を引き起こす可能性があります。

有害化学物質への暴露の低減
従来の洗剤には、発がん性物質とされる1,4-ジオキサンや、ホルモンかく乱物質と関連付けられるフタル酸エステル類、ノニルフェノールエトキシレート(NPEs)、そして防腐剤として使われるパラベンやホルムアルデヒドなどの有害な化学物質が含まれている場合があります。

より安全な選択肢
環境にやさしい洗剤は、これらの有害化学物質を含まないように設計されており、植物由来の成分や天然の酵素を使用して、健康へのリスクを最小限に抑えます。

3. 持続可能な洗濯を可能にするため

低温洗浄による省エネ
環境にやさしい洗剤の多くは、低温(冷水)でも効果的に作用する酵素などの成分を含んでいるため、水を温めるためのエネルギー消費を削減し、二酸化炭素排出量を減らすことができます。

透明性の確保
環境にやさしい製品は、成分について詳細な情報を提供し、EPA Safer ChoiceやEWG Verifiedなどの第三者認証ラベルを通じて、消費者が安全で環境に配慮した選択ができるよう支援しています。

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環境に優しい洗剤とは?どんな成分が使われているの?

環境に優しい洗剤とは、洗浄力を維持しつつ、環境と人間の健康への悪影響を最小限に抑えるように設計・製造された製品全般を指します。従来の洗剤と異なり、原材料の調達からパッケージングに至るまで、持続可能性を優先しています。

主な特徴

生分解性成分の使用
水路の汚染や水生生物への害を避けるため、環境中でより早く自然に分解される成分を含んでいます。

有害化学物質の不使用
リン酸塩、合成香料、染料、塩素系漂白剤など、皮膚刺激やアレルギー、健康被害、水質汚染を引き起こす可能性のある有害な化学物質を避けています。

植物由来の原料
石油由来の合成成分ではなく、植物(ヤシ、パーム、トウモロコシなど)に由来する成分や再生可能な資源を主に利用しています。

パッケージングの持続可能性
プラスチック廃棄物を削減するため、リサイクル可能な素材、コンポスト(堆肥化)可能な素材、詰め替えオプション、または軽量な濃縮タイプやシート状の製品を採用しています。

情報開示の透明性
多くのエコ製品メーカーは、成分について詳細な情報を提供し、消費者が健康上の懸念や環境価値に基づいて情報に基づいた意思決定を行えるようにしています。

認証の取得
製品が厳格な環境および倫理基準を満たしていることを示すため、「EPA Safer Choice」や「EWG Verified」、「Leaping Bunny(動物実験なし)」などの第三者認証ラベルを取得していることが多いです。

環境に優しい洗剤に使われる主な成分

界面活性剤(汚れを落とす主成分)
植物由来界面活性剤は、石油由来の成分よりも再生可能で生分解性が高く、環境への負荷が少ないです。ヤシ油やトウモロコシなどから得られる成分が使われます。例えば、デシルグルコシドやラウリルグルコシドなどがあります。また、ソープナッツの乾燥した殻に含まれる天然の界面活性剤であるサポニンも使われます。

洗浄力強化剤(ビルダー/助剤)
酵素は天然のタンパク質で、油、草、血液などの特定の汚れを分解します。低温(冷水)での洗浄効果を高めるため、エネルギー消費を抑えられます。クエン酸は天然の水軟化剤として機能し、洗剤の働きを助けるほか、穏やかな漂白代替品となります。炭酸水素ナトリウム(重曹)は天然の消臭剤および水軟化剤として使用され、すべての繊維に安全です。

香料
合成香料の代わりに、エッセンシャルオイルで天然の心地よい香りを加えます。また、香料に敏感な人やアレルギーを持つ人向けに、無香料タイプも提供されています。

環境に優しい洗剤が避けるべき有害成分

従来の洗剤に含まれ、環境や健康に悪影響を及ぼすため避けるべき成分があります。

リン酸塩は水域の富栄養化を引き起こし、水中の酸素を奪い水生生物を死滅させます。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウムは皮膚、目、肺を刺激する可能性があり、ラウレス硫酸ナトリウムは製造過程で1,4-ジオキサン(発がん性物質)を混入する可能性があります。ノニルフェノールエトキシレート(NPEs)は内分泌かく乱物質であり、水生生物に対して毒性が高いです。

