サステナブルな寝具の選び方|布団・シーツ・枕で見るところは違う

引っ越しの日に間に合うよう、寝具を急いで買わなければなりませんでした。「オーガニック」や「天然素材」と書かれたものを優先して探しましたが、値段が高く、手が出せません。引っ越しにもお金がかかるので、結局は値段で選びました。

いまの寝具も長く使えているので、それでいいと思っています。ただ、次は環境への負担も考えて選ぶつもりです。そこで、長く使えて負担の少ない寝具の見分け方を、先に調べることにしました。

「オーガニック」と書かれた寝具を選べば、それで環境への負担は減る。調べてみると、寝具に付くラベルはどれも、何年使えるかまでは見ていませんでした。

寝具を選ぶときに見るところは4つあり、「中身」と「肌に触れる布」でも違います。紹介するのは、直す・洗う・借りるためのサービスのうち、買い替えを増やさない使い方ができるものだけです。確認できたことも、確認できなかったことも書きました。

「オーガニック」と書かれた寝具を選べば、それでいいのか

ラベルが保証しているのは、素材を作って加工するところまでです。その寝具を何年使えるか、使い終えたあとどうなるかは、寝具でよく見るラベルは、どれも審査していません。

たとえば GOTS(オーガニック繊維の国際的な認証)は、「有機農業が終わったところから始まる」と自ら書いています。対象は繊維の加工から製造・取引まで。公式ページに、耐久性や使用後の回収は出てきません(GOTS)。

羽毛の RDS(動物福祉の認証)は、さらにはっきりしています。規格書に、リサイクルした羽毛は認証の対象外と書かれています(Textile Exchange: 2019)。

長く使い、直し、もう一度使うことは、ラベルの外にあります。

それでも、ラベルには役目があります。原料の育て方、加工のときの環境の基準、働く人の条件、鳥の扱い。どれも買う側からは見えないところで、ラベルはそこを見ています。

何年使うかは、買う側が確かめるところです。

寝具は「中身」と「肌に触れる布」で、見るところが違う

布団・枕・マットレスのような中身は、何年使えて、直せるかで選びます。シーツやカバーのような布は、肌に触れるところに何が使われているかと、洗って使い続けられるかで選びます。ラベルを見るのは、そのあとです。

中身と布では、付き合い方が違います。中身は何年も使い、へたったら直すものです。布は肌に触れ、何度も洗うものです。

品目ごとに、先に見るところを表にしました。

品目先に見るところ直す・手放す先
羽毛の掛け布団縫い付けの表示(中わたの組成)リフォーム/自治体の羽毛の回収(横浜市など)
綿の布団縫い付けの表示(中わたの組成)打ち直し
羊毛・ポリエステルの布団縫い付けの表示・洗えるか共通の直し方の目安は見当たらない
枕中身(表示の義務がないので店に聞く)製品による
マットレス中の構造(ばね・ウレタン・ラテックス)粗大ごみ(回収はメーカーに聞く)
シーツ・カバー肌に触れる布の化学物質・洗って使い続けられるか製品による

いま使っている寝具を手放す前に、まず縫い付けの表示を見てください。中わたが何でできているかで、直せるかどうかが分かれます。

品目ごとの商品は、布団・マットレス・掛け布団カバーの記事にまとめています。

中身は「何年使えて、直せるか」で選ぶ

中身の寝具は、素材によって直し方がまったく違います。羽毛と綿には直す方法と受ける店がありますが、ほかの素材には共通の目安が見当たりませんでした。

羽毛は5〜6年ごとに、洗って詰め直せる

羽毛の布団は、中の羽毛を洗い、必要なら羽毛を足して、新しい生地に詰め直せます。これをリフォームと呼びます。

日本羽毛製品協同組合は、羽毛の性質を保つために、5〜6年を目安にリフォームすることを勧めています。費用は仕上げ方で変わり、2〜6万円程度、日数は10日から20日です(日本羽毛製品協同組合、2026-10-13 時点)。

同じ組合は「リフォームラベル」も出しています。組合が設備と方法を立ち入って調べ、認めた工場で直したものにだけ付くラベルです。頼む先を選ぶときの手がかりになります。

羽毛は、生地が傷んでも中身を使い続けられます。横浜市は粗大ごみの羽毛布団について、「側生地(がわきじ)が傷んでも中の羽毛は繰り返し使えます」と書いています(横浜市)。

綿は打ち直せる。ほかの素材には共通の目安が見当たらない

綿の布団には、打ち直しという直し方があります。固くなった綿を機械でほぐし、もう一度布団の形に仕立てます。打ち直しを受けている布団店があります(つくばコットン ふとんのマスダ)。

