やってみたら、好きになった!春から試せるエコ活動アイデア集

「エコ活動」という言葉を聞いて、真っ先に何を思い浮かべますか。マイバッグ、電気の節約、ゴミの分別……どれも悪くないけれど、どこかに「やらなければ」という感覚が滲んでいないでしょうか。

実は、環境への負担が少ない活動には、そういう義務感とはまったく別の入り口があります。静けさを求めて森へ行くこと、街を走りながら何かを拾うこと、割れた器をもう一度使えるようにすること。気づいたらエコだった、という感覚で始まるものが意外と多いのです。今回は、自分のペースで試せる活動を、カテゴリー別にひとつずつ紹介します。

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自然と感覚を開く

森林浴

森の中を歩いていると、何かを「しなければ」という気持ちが自然となくなっていきます。風の音、足元の土の感触、木漏れ日の動き。普段の生活では意識の外に追いやっているものが、ここでは自然と前に出てくる。森林浴とは、そういう時間のことを指しています。

日本では林野庁が1982年に「森林浴」を提唱し、その後、森林の癒し効果を科学的に活用する「森林セラピー」の取り組みが広がっています。特別な装備も予備知識も必要ありません。「今日は何も達成しなくていい」という気分で出かけられる場所として、続けている人が多いのもうなずけます。

バードウォッチング

双眼鏡を持って同じ公園を歩くと、これまでとはまるで違う場所に見えてきます。「ただの木」だった場所に、突然、声と動きを持つ存在が浮かび上がる。その瞬間の感覚が、多くの人を野鳥観察へ引き込みます。

日本では春にツバメが見られ、冬にはユリカモメやオオハクチョウなどの冬鳥が各地に現れます。鳴き声をひとつ覚えると、次から耳が勝手にその音を拾い始めます。気づけば日常の中に、小さな発見を探す習慣が生まれています。日本野鳥の会などの団体を通じて観察会や地域のコミュニティに参加することもおすすめです。

都市の中で見つける

コミュニティガーデン・都市農園

区民農園や屋上菜園に通っている人に話を聞くと、「野菜が採れるから」という答えより先に、「あそこにいるのが好きで」という言葉が出てくることがよくあります。週に一度、少しだけ手を動かすだけで、土の感触と季節の変化を身体で受け取れる場所。それが都市農園の本質かもしれません。

隣の区画の人と種を交換したり、うまく育たなかったことを笑い話にしたり。収穫より前に、作業しながら誰かと話す時間が楽しくて通い続ける、そういう場所になっています。

プロギング

ジョギングをしながら道のゴミを拾う、スウェーデン発祥の活動です。「plocka upp(拾う)」と「jogging」をかけ合わせた名前で、2016年にエリック・アルストロム氏が始めたことがきっかけで世界各地に広まりました。

走り終えたあと、袋の中にゴミが溜まっているのを見ると、ちょっとした達成感があります。走る距離や速さとは別の手応えで、それが単独で走り続けるより飽きにくい理由になっているようです。日本でも「プロギングジャパン」などの団体が東京・名古屋・大阪を中心にイベントを開いており、ひとりで始めて、いつかイベントで誰かと走る、という流れも自然です。

市民科学(シチズンサイエンス)

iNaturalistやeBirdといったアプリを使って、日常の中で見かけた生き物を記録する活動です。写真を撮ってアップロードすると、AIと専門家コミュニティが種を特定してくれます。そのデータは実際の生態系調査や保全活動に使われます。

「散歩」が「観察」になるだけで、歩いたことのある道の見え方が変わります。公園の池にいるカモに種名がつき、歩道脇に生えている草が季節の指標になる。わざわざ出かけなくても、通勤や買い物のついでに参加できるのも、この活動の面白いところです。