また、1,4-ジオキサンは製造過程の副産物で発がん性物質に分類され、ホルムアルデヒドは防腐剤として使用される既知の発がん性物質です。フタル酸エステル類は合成香料の成分に含まれ、ホルモンかく乱物質に関連付けられています。

さらに、合成香料・染料はアレルギーや皮膚炎、呼吸器系の問題を引き起こす可能性があり、蛍光増白剤は汚れを落とさず服を白く見せるための合成化学物質で、繊維に残留し皮膚刺激や水生生物への毒性があります。

参照:Best Non-Toxic Laundry Detergents: Safe for You & the Planet – Let’s Go Green
Harmful Chemicals in Laundry Detergent and Their Impact on Your Hormones
Eco-Friendly Laundry Guide – How To Choose A Environmentally Friendly Laundry Detergent?
Is Your Laundry Detergent Toxic? 6 Ingredients You Need to Avoid

どう選べばいい?環境にも肌にもやさしい洗剤の見分け方

環境にも肌にも優しい洗剤を選ぶことは、ご家庭の健康と地球環境の持続可能性の両方を守るために非常に重要です。ここでは、具体的な見分け方を3つの側面から解説します。

成分表示の読み方:避けたい成分とチェックすべきポイント

環境と肌に優しい洗剤を選ぶ際の最も重要なステップは、成分表を確認することです。

避けたい有害な成分

  • リン酸塩 (Phosphates)
  • 合成香料 (Synthetic Fragrances)
  • フタル酸エステル類 (Phthalates)
  • 1,4-ジオキサン (1,4-Dioxane)
  • 界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム)
  • 非イオン性界面活性剤
  • 塩素系漂白剤 (Chlorine Bleach)
  • 蛍光増白剤 (Optical Brighteners)
  • ホルムアルデヒド (Formaldehyde)
  • 合成保存料 (Synthetic Preservatives)
  • PFAS

チェックすべき安全な成分

植物由来界面活性剤(ココナッツ油、パーム油、オリーブ油、トウモロコシなどから抽出)は再生可能であり、生分解性が高いです。酵素はタンパク質、デンプン、脂肪などの特定の汚れを分子レベルで分解する天然のタンパク質で、冷水でも効果的に機能します。クエン酸は天然の水軟化剤として作用し、重曹は天然の消臭剤および水軟化剤です。

認証ラベルを活用する

成分を一つ一つ調べる代わりに、信頼できる第三者認証ラベルを利用するのが最も確実な方法です。

EPA Safer Choiceは、米国環境保護庁のラベルで、製品に含まれるすべての化学物質が人体や環境にとって最も安全な成分であることを厳密な科学的プロセスで評価し、高い性能基準を満たしている製品に付与されます。

EWG Verified / Aランクは、非営利団体EWGの評価システムで、Aランクの製品は健康または環境に対する既知または疑われるハザードが少ない/ないことを示します。

MADE SAFEは有害な汚染化学物質を使用していない製品に与えられる認証で、Leaping Bunnyは動物実験を行っていないことを証明する倫理的な認証です。

詰め替え・リフィル製品のメリットとサステナビリティ

環境に優しい洗剤は、成分だけでなく、容器の廃棄物と輸送時の環境負荷を減らすことにも重点を置いています。

プラスチック廃棄物の削減

従来の液体洗剤の多くは、リサイクルされない厚手のプラスチック容器で販売されます。リフィル(詰め替え)製品や、パウダー、タブレット、シート状の製品は、紙や段ボールなどのリサイクル可能な、または堆肥化可能なパッケージを使用し、プラスチックの使用を大幅に削減します。

輸送時の環境負荷の軽減

液体洗剤は最大90%が水分であり、重くかさばります。濃縮された液体、パウダー、シートは非常に軽量かつコンパクトなため、輸送時の燃料消費とGHG排出量を大幅に減らすことができます。

