明日はパリに41kgのプラスチックが降る?!プラスチック問題の深刻さ

プラスチックゴミによる汚染が深刻になっています。これからは、積極的にリサイクルしてプラスチックゴミを減らすのではなく、プラスチックの生産を減らす必要があります。

「明日、パリに41kgのプラスチックが降ります」

天気予報のように、プラスチック量もニュースで取り上げられたらどうなるでしょう?The Plastic Forecastというサイトでは、パリでどれくらいプラスチックが降るのか予測しています。実際には見えないけれど、空気中のプラスチック分子の量を調べ、どのくらいのプラスチックが降っているのか計算しているのです。パリでプラスチックゴミ問題に関する国連会議が行われたので、今はパリしか予測されていませんが、今後はそのほかの大都市のプラスチックの降る量を公開する予定。

プラスチックによる海や陸の汚染は深刻になっている中、プラスチックの生産量は増える一方です。「プラスチックをリサイクルすれば問題ない!」と言っているレベルではなくなってきています。リサイクルに力を入れることも大切ですが、それよりも生産を減らすための国や企業の努力が必要です。

この記事では、プラスチック問題がリサイクルでは解決しない理由と、プラスチックの生産を減らすためにできることを紹介します。

プラスチックゴミ問題の現状

プラスチックのゴミが海や陸の汚染につながっていることはニュースで見たことがあると思います。プラスチックを飲み込んでしまった海の動物のニュースは衝撃的です。しかし、現状はあまり変わらず、私たちは大量のプラスチックを使用しています。

日本のプラスチックのゴミの量は、2019年の1年で850万トンと言われています。そのうち47%は使い捨ての容器。国連環境計画の報告書によると、日本でのプラスチック容器包装の廃棄量は1位のアメリカに次いで2位。世界でも多くのプラスチックを使用していると言えます。

プラスチックのゴミが海に流れたり、埋立地に捨てられると、環境汚染につながります。海には毎分、トラック約1台分のプラスチックのゴミが流れており、そのゴミは小さく分解されてマイクロプラスチックになります。海にはそのようなプラスチックの破片が5兆個も存在すると言われています。プラスチックをエサと間違えて食べてしまった動物は、プラスチックが胃に溜まり、エサが食べられなくなります。プラスチックを食べた動物を食べている人間もマイクロプラスチックを人体に取り込んでいることが分かっています。

プラスチックを減らさないと、環境や生物への影響は大きくなる一方です。

プラスチックをリサイクルするだけでは間に合わな

プラスチックのリサイクルが注目されています。ペットボトルをリサイクルした素材を使った商品とかも見かけるようになりましたね。リサイクルすることは大切ですが、リサイクルだけでは間に合わない状態なのが現状です。

世界では、プラスチックゴミは全体の9%しかリサイクルされていません。91%のプラスチックは再利用できず、ゴミとして処分されています。日本はプラスチックのリサイクル率が86%(2020年のデータ)と高いと言われていますが、実際に新しい商品を作るための素材としてリサイクルされているプラスチックは21.8%しかありません。海外に輸出してリサイクルしている分も含まれているそうです。そして、残りのプラスチックはサーマルリサイクルとして、ゴミを燃やしてエネルギーとしてリサイクルされています。

今の技術では、すべてのプラスチックを商品を作る素材としてリサイクルすることはできません。だからこそ、プラスチックを分別するだけでは問題は解決しないのです。プラスチックの生産を減らす必要があります。

世界でのプラスチックの現在の生産量は1年で4億トンと言われており、2026年には今の3倍になることが懸念されています。プラスチックは生産するのにも二酸化炭素が排出されるので、地球温暖化のためにも生産を減らすことは重要になります。

中国など、プラスチックゴミの輸入を禁止する国も出てきているので、今後は大量のプラスチックを処理するために生産を抑える必要があります。

プラスチックの生産を減らす取り組み

世界の国はプラスチックによる環境汚染を解決するために対策を考えています。2022年にケニアのナイロビにて開催された国連環境総会には世界175カ国が参加し、2040年までに環境や人体への悪影響を与えているプラスチック汚染をなくすという目標を立てています。