羊毛・ポリエステル・ウレタン・ラテックスについては、業界団体や公的機関が示す共通の年数が、今回の調べでは見つかりませんでした。販売する側の「◯年もつ」という説明はありますが、同じ条件で比べた数字ではありません。

これらの素材の寝具を選ぶときは、買う前に店へ聞いてください。中材を交換できるか、修理を受けているか。答えられる店かどうかが、長く使えるかの分かれ目です。

家で洗えることと、長く使えることは、両立しにくい

羽毛の布団は、家で洗えるものが限られます。日本ふとん協会は、家庭での水洗いを「ウォッシャブルと表示してある薄いもの以外はお避けください」としています(日本ふとん協会)。

専門の店に出す場合も、回数を重ねると傷みます。同じ協会は、度重なるクリーニングは生地を傷め、羽毛の働きを落としやすいとして、「2~3回が目安」と書いています。

洗えば清潔になりますが、洗いすぎれば傷みます。長く使うなら、専門の店に出す回数は絞ることになります。

丸洗いを頼むなら、羽毛を扱えるか、どう洗うかを書いている店を選んでください。たとえばしももとクリーニングは、合成洗剤を使わず石けんで1枚ずつ洗い、綴じ目をテープで接着した羽毛布団は受けないと書いています。店は年に1度の丸洗いを勧めていますが、協会の目安とあわせて回数を決めてください。

枕には、中身を書く義務がない

布団には、中わたの組成を表示する決まりがあります。家庭用品品質表示法(家庭で使う品物に、品質の表示を義務づける法律)で、何の繊維が何%入っているかを書くことになっています(消費者庁)。

ところが、枕はこの法律の対象外です。消費者庁の対象外品目の一覧に、「枕」が挙がっています(消費者庁)。

枕は、表示を見ても中身が分からないことがあります。直せるか、洗えるかを知るには、店かメーカーに聞くしかありません。

肌に触れる布は、素材の名前より「何が使われているか」で選ぶ

シーツやカバーは、綿なら環境に良く、化繊なら悪い、とは言い切れません。洗ったときに出る繊維くずの量は、素材だけでは決まらず、布の作り方でも変わっていました。

綿と羊毛の布から出る繊維くずの量は、ポリエステルの布とほぼ同じでした。衣料用の布37種類を家庭の洗濯と同じ条件で洗い、繊維くずの重さを量った研究の結果です。量を左右していたのは素材の種類だけでなく、布の加工のしかたや重さ・密度でした(Vassilenko et al.: 2021)。

天然の繊維からも、繊維くずは出ます。イギリスの家庭の実際の洗濯物を調べた研究では、出てきた繊維くずの平均96%が、綿・羊毛・ビスコースなどの天然とセルロース系の繊維でした(Lant et al.: 2020)。

どちらも服の研究です。シーツや毛布、布団を対象にした研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。

では、布は何で選べばいいのでしょうか。

肌に触れる布で、ラベルが役に立つのは化学物質です。OEKO-TEX STANDARD 100(繊維製品の有害物質の試験)は、ベッドリネンを「直接肌に触れる製品」の区分に入れて試験しています(OEKO-TEX)。

新しく買う前に考えたいのは、いま持っている布を洗って使い続けられるかです。シーツやカバーが何年もつかの目安は、見つかりませんでした。

ラベルは何を保証して、何を保証していないか

寝具でよく見る4つのラベルは、それぞれ見ているところが違います。どれも、寝具を何年使えるかと、使い終えたあとのことは見ていません。

ラベル見ているもの見ていないもの
GOTSオーガニック繊維の加工・製造・取引。環境の基準・人権と労働の条件。栽培は別のオーガニック認証が前提(GOTS)何年使えるか・使用後の回収
OEKO-TEX STANDARD 1001,000を超える有害物質のリストによる試験。ベッドリネンは肌に触れる製品の区分(OEKO-TEX)原料の栽培・労働・耐久性・回収
RDS羽毛をとる鳥の扱い。強制給餌と、生きた鳥からの採取を禁止。農場から製品までの追跡(Textile Exchange: 2019)羽毛の耐久性・リサイクルした羽毛(対象外)
GOLSオーガニック農園の天然ゴムを使ったラテックス。有害物質の上限・放散(ガス)の試験・ポリマーと充填材の割合(Control Union)マットレス全体の耐久性・回収

ラベルが見ているところにも、抜けはあります。GOTS は2020年、インドで原綿の偽の取引証明書が作られ、約2万トンの偽の素材が出回っていたことを自ら公表しました。11社の認証を禁止しています(GOTS: 2020)。

もう一つは、表示の付け方です。RDS は、製品の羽毛がすべて認証済みのときにだけ、その製品に RDS の表示を付けられます。一方で、RDS を使うと公に約束した会社は、製品を特定しない宣伝はできます(Textile Exchange: 2019)。

