「ヴィーガン対応」と書かれていても、何がどこまで不使用なのか、外から確かめる方法がわからない。
そんな経験をしたことはないでしょうか。
京都でも「ヴィーガン対応」を掲げる飲食店は増えています。ただ、その情報の多くは口コミや紹介記事に由来するもので、店が実際に何を使い、どんな工程で調理しているかを公式サイトで確認できる場所はまだ少ないのが実情です。食の透明性を求める人が増えている一方で、情報開示の中身はなかなかついてきていません。
この記事は、各店の公式サイトから取得できた情報だけを根拠にまとめたものです。調査の過程で「確認できなかった」情報もそのまま書いています。何を大切にして店を選ぶか、自分なりの軸を確認しながら読んでみてください。
関連記事:京都のオーガニックレストラン5選|有機食材・無農薬の調達基準で選ぶ外食ガイド
編集部の選定基準
紹介する店は、以下の視点で各店の公式サイトを調査し、何らかの情報が明示されているものを選びました。
- メニュー表示の透明性:「完全植物性」「動物性不使用」の記載があるか。乳・卵・蜂蜜などが個別に明記されているか
- 動物性成分の定義の範囲:蜂蜜・白砂糖・出汁・調味料など、見落とされやすい原料についても言及しているか
- 環境配慮素材の使用:有機・無農薬・国産・地元産食材の使用について公式に説明しているか
- 調理プロセスの管理:出汁・油・器具の動物性原料に関する説明があるか
- 情報開示の姿勢:食材の産地・生産者・調達方針など、仕入れに関する情報を公式に公開しているか
- 第三者による評価・認証:国際・国内のヴィーガン認証や、信頼できる第三者評価があるか
これらは「この店が倫理的に正しい」という判断ではなく、「公式情報として確認できる透明性があるか」というフィルターです。開示が少ない店舗でも、実際には丁寧な取り組みをしている可能性はあります。
1. 天龍寺 篩月(しげつ)
場所|嵐山エリア/嵐電「嵐山」駅から徒歩約3分
このレストランの特徴
世界遺産・天龍寺の境内にある、天龍寺直営の精進料理の食事処です。臨済宗天龍寺派の禅の修行食として、動物性素材を一切使わない食事を通年提供しています。「なぜ動物性不使用なのか」という根拠が宗教的・文化的な実践として公式に説明されており、認証制度とは異なる形で動物性排除の背景が示されています。
サステナブルな取り組み
公式サイトには「動物性の素材を一切使用せず、野菜・山菜・野草・海草類を主にした素材」との記載があります。精進料理における「肉・魚・卵・乳製品を使わない」という定義は、教義に根ざしたものとして説明されており、流行に合わせた訴求とは性格が異なります。食材の端材を堆肥化する取り組みも公式に言及されており、フードロスへの意識が読み取れます。ミシュランガイド京都・大阪では、料理の質を評価する「ビブグルマン」と、持続可能なガストロノミーの実践に贈られる「グリーンスター」をあわせて受賞していることが確認できます。
このレストランが向いている人
- 動物性不使用の根拠として、認証制度よりも文化的・宗教的な継続性を重視する人
- 京都の歴史的な文脈のなかで食を体験したい人
- ミシュランのグリーンスターという第三者評価を判断の材料にしたい人
- 嵐山観光と組み合わせて、世界遺産の庭園のなかで食事をしたい人
注意点・合わない可能性
交差汚染の防止策・調理器具の管理・スタッフ教育など、調理プロセス面の情報は公式サイトには掲載されていません。精進料理では昆布や椎茸の出汁を使うことが一般的ですが、具体的な使用素材の一覧は現時点では開示されていないため、細部を確認したい場合は直接問い合わせることをすすめます。Vegan Trademarkなど国際的なヴィーガン認証の取得情報も確認できていません。
お店情報
2. CHOICE(チョイス)
場所|東山エリア/地下鉄東西線「東山」駅から徒歩約3分
このレストランの特徴
形成外科医・鈴木晴恵院長が医療の視点からプロデュースした、完全ヴィーガン&グルテンフリー専門のカフェレストランです。公式サイトには「乳製品・卵などの動物性の食材は一切使用していません」と明記されており、全メニューがこの基準で統一されています。「Plant-Based Whole Foods」、つまり精製度の低い植物性食材を軸とした食選択の考え方を、店のコンセプトとして公式に説明しています。
