成功は心地良いが、失敗は成長させる

2月は日本の学生にとって試験に追われる月。学生時代を思い出すと、試験前にはいつもストレスを感じていた。良い成績を取らなきゃいけないというプレッシャーから、試験準備のために何時間も勉強した。

多くの試験に合格できたが、かなりの数の失敗も経験した。何時間も勉強した後に失敗すると、がっかりする。試験に落ちると、自分自身がダメな人間のように感じるから不思議だ。何事もうまくできないような気がする。同じことに成功した他の人より劣っているように感じる。

社会では成功すると盛大に祝うが、失敗を祝わない。試験に合格したり、プロジェクトが成功したりすると気分が良い。成功を経験すると、自尊心が高まり、前進しているように感じる。

しかし、失敗は人生の一部であり、実際とても重要な部分だ。失敗するということは、自分のレベルより高いレベルに挑戦していることを意味する。より高いところを目指しているから、失敗することは成功することより重要だ。それは私たちが成長していることを意味する。

世界はたくさんの失敗からできている

ニュースでは、いろいろな人の成功について語られる。成功は祝福され、失敗は避けるべき悪いものとして扱われる。しかし実際は、毎日失敗をしながら新しいものを生み出す人がいるから、今の世界が存在する。

世界に変化をもたらそうとするとき、私たちは成功するより多く失敗を経験する。失敗し続けながら、いつか何かが変わることを願って挑戦し続ける。ここでは失敗は悪いことではなく、前進していることを意味する。

だから、今回受験や就活に失敗したとしても落ち込まないでほしい。失敗するから前に進めることもある。

失敗したときにすべきこと

失敗したとき私たちが前進していることは理解できるが、失敗するのは気分の良いものではない。学校でも仕事でも、失敗は一般的に悪いことだと捉えられている。そのため、失敗しないように懸命に努力する。しかし時には、何時間も準備して努力した後でも失敗することがある。

失敗して恥ずかしい。イライラして、失望する。これらは失敗したときに湧き上がる感情だ。失敗するのは気持ちの良いものではなく、できる限り避けたいと思うのが普通。子供の頃から、失敗は恥ずかしいことで、避けなければいけないと教えられてきた。

私は失敗すると、ダメな人間であることを意味すると言われる社会で育った。人に才能があるとか地頭がいいか、悪いかと、小さいころからレッテルを貼られ、個人の能力を制限されてきた。心理学者のキャロル・ドゥエックが「固定的マインドセット」と呼んだものだ。また、女性が失敗したとき二度目のチャンスを得られないのも事実だ。女性が失敗すると、「やっぱり女性だから」と簡単に分類される。男性は結果を出す能力を持っているけど、女性は男性ほど優れていないと証明することにつながる。

最近では「成長マインドセット」の重要性が語られるようになってきた。個人が特定のスキルや能力を持って生まれてくるという固定的マインドセットとは異なり、成長マインドセットは練習や勉強を通じてスキルを成長させることができると捉える。失敗したとしても、努力して成長することができる。

失敗があるから、世界を変えることができる。だから、成功よりも失敗を祝うべきだと思う。結果が悪かったとしても、目標に向かって費やした時間は決して無駄ではない。努力をする中で私たちは成長しているから。

成功することにこだわりすぎないで

成功するのは気分がいい。皆、人生で何か成功をもたらしたいと思っている。成功を喜ぶことは普通だ。

しかし、成功は失敗への恐怖に変わることがある。成功にこだわりすぎると、難しいことに挑戦することをやめてしまう。失敗を恐れるあまり、安全な選択をし続け、成長の機会を逃してしまう。

私は成功すると、複雑な感情になる。今までの努力が正しくて、失敗して恥をかかなかったことは素晴らしいと感じるが、同時に不安にも感じる。新しいことに挑戦することをストレスに感じ、「次、成功しなかったらどうしよう」「今回失敗したら、他人は私のことをどう思うだろう」と考えてしまう。成功するのは疲れる。今していることに集中できなくなり、失敗することを考えてしまう。

また、成功はいつでも喜ばれることではないと思う。地球を破壊したり人々を欺いたりしながら、金儲けすることに成功することもある。このような場合、成功するのは喜ばれることではない。成功するときは、それが正しいことなのか考えたい。

成功するのは素晴らしいことだが、私は同じ場所に留まらないように、失敗し続ける人でありたいと思う。失敗に対する視点を変えることは今も進行中のプロセスだが、失敗を受け入れ、失敗は悪いことではないというマインドセットを育てたいと思う。

今回の受験で成功した人も、失敗を恐れず、もっと難しいことにチャレンジしていってほしいと思う。

Mariko
Mariko

東京生まれ。東京在住。15歳のときにカナダに留学し、カナダの高校を卒業。その後、フランスのパリ第四大学で哲学を専攻。同大学の大学院に進み、科学・言語哲学の博士課程を修了。フランスに12年在住経験。ライターや翻訳の仕事をしている。フェミニズムやサステナブル・環境問題について執筆。

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