コスト効率とゼロ・ウェイストの推進

濃縮された洗剤は使用量が少なくて済むため、長期的にはコスト効率が良くなります。また、ユーザーが自分の容器を持参して洗剤を量り売りで購入できる「リフィラリー」を利用することで、使い捨てプラスチックを排除できます。

洗浄力と環境配慮のバランスをとる考え方

環境にやさしい洗剤が従来の製品に比べて洗浄力が劣るのではないかという懸念がありますが、必ずしもそうではありません。エコ洗剤の多くは、有害な化学物質を使わずに高い洗浄力を発揮するために設計されています。

洗剤の性能を最大限に引き出す方法

低温(冷水)洗浄を活用しましょう。洗濯に使われるエネルギーの大部分は水を温めるために使われます。多くのエコ洗剤は酵素などの成分を含むことで、冷水でも効果的に汚れを分解できるように設計されており、エネルギー消費と炭素排出量を削減できます。

適量の使用を徹底することも大切です。洗剤の過剰使用は衣類に残留物を残し、皮膚刺激の原因となり、環境への化学物質排出を増やすだけです。洗剤メーカーの推奨量を守るか、少なめに使用し、泡立ちが多すぎないか確認することが推奨されます。

頑固なシミやひどい汚れには、洗剤の力を借りる前に、重曹や白酢などの天然のブースターを使用して事前に処理することが有効です。白酢は柔軟剤の代わりに水を柔らかくする役割も果たします。

ドライヤーシートや合成柔軟剤は、多くの場合、合成香料やQuats(皮膚や呼吸器を刺激する可能性のある化学物質)を含んでいます。代わりに、ウールドライヤーボールにエッセンシャルオイルを数滴垂らして使うことで、静電気を減らし、自然な香りをつけ、乾燥時間を短縮できます。

環境負荷に関する考え方

ある研究では、低温で高い洗浄品質を維持するために洗剤濃度を上げた場合、削減できたはずの電気使用による環境負荷よりも、増量した洗剤由来の環境負荷の方が大きくなることが示されました。このため、エネルギーを節約するために洗剤の量を増やして洗浄力を補うのではなく、有害性の低い成分で製造された洗剤に切り替え、エネルギー効率の高い洗濯機を使用する方が、環境への全体的な影響をより効果的に減らすことができます。

環境にやさしい洗剤・おすすめ商品

ここからは、私が調べた中で特に注目したい環境にやさしい洗剤をご紹介します。

ecostore ランドリーリキッド <無香料> 500mL

おすすめポイント
・植物・ミネラル由来成分でやさしく洗う
・香料・着色料不使用、敏感肌にも安心
・環境配慮のバイオマスプラスチック容器採用

エコストアのランドリーリキッド<無香料>は、植物・ミネラル由来成分で衣類をやさしく洗い上げる濃縮タイプの液体洗剤です。香料や着色料を使わず、赤ちゃんの肌着や敏感肌の方にもおすすめ。オーストラリア・ニュージーランドの喘息協会の認証を取得し、安心の品質です。環境に配慮したバイオマスプラスチック容器を採用し、人にも地球にもやさしい洗濯を叶えます。

自然洗剤 birds(バード)ボトル 1,000mL

おすすめポイント
・完全中性で手肌と衣類にやさしい
・1本で衣・食・住すべてに使える万能洗剤
・高い生分解性で自然に還る環境設計

自然洗剤 birds(バード)は、衣類・食器・住まいまで、これ1本で洗える万能洗剤です。完全中性で肌にやさしく、ウールやシルクなどのデリケート衣類にも安心。柔軟剤なしでもふっくら仕上がります。原料はすべて植物や食品添加物由来。使用後は水と炭酸ガスに分解され、環境に負担をかけません。人と自然が心地よく循環する、やさしい洗剤です。

スローヴィレッジ All things in Nature(オールシングス・イン・ネイチャー)