サステナブルな取り組み
食材については「オーガニックで無添加、産地・製法にまで気を配った」ものを使うと公式サイトに書かれています。食と身体の関係を医学的な観点から説明する情報発信が行われており、美容・健康の観点から食を選ぶ人向けの内容が充実しています。完全専門店として運営されているため、動物性素材が厨房に持ち込まれない環境になっています。
このレストランが向いている人
- グルテンフリーとヴィーガンを同時に満たしたい人
- 医療・栄養学的な観点から食を選んでいる人
- 完全専門店の構造によって交差汚染リスクを下げたい人
- 東山エリアの観光と組み合わせたい人
注意点・合わない可能性
Vegan TrademarkやV-Labelなど国際・国内のヴィーガン認証の取得情報は公式サイトから確認できていません。蜂蜜・骨炭精製砂糖・non-GMOなど、より細かい原料基準についての記載も見当たりません。食材の産地・仕入れ先・生産者の詳細は開示が限定的なため、サプライチェーンの透明性を重視する場合は、問い合わせで確認することをすすめます。
お店情報
3. TU CASA(トゥカサ)
場所|祇園南・宮川町エリア/京阪「清水五条」駅から徒歩約8分
このレストランの特徴
ゲストハウスに併設されたプラントベースのカフェ&バーです。「地球環境にできるだけ負荷をかけない菜食」を掲げており、食だけでなく廃棄物・エネルギー・地域経済への配慮を一体的に実践しています。店内には量り売りショップもあり、食事の場とライフスタイルの実践の場を兼ねた運営スタイルをとっています。
サステナブルな取り組み
「食材もできる限り地元産で自然栽培や有機栽培、無農薬、減農薬のものを使って」いると公式サイトに書かれています。店内の電力は太陽光発電と自然エネルギーで賄われています。使い捨て容器・ナプキンの提供をしないゼロウェイスト方針と、売上の1%を寄付する「1% for the Planet」への参加は公式Instagramで確認できます。「地球と動物とあなたの体にも優しい料理」という言葉も公式の発信に見られます。
このレストランが向いている人
- 食と廃棄物・エネルギーの問題をあわせて考えたい人
- 地元産・有機栽培の食材調達を大切にしている人
- 食事だけでなく、エシカルな生活実践に関心がある人
- ゲストハウスでの宿泊と組み合わせたい人
注意点・合わない可能性
国際・国内のヴィーガン認証の取得情報は公式サイトでは確認できていません。油の種類・出汁の素材・調味料の原料についての詳細な記載は、公式サイト本体には見当たりません。営業日と営業時間が変動するため、来店前にInstagramで最新情報を確認してください。
お店情報
4. Mumokuteki Cafe(ムモクテキカフェ)
場所|寺町・河原町エリア/地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約5分
このレストランの特徴
全メニューが動物性不使用の完全菜食カフェレストランです。「いきるをつくる」というコンセプトのもと、カフェ・農業・日用品の複合拠点として機能しており、隣接するライフスタイルショップと一体で運営されています。自社農園「mumokutekifarm」(京都府南丹市美山)での農薬不使用米の栽培と、近畿圏の契約農家からの野菜調達が公式サイトで説明されています。
サステナブルな取り組み
メニューの説明から、出汁に昆布と椎茸を使い、魚介系の出汁を使わないことが確認できます。自社農園を持つことで、食材の生産から情報発信までを自前でまかなえる体制になっています。近畿圏の契約農家との連携も、地産地消の実践として公式に言及されています。
このレストランが向いている人
- 出汁・調味料のレベルまで動物性を排除した食事を求める人
- 食材の産地や生産者との関係を大切にしている人
- 食事と一緒に、ヴィーガン関連の日用品も探したい人
- 烏丸エリアで食事とショッピングを組み合わせたい人
注意点・合わない可能性
国際・国内のヴィーガン認証の取得情報は公式サイトから確認できていません。複数の外部情報源によると、2019〜2020年頃に一部メニューで魚介だしや蜂蜜を使っていた時期があったとされています。現在は完全菜食に移行していることは公式サイトから読み取れますが、この経緯は公式には説明されていません。移行時期の詳細を確認したい場合は、直接問い合わせることをすすめます。