2024年5月29日〜6月2日にパリで総会が行われ、プラスチックをリサイクルして循環させることに重点が置かれている条約を、危険な化学物質が含まれているプラスチックやリサイクルしにくいプラスチック商品を規制をするという厳しい条約の案が挙げられました。フランス大統領のエマニュエル・マクロンは2024年までにすべての国が同意する条約を作ることが目標だと話しています。

しかし、まだプラスチックをリサイクル・再利用してプラスチックゴミを減らすことばかりに重点が置かれており、環境保護団体のNGOからは本当の解決策はプラスチックの生産を減らすことだと批判の声が上がっています。

日本でも2022年の会議を反映し、プラスチック資源循環に力を入れており、プラスチックを分別したり、バイオプラスチックを導入することに取り組んでいます。

しかし、これからはプラスチック生産の軽減が重視されるようになるのではないでしょうか。特に日本では過剰包装が多いので、容器包装に使われるプラスチックを減らす必要があると感じます。

私たちにできることは?

私はゼロウェイストに取り組んだり、できるだけゴミを減らして循環するような生活をしたいと思っています。でも、「じゃあ、みんなでプラスチックのゴミを減らそう!」というと、ゴミを減らすことは私たち個人の責任のように捉えられてしまいます。ペットボトル飲料を買ったり、買い物するときにプラスチックバッグをもらったら、周りから批判されたら、サステナブルな生活をするのは、実際すごく疲れますよね。

だから、個人や消費者を責めるのではなく、国や企業がもっと積極的にプラスチック削減に力をいれるべきだと思うのです。国がプラスチックの生産を規制したり、企業がもっとプラスチックのゴミが出ないような商品を提供することで、個人もプラスチックを使わなくても快適に暮らせる社会に変わっていきます。プラスチックのゴミが出る商品に課税するなどして、社会が変わらないかぎり、個人がどんなに頑張っても現状は変わりません。

もちろん、自分ができる範囲で個人で取り組みを行うことは素晴らしいですが、社会が変わらないかぎりプラスチックゴミ問題は解決しないと思っています。

しかし、何か自分にもできることがないかと思いますよね。私がプラスチックを減らすために取り組んでいる行動をいくつか紹介します。

買い物をする量を減らす

物を買う量が減れば、ゴミの量も自然と減ります。買うのをやめてみて、ストレスに感じるなら無理しないで、また購入する。でも、慣れれば買わなくても普通に生活できる物って結構たくさんあります。お金の節約にもなるのでおすすめです。

プラスチックフリーを優先

同じ物を買うにしても、プラスチックを使用していない物を優先して買います。もちろん、すべてのものをプラスチックフリーにはできないけれど、減らすことは可能です。プラスチックを使っていなくても、プラスチックと同じように使用できる商品もたくさんあります。

プラスチックでも長く使う

プラスチック商品は値段が安く、手軽に購入できますが、安いからすぐに捨ててしまうことが多いです。どんなに安くても、ゴミとなって自然環境に負担になるので、長く使うようにしています。ただプラスチック製品は劣化するのも早いので、できればプラスチックではない商品のほうが長く使えるような気がします。見た目が悪くても、できるかぎり長く使うように意識しています。

プラスチック生産を減らす未来へ!

今のプラスチックゴミの現状を見ると、今すぐに対策をしないと現状は悪化するばかりです。これからも人間が住める美しい地球を守るためにも、プラスチックの生産がもっと減っていくことを願っています。私たち個人にできることは少ないですが、私は何もしないで諦めるよりは何か行動をしたほうがいいと思っています。でも、プラスチック汚染は自分の責任だと考えずに、プラスチック生産の削減につながるよう、国や企業に働きかけましょう!