良いことを実現するには時間がかかる。そういうメッセージをよく耳にする。何年もの間、結果が出ないまま物事に取り組み続け、いつの日か良い結果をもたらすことを願って、行動するのは大変だ。自分が信じることに取り組み続けるための十分な忍耐と決意を持ちたいと願う。ビジネスでの成功にせよ、より良い社会や地球を作ることにせよ、忍耐が必要なのだ。
しかし、人間は満足感を先延ばしにすることがすごく苦手であると感じる。特に現代の社会では、すぐに満足感を得られる方法はたくさんある。買い物は1回のクリックで、いつでもどこでもできる。ソーシャルメディアを開くだけで娯楽を見つけることができる。ビデオゲームは、達成感とコントロール感を与えてくれる。
私たちの脳は、常に報酬を得ることに慣れている。何の報酬もないまま、何か素晴らしいことが生まれることを願って、どうやって働き続けることができるのだろうか。
待つことのできる者に良いことは訪れる
成功するには、報酬を先延ばしするスキルが必要である。スタンフォード・マシュマロ実験を見たことがあるだろうか。子供たちが目の前に置かれたマシュマロを食べるのを我慢し、我慢できたらもっと多くの報酬を得ることができるという実験である。報酬を先延ばしにできた子供たちは、欲求を抑えられない子供たちと比べて、人生で成功していることが証明された実験だ。
仕事での成功だけでなく、気候変動や公平な社会を作るときにも、報酬を先延ばしするスキルを育む必要がある。変化が見れるまでに何十年もかかる可能性がある。それでも、私たちの行動が将来の世界に良い影響を与えることを願いながら、続けていくしかない。
一方で私たちは、常にいろいろな商品の広告にさらされていて、報酬への誘惑が絶えない。この誘惑に勝てば、より良い未来を手に入れられるのに、ストレスが溜まっていると、目の前のマシュマロを食べてしまう。
変化が難しいとき、どうすればいいのか?
私は今でもオンラインで、遠くの国で作られた商品を購入してしまう。新しい人と関係を築くのが面倒で、動画を見たりして時間を過ごしてしまう。悲惨なニュースを見ても、行動を起こす前にスクロールしてしまう。相手がどんな人か知ろうとせず、SNSの投稿だけを見て判断してしまう。
そんなすぐに報酬を求めてしまう心を変えるための解決法はたくさんネットにある。小さいゴールを作って一つひとつ達成していけば、より大きな目標に到達できる。マインドフルになり、今この時を生きれば、誘惑に勝つことができる。自分で変えることができなければ、誘惑の少ない自然が多いところにリトリートして離れることもできる。リトリートをしている間は誘惑に勝つことはできるが、日常生活に戻るとすぐに元に戻ってしまう。
どうやったらこの悪い習慣から抜け出せるかは分からないけど、完璧を目指さないことが鍵だと思う。完璧にできない自分を受け入れられれば、良いことを行うのは楽になる。正しいことができないときもある。それで構わない。準備が整うまで待てばいい。時には、自分のことしか考えられない時もある。他人のことを考える余裕ができるまで、自分のことだけをケアすればいい。
スピードの早い世界で生きていると、すぐに行動しなくてはいけないと思ってしまうけど、行動する前に一息つくようにしている。その時はすごく欲しいと思っていた物も、一息ついて待つとそんなに欲しくないことに気づく。本当に欲しい物だったら、1ヶ月後にも1年後にも欲しいと思っているはず。
だから、一瞬立ち止まり、自分にとって本当に重要なものは何かを見極めることが大切だと思う。