予約する
5. AIN SOPH. Journey KYOTO(アインソフ ジャーニー 京都)
場所|河原町・新京極エリア/阪急「京都河原町」駅から徒歩約3分
このレストランの特徴
2009年に東京・銀座で創業した完全菜食専門グループ「AIN SOPH.」の京都店です。公式サイトには「完全菜食(ヴィーガン)のお食事とスイーツを提供するカフェレストラン」とあり、肉・魚・乳製品・卵・蜂蜜をはじめとする動物由来製品を使用しないことが英語の公式サイトでも確認できます。新京極という観光エリアに立地しており、訪日外国人向けの多言語発信も行われています。
サステナブルな取り組み
「国産・旬の食材を可能な限り使用する」という方針が公式サイトに記載されています。2025年9月開催の「アジアンヴィーガンコネクト2025 in Japan」への出展も公式ブログで確認でき、ヴィーガンコミュニティとの継続的な関わりが見られます。東京に本店を置くグループとして、複数店舗で共通の基準を維持する体制があります。
このレストランが向いている人
- 旅行中、繁華街で完全菜食の食事をすぐに確保したい人
- 英語対応のある店舗を必要とする人
- パンケーキやスイーツなど、選択肢の幅を重視する人
- 長い運営実績のあるヴィーガン専門グループを選びたい人
注意点・合わない可能性
交差汚染への対応・調理器具の管理・スタッフ教育の詳細は公式サイトから確認できていません。食材の産地・生産者・仕入れ先の具体的な情報開示は限定的です。公式サイトには「アレルギーの掲載情報は症状を発症しないことを保証するものではありません」という免責が記載されており、アレルギーへの対応については事前に確認することをすすめます。
お店情報
6. Premarché Gelateria(プレマルシェ ジェラテリア)
場所|三条・堀川エリア/地下鉄東西線「二条城前」駅から徒歩約5分
注記:Premarché Gelateriaはジェラート専門店であり、食事を提供するレストラン・カフェではありません。本記事の趣旨とは業態が異なるため、補足的な掲載としています。
このショップの特徴
自然食品の流通・販売を手がけるプレマ株式会社が運営するジェラート専門店です。公式サイトでは「NON MILK(ノンミルク)」という動物性不使用のカテゴリーを設けており、乳製品を含むメニューと区分して提供していることが確認できます。イタリアの国際ジェラートコンテスト(SIGA)での受賞実績も公式サイトに記載されています。
サステナブルな取り組み
「サトウキビ由来の白砂糖は一切使わない」という原料方針が公式情報から確認できます。合成食品添加物を使用しない方針も記載されています。自然食品の流通業を母体とする背景から、有機素材やスーパーフードなど素材選択についての説明が行われています。
このショップが向いている人
- 食後のデザートや軽食として動物性不使用のスイーツを探している人
- 砂糖の種類や添加物にまで気を配りたい人
- NON MILKカテゴリーとして動物性不使用が明確に区分されていることを確認したい人
注意点・合わない可能性
食事を目的とした来店には対応していません。国際的なヴィーガン認証の取得情報は現時点では公式サイトから確認できていません。アレルゲンの詳細・交差汚染への対応については、直接問い合わせることで情報が得られる可能性があります。
お店情報
補足
比較するときに迷いやすいポイント
「精進料理」と「ヴィーガン料理」は何が違うのか
精進料理は日本の仏教修行に由来し、肉・魚・卵・乳製品を使わない食として長い歴史を持ちます。ヴィーガンと重なる部分が多い一方、精進料理では「五葷(ごくん)」と呼ばれる野菜の一部(ニンニク・ネギ・ラッキョウなど)も使わない場合があります。また精進料理の背景は「動物への慈悲」という倫理ですが、現代的なヴィーガニズムが問題にする「工場式農業」「環境負荷」とは文脈が異なります。天龍寺 篩月のような精進料理の店は、認証の有無とは別に動物性不使用を実践しているため、どちらの基準を自分が重視するかで評価が変わります。
「完全ヴィーガン専門店」と「ヴィーガン対応メニューあり」の違い