おすすめポイント
・すすぎ0回&電力0洗濯で水・電気を節約
・100%植物由来成分で高い生分解性
・RSPO認証パーム油・バイオPETボトル採用

すすぎ0回でしっかり洗える、地球にやさしい洗濯用洗剤です。2023年の改良で「電力0洗濯」も可能に。災害時やアウトドアでも活躍します。成分はすべて植物由来で、排水後は水に還る高い生分解性。RSPO認証のパーム油やバイオPETボトルを採用し、環境負荷を軽減します。やさしさと清潔さを両立した、持続可能な暮らしの味方です。

All things in Nature(オールシングス・イン・ネイチャー)

ethical bamboo Bamboo Clear(バンブークリア)

おすすめポイント
・天然成分100%、竹炭・竹炭灰・湧水のみでつくられた無添加洗剤
・すすぎ1回でOK、水と電気を節約
・放置竹林を活用し、地域循環型経済に貢献

Bamboo Clear(バンブークリア)は、竹炭・竹炭灰・湧水の3つだけで作られた、天然成分100%の無添加洗剤です。界面活性剤や香料を一切使わず、敏感肌や赤ちゃんの衣類にも安心。泡立たずすすぎ1回でOKだから、水や電気の節約にもつながります。放置竹林を再利用した環境配慮型の製品で、「ソーシャルプロダクツ賞」など多くの賞を受賞しています。

竹の洗濯洗剤バンブークリア
竹の洗濯洗剤バンブークリア

ソネット(Sonett)ナチュラルウォッシュリキッド

おすすめポイント
・植物とミネラル成分だけで作られたやさしい洗剤
・100%生分解性で、水にも自然にもやさしい
・有機ラベンダーの香り or 無香料タイプから選べる

ソネットのナチュラルウォッシュリキッドは、植物とミネラルだけでつくられた液体洗剤。赤ちゃんの肌着や敏感肌の方にも安心で、柔軟剤なしでもふんわり仕上がります。排水後はすばやく自然に還る100%生分解性。水力発電などのグリーン電力を使用し、障がいのある人々と協働するなど、環境にも社会にもやさしいエシカルなブランドです。

シャボン玉 スノール

おすすめポイント
・植物性油脂100%の無添加石けん
・日本アトピー協会推薦品で肌にやさしい
・高い生分解性で環境にもやさしい

シャボン玉スノールは、植物性油脂のみを使用した無添加の液体石けんです。蛍光剤や香料、合成界面活性剤を一切使わず、釜炊き製法で丁寧に仕上げています。肌への刺激が少なく、敏感肌や赤ちゃんの衣類にも安心です。柔軟剤なしでもふんわり仕上がり、水の汚れを生まない高い生分解性で、環境にもやさしい洗濯を叶えます。

メナージュ 洗(SEN)

おすすめポイント
・ホタテ貝殻を再利用したサステナブルな洗浄剤
・強アルカリ性で雑菌・ニオイをすっきり分解
・肌に触れると中性に戻る独自製法で安心

ホタテの貝殻から生まれた、自然派の洗浄・除菌・消臭パウダーです。水に溶かすとpH12以上の強アルカリ性になり、衣類の雑菌やニオイを根元から分解。独自製法により肌に触れると中性に戻るため、家族みんなに安心です。産業廃棄物だったホタテ貝殻を再利用し、環境にもやさしいサステナブルな選択を叶えます。毎日の洗濯にプラスするだけで、清潔で心地よい暮らしへ。

メナージュ 洗(SEN)
メナージュ 洗(SEN)詰め替え用

「やさしい選択」で暮らしを変える

環境にやさしい洗剤を選ぶことは、決して難しいことではありません。大切なのは「完璧より継続」です。

すべてを一度に変える必要はありません。まずは今使っている洗剤を使い切ったら、次は環境にやさしいものを試してみる。それだけで十分です。私自身も、最初は「本当に汚れが落ちるのかな」と不安でしたが、実際に使ってみると従来の洗剤と変わらない洗浄力に驚きました。

環境にやさしい選択をすることは、自分自身の健康を守り、家族を守り、そして地球の未来を守ることにつながります。新しい豊かさとは、「自分にも地球にもやさしい暮らし」を実現することではないでしょうか。

毎日の洗濯という小さな選択が、大きな変化を生み出します。あなたも今日から、やさしい選択を始めてみませんか?

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