会社が RDS に取り組んでいることと、目の前の羽毛布団が認証済みであることは、別です。製品のタグに表示があるかを確かめてください。OEKO-TEX は、ラベルの番号を公式サイトのラベルチェックに入れると、認証が有効かを確かめられます(OEKO-TEX)。

手放すとき、寝具はどこへ行くのか

東京23区では、寝具を粗大ごみに出すと、砕かれて燃やされるか埋められます。回収して素材に戻す仕組みが確かめられたのは、羽毛でした。

粗大ごみに出すと、砕いて燃やされる

東京23区では、粗大ごみを15cm以下に砕き、鉄を取り出してから、燃やせるものは清掃工場で燃やします。燃やすのに向かないものは埋め立てます(東京二十三区清掃一部事務組合)。布団を粗大ごみに出せば、この流れに入ります。

寝具のリサイクル率は「わずか2%」という数字が、いくつかの記事で引かれています。元をたどった記事では、調べた主体も年も書かれていませんでした(事業構想オンライン: 2022)。この数字は使いません。

羽毛は、回収されて羽毛に戻る

羽毛布団には、回収して羽毛に戻す仕組みがあります。横浜市は粗大ごみの羽毛布団を集め、羽毛を洗って乾かし、新しい羽毛布団などに使っています。資源にした量は令和6年度が11t、令和7年度が9tです(横浜市)。

回収して戻した羽毛には、RDS の表示が付きません。RDS は、リサイクルした羽毛を認証の対象外にしているからです(Textile Exchange: 2019)。

羽毛を手放すときは、住んでいる自治体や、羽毛布団を買った店に、回収をしているか聞いてください。

使う期間が短いなら、持たないこともできる

来客や帰省のときにしか使わない布団は、持たずに借りる方法もあります。ふとん工場サカイは、7泊までの貸し出しで、来客や帰省のときの利用を想定しています。

数年で引っ越す一人暮らしなら、布団の月額レンタルもあります。新生活楽天は、年2回の交換と、使っていない布団の保管が付いています。ただ、どちらのサービスも、返したり交換したりした布団をそのあとどうしているかは、公式ページに書かれていません(2026-10-13 時点)。

借りるときも、手元に置く布団が増えない使い方かどうかが分かれ目です。

さいごに

寝具を選ぶときに見るのは、次の4つです。

  • 中身は、何年使えて、直せるか
  • 肌に触れる布は、何が使われていて、洗って使い続けられるか
  • ラベルは、何を見ていないか
  • 手放すときは、行き先があるか

このうちラベルが答えてくれるのは、布に何が使われているかの一部だけです。残りは、買う側が確かめるしかありません。

今日できるのは、いま使っている布団の縫い付けの表示を見ることです。中わたが羽毛なら、次は買い替えではなく、リフォームという選択肢があります。

次に読むなら、いま替えようとしている品目の記事を。布団・マットレス・掛け布団カバーの商品は、それぞれの記事にまとめています。

出典

事業構想オンライン(2022)「年間1億枚が廃棄 『寝具』の回収・再生で循環型社会をつくる」月刊「事業構想」2022年11月号

消費者庁「布団(ふとん)」(家庭用品品質表示法・繊維製品品質表示規程)

消費者庁「家庭用品品質表示法の対象外品目」

つくばコットン ふとんのマスダ「打ち直し」

東京二十三区清掃一部事務組合「粗大ごみの処理」

日本羽毛製品協同組合「リフォームラベル」

日本ふとん協会「羽毛・羽根 素材の特徴」

横浜市「羽毛布団(粗大ごみ)のリサイクル」

Control Union. “GOLS – Global Organic Latex Standard“

GOTS (Global Organic Textile Standard). “GOTS“

GOTS (2020). “GOTS detects evidence of organic cotton fraud in India“

Lant, N. J. et al. (2020). “Microfiber release from real soiled consumer laundry and the impact of fabric care products and washing conditions“. PLOS ONE, 15(6): e0233332

OEKO-TEX. “OEKO-TEX® STANDARD 100“

Textile Exchange (2019). “Responsible Down Standard 3.0” (RDS-101-V3.0)

Vassilenko, E. et al. (2021). “Domestic laundry and microfiber pollution: Exploring fiber shedding from consumer apparel textiles“. PLOS ONE, 16(7): e0250346

Mariko
Mariko

小林真梨子|日本在住のエコライター。2018年よりサステナブルな暮らしを実践。パリ第四大学(ソルボンヌ)で分析・言語哲学の修士を取得。哲学的視点から、倫理的消費・エコライフスタイルをリサーチベースで発信する独立メディア「エコ哲学」を運営。