完全専門店は厨房に動物性素材を持ち込まないため、調理器具や油の共用による交差汚染リスクが構造的に低くなります。「ヴィーガン対応メニューあり」の店では、選ぶメニューは動物性不使用でも、調理空間が共有されていることがあります。交差汚染を避けたい場合は、専門店であることを公式サイトで確認するか、直接問い合わせるのが確実です。この記事で紹介した店舗のうち、CHOICE・TU CASA・Mumokuteki Cafe・AIN SOPH.は完全専門店として公式サイトに明記しています。
「オーガニック使用」という表現の幅
「オーガニック野菜を使用」と書かれていても、その中身は店によって異なります。有機JAS認証を取得した農家からの仕入れなのか、認証なしで自称オーガニックなのか、一部食材だけなのか——公式サイトの記載だけでは判断しにくいことがあります。産地名や農家名まで開示されているかどうかが、判断の手がかりになります。
今回、公式情報から確認できなかった点
多くの店舗で、以下の情報は公式サイトに掲載されていませんでした。
- 国際・国内ヴィーガン認証の取得状況:Vegan Trademark・V-Label・Certified Veganなどの認証を取得している店舗は、今回の調査範囲では見つかりませんでした
- 交差汚染への具体的な対応:調理器具の分離・洗浄手順・調理順序などの記載は、完全専門店を含む多くの店舗で開示されていませんでした
- 砂糖の種類(骨炭精製砂糖の使用有無):ヴィーガン認証団体が問題とするグレーな原料のひとつですが、これに言及している店舗は見当たりませんでした
- アルコール類の動物性成分使用有無:ワインやビールの清澄化工程ではゼラチン・卵白・魚由来成分が使われることがありますが、この点に触れている店舗は確認できませんでした
- スタッフへのヴィーガン基準の教育体制:スタッフ教育の内容を公式に説明している店舗はありませんでした
- 調達先農家・生産者名の詳細:Mumokuteki Cafeは自社農園名と産地(南丹市美山)を公開していますが、他の多くの店舗では「地元産」「契約農家」という記述にとどまっています
グリーンウォッシングへの注意
「植物性」「ヴィーガン対応」「オーガニック」「サステナブル」という言葉は、定義や根拠が店によって大きく異なります。
「100%植物性」と書かれていても、第三者が検証した認証を持つとは限りません。何を根拠にした言葉なのかを、公式サイトの説明から読み取ることが最初の手がかりになります。「オーガニック」「自然栽培」という記載も、認証の有無・農家名・産地が開示されていなければ、外から確かめる手段がありません。情報の具体性(固有名詞や数値が伴っているかどうか)を見ることが判断の助けになります。「環境配慮」を訴求する場合も同様で、具体的な取り組みの説明や第三者評価が伴っているかを確認する価値があります。
気になる点は直接問い合わせてみてください。問い合わせへの返答の丁寧さや具体性自体が、その店の情報開示の姿勢を知る手がかりになります。
さいごに
今回紹介した6つの場所は、禅宗の修行食に由来する精進料理の寺院食堂、医師がプロデュースした完全専門店、ゼロウェイストを実践するゲストハウスのカフェ、自社農園を持つライフスタイル複合施設と、それぞれ背景もアプローチも異なります。「ヴィーガンレストラン」という言葉のなかに、思った以上に多様な文脈と実践があります。
どれが「正しいヴィーガン」かという答えはありません。大切なのは、あなたが何を重視するかです。
店を選ぶとき、こんな問いが手がかりになるかもしれません。
- 動物性不使用の根拠として、第三者認証を重視するか、背景にある哲学や実践の継続性を重視するか
- 食材の産地や生産者名が開示されていることを条件にするか、完全専門店の構造でリスクが低いことを優先するか
- 食事だけを目的とするか、廃棄物・エネルギー・地域経済への配慮も含めた場所を探しているか
- 情報が少ない店舗には、直接問い合わせる余地を残しておけるか
今すぐ決める必要はありません。この記事が、自分の基準を整理するための材料になれば幸いです。
本記事は各店舗の公式ウェブサイトおよび公式SNSから取得した情報をもとに執筆しています。メニュー内容・営業時間・営業日・所在地は変更になる場合があります。必ず公式情報にてご確認ください。公式サイトで確認できなかった情報については「確認できない」として記載しており、推測による補完は行っていません。