手を動かす

金継ぎ

茶碗や皿が割れたとき、ほとんどの人は捨てることを選びます。でも金継ぎは割れた食器を蘇らせます。漆などを使って器を修復し、仕上げに金粉などで継ぎ目を装飾する日本の伝統技法です。傷を隠すのではなく線として残す。修復されたその器は、割れる前とは別の顔を持ちます。

傷の歴史ごとものを受け入れるという感覚は、わびさびの考え方と深く重なっています。東京や京都を中心に教室が増えており、数時間で体験できるキットから、本漆を使う本格的な手法まで選択肢があります。直した器をその後も日常的に使い続けることで、愛着は少しずつ積み重なっていきます。

刺し子・ダーニング

刺し子は、寒冷地を中心に発達した伝統的な補強・装飾の手仕事です。規則的な図案を針で刺し重ねることで、布が二重三重に丈夫になります。ダーニングはヨーロッパの伝統的な繕い技術で、薄くなった箇所や穴を糸で埋めていきます。

どちらも共通しているのは、手をゆっくり動かし続ける時間の感触です。針を進める単純な動作の中に、考えごとをしない時間が生まれます。デジタルから少し離れたくて始める人もいますし、お気に入りの服を捨てずに自分らしく直していく過程そのものを楽しむ人もいます。

リペアカフェ

壊れた家電、ほつれた服、剥がれかけた革靴の底。「捨てるのは惜しいが、どこへ持っていけばいいかわからない」というものを抱えて、専門家やベテランの参加者のいる場所へ持ち込む。それがリペアカフェです。費用は無料か低額で、道具もその場で借りられます。

直せたときの満足感もありますが、「また行きたい」と思う理由は少し別のところにあります。修理しながら自然と会話が生まれ、知らなかった技術を教えてもらい、ものへの見方が少し変わって帰ってくる。日本でも地域のイベントとして定期開催される場所が少しずつ増えています。

移動と旅の選び方

スロートラベル(鉄道・自転車・輪行)

「目的地に早く着くこと」を手放すと、旅の中身がずいぶん変わります。青春18きっぷで各駅停車に乗ると、車窓の景色が少しずつ変わり、乗り換えた駅で食べるものが変わり、聞こえてくる言葉のトーンが変わっていく。その積み重ねがひとつひとつ記憶になって、旅として残ります。

自転車と電車を組み合わせる輪行も、しまなみ海道のようなルートとともに広がっています。移動のスピードが落ちると、土地との距離が縮まる。その感覚は、速い旅ではなかなか手に入りません。

農泊・里山体験

観光スポットを回る旅と何が違うかというと、「見る」より「参加する」時間が多いことです。朝に畑へ出て、昼にその野菜を食卓で食べる。農家の人がさりげなく話してくれることが、どのパンフレットにも載っていない土地の話だったりする。

農林水産省は、農山漁村に宿泊し、地域資源を活用した食事や体験を楽しむ「農泊」を推進しており、全国で選択肢が増えています。旅から帰ったとき、「楽しかった」という気持ちの下に何かが残っているとしたら、そういう旅から帰ってきたときのことが多いかもしれません。

義務感より先にあるもの

活動が続くかどうかは、それが環境的に正しいかどうかより、「またやりたいと思えるかどうか」で決まることが多いと思います。

エコ活動と呼ばれるものを始めてみると、「環境への貢献」より先に、別の何かを感じる瞬間があります。静けさだったり、小さな発見だったり、誰かとのつながりだったり、少しずつ上手くなっていく感覚だったり。それが動機になったら、自然に続けることができるでしょう。


あなたが「またここに来たい」「またやってみたい」と感じるのは、どんな場所で、どんな時間を過ごした時ですか。ぜひ考えてみてください。

Mariko
Mariko

小林真梨子|日本在住のエコライター。2018年よりサステナブルな暮らしを実践。パリ第四大学(ソルボンヌ)で分析・言語哲学の修士を取得。哲学的視点から、倫理的消費・エコライフスタイルをリサーチベースで発信する独立メディア「エコ哲学」を運営。